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第2話 私?貴族令嬢らしい

ありがとうございました。

また読みにいらしてください。

本日2回目の更新です。

後1回更新予定です。

 再び目が覚めると私は貴族の公爵令嬢として生まれていた。

 しかも第1公女である。

 いきなり夢が赤ちゃんの頃から始まるとは思ってもみなかったため、多少面喰ったもののどうにかこうにか生きてきた。


 現在、私がいる部屋はかなり豪華な造りになっていて如何にも高級ですよと主張している調度品で溢れている。20畳はあろうかと言う広さでまだ子供の私が暮らすには贅沢過ぎると言わざるを得ない。


 私、今、6歳、勉強、中。


 カタコトなんだよなぁ。

 結構リアルな夢なんでちょっとばかり戸惑ったんだけど、まぁ暇つぶしにはちょうどいいかなって。


 思考は日本語で出来るから問題ないんだけど、架空の国の言語を勉強するなんて思わないじゃない?

 それに話すことはできないけど、言葉の聞き取りはできるから両親や邸宅にいつ人たち、私を取り巻く環境については理解することができた。

 と言う訳で今は専ら言語の練習中なのだが、新鮮だから捗ってるんだけどね。


 そうやってひたすら本を読み続けるのよ。私は。

 現実だとひたすら論文と格闘ってこともザラだったから問題ないしね。

 デジタルの波が来ても、結局は文を読むのは変わらないし。


 勉強できるのは問題ないんだけど、子供に与えるには勿体ない部屋。

 小市民な私にはもっとこじんまりとした小さな部屋がちょうど良いのだ。

 ベッドは天蓋付きでふわふわだが、寝心地はあまり良くない。

 私としてはもう少し反発力のある方が有り難い。


 余計なことは置いといて勉強に戻ろうとすると、部屋の扉がノックされ侍女のアリスが入ってきた。

 ケイオス子爵家の令嬢で第2女子だと言う話なんだけど、私のイメージを良い意味でぶち壊してくれたのが彼女だ。色々な礼法などを学ぶために他貴族家の侍女になるらしいんだけど、私の中には何処か陰険なイメージがあったのだ


「お嬢様、そろそろご休憩の時間ですよ?」

「本、読むの」

「本当にお嬢様は本が大好きなんですねぇ! うーん、きゃわわわわわ!」


 満面の笑みを浮かべて私を抱き上げると、すりすりと頬ずりを繰り返すアリス。

 うーん。すべすべ玉子肌よ。

 若いっていいわよねぇ……。

 いや、若いのは私なのか……。


「はい。お紅茶は駄目なのでいつもの甘い果実水ですよ~」

「うまうま」


 透き通った日本の切子細工にも似たカットが入ったグラスを用意して、なみなみと果実水を注ぎ込む。

 光が色んな角度に反射してキラキラと綺麗なんだなこれが。


「ほーれほれ。お菓子もありますからね。でも食べ過ぎたらいけませんよ」

「もっとちょーらい」

「お嬢様? 私が奥様に殺されてもいいのですか?」


 強請(ねだ)ってみたが、アリスの口調が急にシリアスになる。

 怖い。お母様怖い。

 ついでに今のアリスの顔も怖い。

 いつもは柔和な顔付きをしており、優しい笑みを絶やすことがない。

 赤みがかった茶髪をサイドテールにしており、普段の態度から見ても活発な印象がある。本人は少しソバカスを気にしているようだが、全然目立たないし美人だと思うのだけど。取り敢えずは怒った顔は見たくないので従っておくのが正しい選択肢だ。


「わーった」


 それにしても貴族の公爵家ともなるとお金持ちらしい。

 この国、ザルツトス帝國の帝都ザルトスの東側に大きな領地を持つのが、アントワネット公爵家だ。


 大湖があり大きな河川も流れていて水運が盛んなので、各地への流通網でかなりの儲けを出しているらしい。公爵家と言うこともあって私は王家かそれに準ずる貴族へ嫁ぐことになるだろうとお父様が嘆いているのを見たことがある。


 結婚かぁ……。

 現実では忙しくて考えることもなかったけど。

 夢の中では有り得るのかな。

 あっち(現実)では戦ってたからね。

 ほら言ってたじゃない。


『戦わなきゃ現実と!』とかって。


 と言うか、私の名前が神無魔魅(かみなし まみ)なんだけど、夢の中じゃマミ・エルスタン・アントワネットなんだよね。せっかく温かい家族を夢見ていたのにアントワネットとか、あまり縁起がよろしくない。まさか処刑されて夢から覚めるなんてオチはないよね……。


「お嬢様? どうかなさいました? お手てがお留守になっていますよ?」

「だいじょーぶ! ありすものめ!」

「こらっ! お嬢様、淑女たる者、そのようなはしたない言葉を使ってはいけませんよ?」

「のむのだ」


「うーん。まぁいいか。やっぱりきゃわわわわわ! 将来は女帝とかになっちゃいそう!」


 女帝とは……?

 興奮しながらもまたまた頬ずりをしてくるが、特に悪い気はしない。

 まぁとにかくアリスはちょっとばかり暑苦しいところもあるんだけど、()い奴なんだよね。


「あら、お嬢様……私、奥様から言いつけがあったので、少し出て参りますね。すぐ戻りますのでー」


 アリスは嵐のようにやってきて、暴風のように私を甘やかして去っていく。

 まったく優しさの中に破天荒さを隠す女……それも悪くない。


 私は果実水とお菓子を食べ終わると、再び本へ目を落とした。

 とにかく今は楽しいからそれでいいんだ。

 これで漫画もあれば最高なんだけど、そこまでは求めまい。


 しばらく機嫌よく本を読んでいた私だったが、そこにヤツは現れた。

 いつも唐突なんだよね。登場が。

 と言うか、ど こ か ら き た。


『ふっふっふ……どうです。これで理解したでしょう……貴女は神の力で貴族の令嬢として転生したのです!』


 ホントに何処にでも現れるなこいつ。

 ちなみに生まれた時もいたんだけど何なん?

 体感ゲームなの?

 私に夢の中で人生ゲームでもやらせたいんか?


 相変わらず自慢げに話す自称神なんだけど、そう言えば言ってることは理解できるんだよね。

 この人も日本語を話してるってことなんだろうけど……。

 流石に今勉強中の言葉はリスニング以外はまだ完全に理解してないし、日本語は話せないのでできることはカタコトの言葉で伝えるくらい。


「私、言葉、わから、ない」


『そうでしょうそうでしょう! そこで私、至高なる神の登場ですよ! 私の万能な力を授けましょう! 『言語理解』と言うチート能力を!』


 自称神はまたもや意味の分からないことを言って来た。

 当然の如く、胸を逸らして威張っている様子がやたら滑稽に見える。

 だから『チート』なんていらないのよ。


「意味、ふめい」


『さぁご覧なさい! これこそが奇跡の顕現なのです!』


 人の話を聞け。


 マイペースな自称神が私に右手をかざすと、かなりの(まばゆ)い光に体が包み込まれてしまった。

 目が眩んで開けていられないほどだ。

 とても目を開いていられる状況ではなくて、私は思わず両手で目を覆い隠した。

 やがてじょじょに光が治まっていくのを感じて恐る恐る目を開くと、目の前にはいつもと変わらない景色。


 目の前には不審な自称神。


『どうです! これで貴方は全ての言語を読み書きできるようになったと言う訳です! これで信じたでしょう? 讃えよ! 私が神だ!』


「は? ってアレ? これって話ができている感じ?」


 胸を大きく張って自信満々な態度で大威張りの自称神。

 それに対して私はとても混乱していた。

 急にスラスラと口から言葉が吐いて出てくるし、考えなくても問題ないくらいにネイティブな感じである。


『はい。貴方が今話しているのは、この国の言葉、スリラン語です。それどころか世界中の言語の読み書きができますよ! まさに書く読む!』


「おお……なんか知らないけど――」


 自称神には物申したいことしかないので、私が口を開きかけたが彼はそれを遮って言葉を被せてくる。そして何か勘違して調子に乗り始めた。


『いえいえ、感謝の言葉など不要ですよ! しかしこれで私が神であると認めますよね?』


 違う。そうじゃない!

 私がやりたいのはあんたのお節介にNOを突きつけることだよ。


「ちょっと! せっかくの私の知識欲を返してよ! 知らないことを学んでる感じが新鮮で良かったのに!」


『え、ええ? そんなことを言われましても……』


 言われたことが予想外だったのか、先程までの態度は何処へやら自称神は急に焦り始める。


「私は夢をそれなりに楽しめてるんだから、もう放っておいてよね!」


『ぐぬぬ……強情な娘ですねぇ。よろしい。今日のところは退いてあげましょう。ですが必ずや認めさせてあげますから! 覚悟しておいてくださいよ!』


 自称神はそう捨て台詞を残して部屋から消えていった。

 それを見送って私は大きなため息を1つ。


 せっかく明晰夢(めいせきむ)なんて珍しい体験をしているんだから、面白そうなことは全部やりたいわね。

 働き続けてきた分、良い夢見させてもらおうじゃないの!


 取り敢えずはこの夢の世界の世界観と設定を理解しないとね。


 そんなことを考えながら私は当面、知識を貪って楽しむことに決めた。

ありがとうございました。

また読みにいらしてください。

明日は12時の1回更新です。


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