第3話
「この珠、いったい何なんだろうな……」
自宅に着いて、夕ご飯とともに晩酌しつつ、
今日拾った珠を眺める。
暗めのワイン色で、若干透き通っている。
よくよく見ると、珠の真ん中に大福のような模様があるのがわかる。
これ、スライムをかたどってるのか?
結局インターネットで探しても、このような珠の情報はなかった。
もちろん、ダンジョンを統括している政府のデータベースなら分かるかもしれないが、
ネットの画像検索をかけても、それらしきものは出てこない。
唯一似ていたのは「幽魂の欠片」というもので、
モンスターを狩っていると、まれにドロップするそうだ。
ネットの画像を見たが、なんとなく雰囲気が似ている。色も形も大きさも違うが。
ちなみに使い方も分かっておらず、謎アイテム扱いだ。
鑑定スキルというものも存在しているが、なかなかレアなスキルであり、持っている人も少ない。
必然的に、そういった技能の人は政府関連か上位クランにしか存在しない。
そのため、謎アイテムというものは少なからず存在しており、
「幽魂の欠片」もそのたぐいらしい。
じゃあ、この手元の珠も同じ謎アイテムか。
「ビールもう一本、って思ったが……もうないな」
もうちょっと酔いたいと思っていたが、ちょうど酒が切れてしまった。
コンビニに買いに行くのも面倒だし、
かといって、まだ寝るには早い。
「あれ飲んじゃおうかなー。もしかしたらこの珠が高く売れるかもしれないし。前祝いで」
キッチンの収納庫から、ちょっとごつい器を取り出す。
10年物のウイスキーだ。
以前、まだボーナスがしっかり出ていたころに奮発して買ったやつだ。
なお、今のわが社ではボーナスなんて都市伝説化している。
「ついでに二日酔い防止エナドリも作ってみたり」
酔っぱらいつつ、料理や実験をしている気分で素材をテーブルの上に取り出していく。
今日取ってきた魔石に薬草。たしか毒消草が混じってたはず。
その2つを使用して、ポーション生成のスキルを実行。
ほどなく、水色の液体がフラスコに入った状態で誕生した。
俺が作れるポーションもどき、である。
失敗でもないが、効力もほとんどない、微妙すぎるポーション。
というか、通常なら失敗した廃棄物だと思う。
これだけだと意味がないので、家にストックしてあった「内臓をいたわる」をコンセプトにした
ボディブローサンダーというエナドリを取り出した。どうやらウコンなどが混じってるようだ。
このエナドリもポーションもどきに混ぜていく。
これで二日酔い防止エナドリの完成だ。
ちなみに効果は気持ち程度だ。
「明日は休みだから、ゆっくり飲むぞー!」
ただ、この時点でそこそこ酔っていたようだった。
バーテンダーごっこ、という意味不明なことをしたくなり、
飲んでいたウイスキーに謎の珠を入れてコロコロ転がしてみたりした。
二日酔い防止のエナドリも混ぜてみて、カクテルを作ってみたりした。
俺はそのままテーブルに突っ伏して寝てしまった。
そして次の日。
何かの物音で目を開けると、
透明なスライムがこっちを覗いていた。