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第2話

ダンジョンは洞窟型で、意外と奥行きがある。

ただ、湿っぽく薄暗い空気が漂っていて、気が滅入る。


しかも出てくるのはスライムだけ。

ドロップ品もしょぼく、いつ来ても閑散としている。


「……なんか、帰ろうかな」


そう思わなくもなかったが、せっかくここまで来たのだ。

俺はリュックから「バールのようなもの」を取り出し、気を取り直して足を踏み入れた。


「おら、よっとっと」


早速、通路の先にスライムを発見。

コツを思い出しながら、バールのようなもので叩きつける。

スライムの核――体の中心にあるコア部分――を正確に砕けば、一撃で倒せる。


今回の個体は、魔石を落とさなかった。

まあ、よくあることだ。


とはいえ、人が少ないせいかスライムの個体数は多い。

範囲魔法でも使えれば効率よく狩れるのだろうが、俺にそんなスキルはない。

地道に一匹ずつ潰していくしかない。


「無料のバッティングセンターって感じだな」


ゆっくりと這い寄ってくるスライムを、ぽーんと打ち返し、核を破壊する。

たまに落ちる魔石を拾い集め、ついでに薬草も見つけたら回収する。


「肩が全然動かん……かがむと腰に来るし」


もともと文系で体も動かしてこなかった上に、最近は加齢による衰えも感じている。


スライムも一応はモンスターなので、倒せば経験値が入る――が、その量はごくわずか。

しかも最近の研究では、同種モンスターばかり狩っていると効率が落ちることがわかっている。


俺がレベルアップしたのは、冒険者ライセンスを取得したときの初期講習会が最後だ。

ここ3年ほど、このスライムダンジョンにちょくちょく通っているが、レベルは1のまま。

まあ、運動不足解消と素材集め程度にしか活動してないから当然だろう。


適度に休憩をはさみながら、約2時間ほどスライムを狩り続けた。

魔石も10個は超えただろう。


「……そろそろ、切り上げるか」


最後のスライムを叩き潰したとき、見慣れた石炭色の魔石ではなく――

透明感のある、まん丸な珠が転がり出てきた。


「なんだこれ……レア魔石か?」


手に取ってみると、珠の中にはうっすらと模様のようなものが渦巻いていた。

表面は冷たくも暖かくもない、不思議な感触。


「……よくわからんが、とりあえず帰るか」


もしかすると、レアドロップかもしれない。

鑑定に出せば、意外と高く売れるのでは――そんな期待を胸に、俺はダンジョンを後にした。


ダンジョンの近くには簡易鑑定所がある。

普段は使わないが、今回ばかりは足を運んでみた。


……が、シャッターは降りていた。


「今日、休日だったわ……」


今日は休日で人の出入りが少ない低ランクダンジョンでは、人件費削減のためか店も休みにしているようだ。

仕方なく、着替えて電車に乗り、帰路につく。


「ネットで調べてみるかー」


夕飯のついでにスーパーに立ち寄り、いくつか惣菜を買い込んで帰宅。

今日も程よく疲れた。風呂に入って、晩酌しながらのんびり鑑定タイムにするか。


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