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本能  作者: 葉っぱ
8/8

8

「粋花、あのさ、なにも疑わずにこの薬を飲んでくれないかな。」

「え?なにこれ?」

「ちょっとした薬さ。」

「んー。わかったわ。なんだか昔飲んだことがある気がするわね。」

「いや、あれとは、ちがうよ。」


粋花は、薬を飲んだ。


よかった。粋花はこれで助かるのだ。それと同時に、笑花に申し訳がない気持ちでいっぱいになってしまった。


俺が、笑花を殺したのだ。


でも、しかたなかった。俺にとって大事なのは粋花だ。俺が好きで、俺が選んだ。それが粋花だから。

この気持ちを隠して、笑花に薬を与えることなど考えられなかったのだ。


「粋花、話があるんだ。」


もう、薬は飲んだから、笑花が毒に侵されていることを伝えなきゃ。


粋花は返事をしなかった。


「粋花?どうした?粋花?」


粋花はその場に倒れ込んでいた。

なんの前兆もなく倒れていた。目を見開いた状態で、もう助からないのだと見ただけでわかってしまった。

一瞬何が起こったのかがわからなかった。なぜ、解毒薬を飲んだ粋花がこうなったのか。八がなにか細工をしたにちがいない。


「おい!八!いるんだろ。出てこいよクソッタレが。」


急いで玄関に出てみるが、八の姿はなかった。代わりに、玄関に一通の手紙が落ちていることに気がついた。八からだと勘づいた俺は、すぐにその手紙を破り開いた。


「ごめんなさい。また、間違えちゃった。さっき渡した薬、解毒薬じゃなくて、毒薬だったの。しかも猛毒。すぐに身体に回って喋るまもなく死に至るやつ。ごめんなさい。あ、あとね。さっきのお料理には毒なんて入っていなかったの。さっきのはほんの上段。あなたなら笑ってくれるよね。


P.S.私を愛せないなら、死ね。」


俺は、もうなにもできないから、泣くことしかできなかった。

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