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日記  作者: 雨野雫
5/6

 今日はタイトル通り旅についてである。なぜなら絶賛旅行中だからだ。車窓から見える風景についてでも語ろうではないか。前話で少し触れた通り、私の地元は関西で、関東に出てきたので帰省も大きな旅行になり得るのだ。今回は初帰省というやつである。

 今年のゴールデンウィークは4日しかない。しょっぱいものである。しかしながら大学生というのは自由がきくものだ。なんとか6連休にこぎつけた。

 しかし、今回の一大イベントは帰省であって帰省ではないのだ。帰省途中に交際中の彼の家に泊まる。これが最大の楽しみである。彼の家は中部なので経由して帰るという算段である。


 まぁそれはさておき、そこまで行くにしてもとにかく距離が遠いのだ。新幹線のない交通網よわよわ県に来てしまったがために、急行と新幹線を乗り継がねばならないのだ。

 なんとも面倒臭いと思ってしまうのが事実ではあるものの、悪いことばかりではない。旅というのはそう焦っても仕方がない。気楽に行こうではないか。



 夕暮れ時の薄い雲が靡く空を、車窓が切り取っていく。



 青、というよりは水色の空。マジックアワーというんだっけ。流れていく住宅地の間にたくさんの人がいる。腰の曲がったおじいさん、買い物袋を下げた女の人、自転車に乗って帰る高校生たち。

 全てが優しいオレンジ色に照らされて、みんな一人一人今日を生きてきたんだなぁと思わされる。


 この水色とオレンジは今日が終わる色。少し淋しくて明日への期待を孕んでいて、静かなようで騒がしい、かと思えばやっぱりしん、としている。


 オレンジ色がいなくなった。真のマジックアワーか。スーツの上着を脇に挟んで、シャツで帰るサラリーマン。


 今日から5月なんだそうで。昔であれば、さぁ春真っ盛り、と言っていたけれど、最近ではもう夏の気配を感じ始める季節になってしまった。

 汗ばむ前のじんわりと生暖かい感覚。湿気というか、蒸れというか、じめじめとしたものを感じながら、春の日差しにしては少し強い日光にジリジリと焼かれる季節。


 車窓に薄く反射した自分が映る。目があった。トンネル。濃くなる。

 線路を見るのも楽しい。ずっと途切れないのだ。ぼんやりと焦点を合わせずに見ているとうっすらと眠気がしてくる。対向列車が通って我に帰る。

 車窓から見える木々が好きだ。なぜか分からないが、いつもより青々しく見えるのだ。マジックアワーのせいかしら。


 橋を渡る。川は少しだけ光を反射するが、暗い色でこちらを見ている。冷たそうだ。

 道路の上を走る。カーランプの赤が道路の灰色に映えて、この服の組み合わせは合うだろうな、なんて考える。なんだかかっこいい。


 家を見るのもおすすめだ。いろんな造りがある。和風の大きな家.西洋風の家。窓がぎっしりのマンション。とんがった屋根の家。レンガ造りの家。かわいい。


 旅のすすめとしては、やはり窓の外を見るのが良い。楽しい。ぼーっと眺めて眠くなったら寝ても良い。きっと幸せな気分だ。寝過ごさなければ、ね。

2025/05/01

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