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日記  作者: 雨野雫
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好きなものについて

 平安時代の随筆といば枕草子であろう。春夏秋冬を描いた一節は日本人なら誰もが知る有名どころだ。余談だが日本三代随筆「枕草子(まくらのそうし)」「方丈記(ほうじょうき)」「徒然草(つれづれぐさ)」を年代順に覚える時は頭文字をとって『()()()かい』と覚えると良いらしい。

 枕草子に記されているのは何も春夏秋冬だけではない。中宮定子に仕えた記憶や、かわいらしいものについて、山といえば、川といえば、と様々なものがある。私もこれに倣い、今回は好きなものについて書くことにする。


 「めんだこ」を紹介することにする。めんだこはその名の通りタコの仲間であるが、平たい体でふわふわと泳ぐという一風変わった奴等である。深海に生息しており、その愛らしい姿から深海のアイドルの異名を持つのだ。水から引き上げられると重力に勝てず伸びてしまうのも可愛らしい。紹介すると言ったはいいもののあまり私自身めんだこについての知識は深くない。そのため調べてみることにした。めんだこはどうやら他のタコのように墨を吐くことができないらしい。(Wikipedia参照)墨が吐けないくせにタコを名乗っているのだ。なんとも愉快である。イラストでは可愛く描かれがちであるが、実物はグロテスクとも取れる見た目を有している。

 また、めんだこは飼育が難しい生物とされている。私はこの目で実物を拝めたことがない。以前、東京都池袋にあるサンシャイン水族館を訪れる機会があった。サンシャイン水族館はめんだこの最長飼育日数を誇る水族館である。しかし私が訪れた時には、時すでに遅し。めんだこは空へと旅立っていた。それからもめんだこを拝める機会は未だやってこないのである。


 次に「小籠包」の話をしよう。私の大好物のひとつである。他にプリンとカレーも愛してやまないが、今回は小籠包について語りたい。

 小籠包は中華料理のひとつである。小麦粉でできた皮に肉や海老などの具材、そしてスープを閉じ込めた一品である。一口サイズのものが多いが、油断はできない。なぜなら、このスープが熱々で、一口で食べようものなら途端に牙を剥き、口内大火傷を引き起こすからである。しかし、やはりこれがうまい。口の中にたっぷりのスープが広がる幸せは形容のしようがない。噛み締めた具材ともちもちの皮の食感がなんとも心地よい。とにかく美味いのだ。

 私が好きなのは味だけではない。「小籠包」という字も好きだ。なんともバランスがよく見える。画数が少なくスッキリとまとまった「小」に、これでもかと画数が多く、さながら小籠包の中身のように詰まっている「籠」、そしてそれらを支え最後に締めくくる形で「包」が配置されている。この文字だけでも白米が進みそうなものである。

 漢字に関しては理解を得たいと期待はしないが、味に対してはぜひ興味を持っていただきたい。


 最後に「草原」の話をしよう。草っ原である。私の死ぬまでに行きたいところリスト堂々の一位はだだっ広い草原なのである。北欧などで、雄々しい山々が目の前にあり、小さな花が優しく咲き、小川など流れていれば完璧である。そんな場所を走り回って、自然の一部になりたいのである。原風景、というのだろうか。これが私の求める風景なのだ。

 ピクニックなどをしても良い。朝露に濡れた芝の上に安っぽいレジャーシートを敷き、頑丈に編まれた籠の中から卵とハムとレタスだけ挟んだサンドイッチを取り出して、口いっぱいに頬張るのだ。そのあとは爽やかな風の中、ハンモックに揺られるのも良い。

2025/04/01

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