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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界無双 現代降臨

作者: 三田三

初投稿になります。

ヴァルト・ドレイクは英雄だった。


彼が生きた異世界では、誰もが彼の名前を知っていた。かつて、王国を守るために魔王を倒し、無数のモンスターを狩り、さらには伝説のダンジョンに挑んで数々の秘宝を手に入れた。その英雄伝説は何世代にも渡って語り継がれ、彼の名は神話と化していた。


しかし、長い年月の後、ヴァルトは戦いに疲れ果てていた。戦闘から足を洗い、静かな生活を送りたいと思っていたが、英雄に休息などは許されなかった。ある日、彼は突如として「召喚」の魔法にかかり、異世界の外へと引き寄せられた。


目を開けると、そこは見知らぬ世界だった。


その世界は、異世界とは似ても似つかない現代の日本だった。人々はスーツを着て、車が走り、建物は高層ビルが立ち並ぶ。ヴァルトは呆然とした。どこで間違ったのか、まったく分からない。だが、彼の体に異常はなかった。剣の使い手として、また魔法使いとしての力も衰えていない。


彼が一番気にしたのは、この世界にもダンジョンが存在しているという事実だった。


「どうしてこんなことになったんだ…?」


ヴァルトはそう呟きながら、周囲を見渡した。人々は彼に目もくれず、日常生活を送っている。


ヴァルトは街を歩きながら、情報を集めた。ダンジョンの存在を示す掲示板を見かけ、彼はそれを追いかけることに決めた。どうやら、この世界にも「ダンジョン探索」なる仕事があるらしく、報酬を得るために冒険者たちが地下の遺跡や迷宮を探索しているという。


その情報を元に、ヴァルトは地下にあるというダンジョンの入り口へ向かった。都会の雑踏を抜け、古びた建物が並ぶ地区に差し掛かると、ひっそりとした一角にそのダンジョンの扉が見えてきた。


ダンジョンの入り口は、まるで何世代も前の時代に建てられたかのような石造りの門だった。ヴァルトはその扉を力強く押し開けると、暗い通路が広がっていた。地下の空気は湿気を帯び、どこからか不気味な音が響いていた。


「これがこちらのダンジョンか…」


ヴァルトは静かに呟き、足を踏み入れる。足元には崩れた石や破片が散らばっており、古びた遺跡のような雰囲気を醸し出していた。


しばらく歩いていると、突如として地下の空間に不気味な気配を感じた。すぐにヴァルトは戦闘態勢に入った。彼の体は戦士としての本能が働き、周囲の動きを察知する。やがて、暗闇の中から現れたのは、巨大なゴブリンだった。


その姿は、かつてヴァルトが戦ったゴブリンと同じだ。だが、この世界では魔物は少ないと思っていたヴァルトは、その出現に驚きながらも冷静に剣を抜いた。


ゴブリンは威嚇するように唸り声を上げ、ヴァルトに向かって突進してきた。その速さに一瞬遅れを取るかと思いきや、ヴァルトは素早く反応し、ゴブリンの進行方向に剣を突き出した。


「グルル…!」


ゴブリンの喉元にヴァルトの剣が突き刺さり、その巨体は瞬時に倒れた。血が地下の床に滴り落ち、無惨な光景が広がる。


「こちらの魔物も、やはり手ごわいな…」


ヴァルトは静かに息を吐き、剣を納めた。次に現れる敵にも、同様に対応する覚悟を決める。だが、このダンジョンで遭遇する魔物たちは彼にとっては単なる練習相手であり、次々にその生命を絶っていく。


やがて、ダンジョンの奥深くにたどり着くと、大きな扉が現れた。その扉には奇妙な魔法陣が描かれており、明らかにただのダンジョンの入口ではないことを示していた。


ヴァルトはその扉に手をかけ、開けた。中には、一際強力な魔物が待ち構えていた。それは、このダンジョンの最深部を守る守護者のような存在だった。


ヴァルトはその魔物を前に冷静に構えた。その魔物は、巨大なドラゴンのような姿をしており、鱗は硬く、炎を吐き出しながら迫ってきた。しかし、ヴァルトは恐れなかった。異世界で数多のドラゴンと戦ってきた経験が、彼に自信を与えていた。


「さあ、来い!」


ヴァルトはその一言を発すると、瞬時に魔法陣を解き放ち、光の剣を振るった。瞬間、ドラゴンの攻撃をかわしながら、ヴァルトの剣がその鱗を切り裂く。


戦いは熾烈を極めた。ドラゴンは猛烈な炎を吐き、ヴァルトはその攻撃を軽々と避ける。まるで戦闘のダンスを踊るように、彼の動きは滑らかで無駄がなかった。


やがて、ヴァルトの剣がドラゴンの腹部に深々と突き刺さり、その魔物は絶命した。


「ふぅ…」


ヴァルトは息をつき、倒れたドラゴンを見下ろした。

その時、ダンジョン内に響いた声が彼の耳に届いた。


「これで、このダンジョンの主が倒されたということだ。おめでとう。」


ヴァルトはその声を無視して、静かに振り返った。すると、そこに現れたのは一人の女性だった。彼女は軽やかな足取りで近づき、ヴァルトに微笑みかけた。


「君、すごい戦い方だね。まるで、異世界の戦士みたい。」


「異世界の戦士、か…」


ヴァルトはその言葉に少しだけ笑みを浮かべた。


「君もまた、このダンジョンの探索者だろう?」


「そうだよ。私もここで何度も挑戦してきた。でも、君のように一人で踏破できる人は見たことがない。」


その言葉に、ヴァルトは一瞬驚いたが、すぐに冷静を取り戻した。


「私はただの一冒険者だ。ただし、戦いは得意だ。」


ヴァルトはその後、ダンジョンを次々と攻略し、その名を知らぬ間に広めていった。彼の無双ぶりは、瞬く間に都市中に広まり、彼は次第に「異世界の英雄」として扱われるようになった。彼に挑戦しようとする冒険者は数多く現れたが、どんな者も彼の前では無力だった。


だが、ヴァルトはそれに飽きることはなかった。彼にとって戦いは、ただの娯楽ではなく、人生の一部だった。異世界で得た力を、この世界でどのように活かすべきか、彼はまだ答えを見つけられずにいた。


それでも、彼の冒険は続いていった。そして、ヴァルトは次なる強敵を求めて、再びダンジョンへと足を踏み入れるのだった。



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