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ラプラスの堕天使  作者: momimaru
古典力学編
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24 等加速度運動(Uniform acceleration motion)

 家に到着すると、自動ドアが静かに開き、俺たちは中に入った。俺の家はいくつかの最新のスマートホーム技術が詰め込まれているが、それが目立たないように、シンプルで洗練された内装にしている。


「ここが俺の家だ。適当に座ってくれ。」


 俺はリビングルームに案内し、ソファに座るよう促した。


「結構広いのね。思ったよりも快適そう。」


 須黒は周囲を見渡しながら、そう言った。


「まあ、普通だよ。」


 俺は2人があまり興味を持たせないように答えた。


 ヒデはすぐにリビングルームの設備に興味を示し、いくつかのガジェットを手に取って眺めていた。


「このデバイス、最新のモデルだよなー。やっぱりヒカルはなんやかんだハイテクなもの好きだような。」

「ま、まあな……。これでも科学者の端くれだ……。ところで、作業を始める前に何か飲むものでも用意するよ。」


 俺は2人の気を逸らすようにキッチンに向かいながら言った。


「コーヒーかお茶、どちらがいい?」

「私はお茶にするわ。カフェインはアデノシン受容体を競合的に阻害して覚醒効果をもたらすけど、長時間摂取すると耐性がつくし、デアデノシンの分泌が増えて逆効果になるから。」

「お前……。いつもそんなバカみたいなこと考えてお茶飲んでるのか?」


 俺は軽くツッコミを入れた。


「冗談よ……。あなたが何かソワソワしてるように見えたから、気を紛らわそうとしただけ。」


(妖怪め……。いや今回に関しては、俺の行動が少し不自然か……。気をつけよう……。)


「俺はコーヒーで!」


 とヒデが元気よく答えると、俺は自動コーヒーメーカーの前に立ち、手動で操作してコーヒーとお茶を淹れ始めた。


 飲み物が出来上がると、俺はそれをトレーに乗せてリビングルームに戻った。


「はい、どうぞ……。」

「ありがとう、幕内くん。」


 須黒は礼を言いながらカップを受け取った。


「サンキュー、ヒカル。」


 ヒデも同じくカップを受け取った。


 俺たちは飲み物を飲みながら、コンテストの準備について話し始めた。須黒はホログラムディスプレイにデータを映し出し、計画の詳細を説明してくれた。ヒデはその間に、家庭内エネルギーシステムのハードウェア部分について意見を述べた。


「この部分については、さらに調整が必要だな。具体的には、センサーの配置とデータの収集方法をもっと効率的にする必要がある。」


 ヒデがいつもより真剣な表情で言った。開発が進むにつれて、エンゲルハーツに負けたくないという気持ちが強くなってきたのだろうか。


「そうね。それと、量子トンネル効果を活用する部分についても再検討したほうがいいかもしれないわ。」


 須黒が付け加えた。


「ヒカル、お前の家にこんなに最新の設備が揃ってるとは思わなかったよ。ほぼ実験室じゃねーか。」


 ヒデが感心したように言った。


「まあ、ほぼ趣味みたいなものだ。」


 須黒がふと、何かに気づいたように口を開いた。


「そういえば、幕内くん。こんなにも色々最新のガジェットが揃っているのに、家事はいろいろ自分でやってるのね。」


(ギクっ……)


 俺は一瞬焦ったが、すぐに冷静を装って答えた。


「な、何でもかんでもテクノロジーに頼るのは良くない……。たまには自分でやるのも悪くないだろ?」


 須黒は少し疑わしげに見つめたが、特に追及はしなかった。


「そういうことね。まあ、たまにはそういうのもいいかもね。」

「でも、私は普段、AIアシスタントとか使ってるわよ。ほら、最近アップデートされたソフィアって機種。」

「へえ、最近のAIアシスタントってそんなに万能なのか?」


 ヒデが興味津々に尋ねた。


「そうね……。例えば、家の中のすべてのデバイスを管理したり、スケジュール管理をしたり、料理のレシピを提案してくれたりするわよ。音楽をかけたり、天気予報を教えてくれたりもするしね。」


 須黒が説明した。


「確かに便利だけど、ソフィアもまだ人間のように論理的な思考はできないわ。入力に対して確率の高い回答しかできないのよ。」

「なるほど、あくまで補助的な役割ってことか。人間のような創造的な思考はまだ難しいんだな。」

「そういうことね。例えば、人間は過去の経験や感情をもとにして直感的な判断ができるけど、AIはまだそれができない。すべての情報をデータとして処理するだけだから。」

「そうだな……。今普及しているAIは確かに計算やデータ処理では優れているけど、創造性や直感という面ではまだまだ人間には及ばない。」


 俺がまとめるように言った。


「でもよ、テクノポリスXのAIロボットはすごかったよな。」

「テクノポリスX?あぁ、あの人工島ね。私の専門分野とは関係が薄いから行くことがほとんどないのよね。」

「未知のものがたくさんあってよ。今度3人でまた行こうぜ!」

「そうね……。久しく訪れてないから、私も興味あるわ。」


 俺たちはAIの未来やコンテストについて議論を続け、時間が過ぎるのも忘れていた。


 気がつけば夕方になっていた。須黒とヒデはそろそろ帰る時間だ。


「今日はありがとう。結構進んだわね。」


 須黒が満足そうに言った。


「部屋使わせてくれてありがとな、ヒカル!」


 ヒデは感謝の気持ちを込めて答えた。


「次は俺の家で作業しようぜ。お前ん家ばっかじゃ悪いしな。」

「そうだな、次はヒデの家にしよう。」


 そう言って、2人は俺の家を後にした。

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