素っ気ない文学少女は、噛みまくる
教室の片隅に座る西凪 栞は、今日も本に読み耽ていた。あれを所謂、本の虫というのだろう。
いかにも文学少女な感じだが。俺にしてみれば、それがまたギャップ萌えでもある。
「おはよう、西凪さん」
「......」
本に視線を這わせたまま、スルー。余りに、わざとらし過ぎる。
こっちも負けじと攻めに出る。
「お・は・よ・う」
「......」
「お~は~よ~う~」
「......」
「おはよう!」
「..んっ」
次第に西凪の眉はひくつき、頬が紅潮しだす。
なんとも読みとり難い表情だ。
後、もう一押し。
「せっかく隣の席同士なんだから、挨拶ぐらいして欲しいなぁ?」
わざとらしい問いかけは、生真面目な西凪には刺さったようだ。
濁音混じりの呻き声を発し、悔しそうに見悶える。
まるで追い詰められた猫。
今にも噛みついてくる勢いで身を前に出し、
「お、おはぁよぅございぃまちゅうーっ!」
盛大に噛みまくった。
なにそれ、可愛いすぎる....。




