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ライジングゴースト ~君が夢見たトコロへ~  作者: 蛍石光
3. 思い出と約束
9/24

3-4 ふたり

タイトルからも想像できますように、ふたりの話ですね。

 あのあとすぐに母親が帰ってきた。俺が一人で部屋で騒いでいるのを見て呆れていたようだった。クソ。


 つまり、母親には美優の姿が見えないということだ。俺にはこんなにはっきりと見えているのにな。やっぱり美優って幽霊?でもって俺に取り憑いた的な?そんなことも考えはしたけれど、別に困ることもないし、体調も悪くはない。明日は土曜日で学校も休み。夜ご飯も食べ終わって何をしようかと考えていた。


「なぁ美優。お前ってやっぱり他人には見えないのかな?」


 勉強机の椅子に腰掛けている美優に声をかけた。

 よく考えてみると美優がベッドに座っても布が乱れたりしない。ということは基本的に物には触れないのだろうか。でも、椅子に座ってクルクルと回っているし。わからないことだらけだ。


「どうかなぁ。見えないのかもしれないし、見えるのかも。」

「見えるのか?」


 見えるとなると一大事だ。俺の部屋に女の子がいることが丸見えになってしまうではないか。


「わかんない。こうなってから話しできたの健ちゃんだけだし。」


 見えるのは俺だけ。話をできるのも俺だけ、か。



「それってさ、結構つらいんじゃないか?」


 俺だったら・・・たった一人にしか認知してもらえない世界はつらいと思う。


「う~ん、でも別に今のところ困ったことないしね。」


 あっけらかんとした感じで答える美優は、もしかしたら強がっているのかもしれない。


「それよりも、聞いて欲しいことがあるんだけれど、いい?」


 俺が少し深刻そうに考え込んでいたら、それを遮るように美優が問いかけてきた。


「あぁ、もちろんいいけれど?どんなこと?」

「実は私ね、ちょっと前までどこにいるのかわからなかったの。」


 相変わらず椅子でくるくると回りながら腕組みをして話しかけてくる。そんなに回って酔わないのか心配だ。


「どういうことだ?」


 どこにいるかわからないというのは、この地域のことかな?久しぶりにやってきたから?いや、でも昨日はバスのこととか詳しく知っていたよなぁ、とか考えてきたけれども聞いた方が早いよな。


「えっとね、なんか白っぽい場所が見えて、光が見えてて、でもってね、なんか色々聞かれたの。」


 美優は椅子に座ってクルクル回りながら思い出しながら話しているようだった。もし、美優が見えていないなら、椅子だけがクルクルと回っているというポスターガイスト現象が起こっているように見えるはずだけれど、幸いにして俺には美優が見えている。だから、何も怖いこともない。


「ほう・・・」


 健斗は顎に手を当てて考え込むような仕草をする。とは言っても、健斗にそっち方面の知識なんてまるでない。だから、考えているというよりは真剣に聞いているという方が正しいのかもしれない。


「で、で、その時に健ちゃんのこと考えてたの。そしたらここにいたの。」


 美優は何があったかわからない。と言いながら笑顔で健斗を見ている。


「ここっていうのは?」

「健ちゃんの部屋。」


 美優が間髪入れずに答えを返してきた。


「俺の部屋・・・それはまたピンポイントな話だな。家の前とかじゃなく?」

「うん、健ちゃんの部屋。」


 ならどうして昨日はバスターミナルにいたのか、とか思うところはあるけれども、美優に聞いたところで良くわからないだろうし、もちろん俺にだってわからない。そういうものなんだと思うしかないわけだ。


「ふーん、それってつまり、死後の世界ってやつで考えたところに来ちゃったってことなのかな?」

「さぁ。それはわかんないけど・・・」


 美優と健斗は真顔で『う~ん』と頭を抱えながら考え込む。けれども、二人が考え込んだところで答えが出るわけではない。


「まぁ、いっかぁ。美優がここにいるっていうのは本当みたいだしさ。なんか俺も楽しいし。あ、でもさ、ご飯とかは?お腹空かないの?」


 健斗が美優に尋ねたのはとても重要なことだ。もし、お腹が空くなら何か食べなきゃいけないわけだから、何か準備をする必要があるからだ。


「今のところはお腹が空くっていう感覚はないんだよね。なんか残念。」


 美優は本当にしょんぼりしたように言った。


「そっかぁ。じゃあさ、眠くなったりとかは?」

「それも今のとこないかな。というかね、もっとすごいことできるよ。」


 そう言って美優は椅子から立ち上がり、ふわっとジャンプした・・・が一向に床に降りてこない。そう、浮いたままでいるのだ。


「おおっ、それはすごいな。浮くってどんな感じ?」


 ベッドに座っていた健斗も立ち上がってフワフワと浮いている美優を見ながら聞いた。


「えっとね、特に何も。」

「何もないのか?」


 健斗は驚きの表情を浮かべて問い返す。


「うーん、強いて言えば風で何処かに行っちゃいそうって感じかな。」

「・・・よくわかんねぇな。」


 健斗は腕を組んで考え込むような表情を浮かべる。美優はフワフワと浮いているのをやめ、健斗の隣に降りてきた。


「ごめんね、まだ私もよくわかんないんだ。でね?提案があります。」


 美優は健斗の前にトタトタとやってきて顔を見上げて言った。


「私と付き合ってください。」

「へ?」

「だからね?明日一日、私の色んな実験に付き合って欲しいの。」

「なんだ・・・そういうことか。」


 俺は思わず胸に手を当てて安堵の表情を浮かべた。いや、安堵だけだったか?


「うん、そういうことだよ。だってね?色々気になるの。どうして私がここにいるのかとか、何ができるのかとか、けんちゃんのこととか。」


 そう言って美優は初めて健斗からスッと目を逸らして言った。


「ああ、そうだ。美優、お前の葬式っていつ?」

「え?何?突然。ちょっといい感じだったのにぃ。」

「いい感じも何もないだろう?葬式の時にお前がいないってなったら、親御さん心配しないか?って、何言ってんだ?なんか俺、変なこと言ってる?」


 思ったことをそのまま口にした健斗が混乱したように軽く頭を掻いた。


「明日か、明後日かなぁ。私もわかんない。気が付いたら昨日はあそこに座ってたし。今日はここにいたし。」


 美優の言葉を聞きながら健斗はスマホで検索を始める。もちろん美優の葬式についてだった。


「なになに?調べてくれてるの?美優のお葬式のこと。」


 よく考えてみると不思議な会話だ。なぜならば、少年がスマホで検索していることはすぐ横でその画面を覗き込んでいる少女の葬式について。そして、その彼と話している少女は幽霊だというのだから。


「あった、これだ。日曜日。明後日だ。」

「へぇー、そうなんだねぇ。なんだか実感ないなぁ。」


 美優は画面を覗き込みながらそう言って、ベッドにボフッと座り込む。当然ながら音もしないし、布団は乱れない。


「行こう。美優の葬式。」

「え、いいよ。別に。私は。」


 美優はあまり乗り気じゃないようだ。健斗から顔をそらして暗い表情を浮かべる。


「なんでだよ。」


 健斗は美優の正面に回り込んで、ガッと美優の両肩を掴んだ。


「だって・・・」

「ご両親に会いたいとか思わないのか?」

「もう、いないし。」

「え?」


 美優の言葉を聞いて健斗の動きが止まる。


 今、『もう、いない』と言ったのか?美優の両親はもういないってことか?よく、思い出せ。俺は何か大事なことを忘れているんじゃないか。


「けんちゃん、ありがとね。私のこと考えてくれて。でも、いいんだよ。私はね、もうこの世にいる人間じゃないの。ただの幽霊なの。どうしてここにいるのかはわからないけどね。」


 美優の言葉は健斗の耳に入ってこない。健斗は必死に考えていた。美優の肩をしっかりと掴んだまま。


「美優、ごめん。俺、すっかり忘れてた。お前が転校してきた理由。」

「そんなの気にしなくていいんだよ。それに忘れててもいいの。」


 美優が転校してきた理由。それは両親が亡くなったからだ。

 まだ幼かった美優は一人で生きていけるわけがなかった。だから、親戚の家に住まわせてもらっていたのだ。でも、まだ幼かった美優はうまくその家に馴染めなかったようで、それで、たったの半年で別の親戚の家に行くことになって、それで転校したんだ。


「美優、あの時の俺は子供だった。今もまだ子供だけど、あの時よりは成長した。だから、今ならお前の気持ちもわかるよ。」


 健斗はその場にしゃがみこみながら美優の顔を見て言った。


「そんなことはけんちゃんが背負うようなことじゃないよ。これは私自身の問題なの。だから、ね?もういいんだ。」


 そう言って美優は健斗の頬を優しく撫でる。美優の体からは優しい暖かさが伝わってくるような気がした。


「でも、俺はあの後の美優がどうしていたのか知りたい。」


 健斗は意を決したように美優に言った。


「・・・聞きたいの?」

「あぁ。教えてくれよ。俺、お前が転校した後に一度手紙を送ったんだ。お前から聞いていた住所に。でも・・・」

「そっか。ありがとう。聞かなくても何があったのかわかるよ。」


 そう言って美優はフゥッと息を吐いた。

 健斗の手紙は戻ってきたのだ。宛先の住所には該当する人物がいないということだった。美優が転校してから一ヶ月後のことだった。


「お前、俺に嘘の住所を?」

「ううん、嘘じゃないよ。私、そこにいたと思う。でも、私には手紙が届いたことなんかなかったよ。理由はよくわからないし、考えたくない。」


 今の俺なら何となく想像できる。多分、美優はあまりいい感じに受け入れてはもらえていなかったのだろう。それで・・・


「美優、お前、どこに住んでた?」

「・・・施設。私、親戚中の誰にも引き取ってもらえなくて、あちこちを転々としたの。理由はわかんない。うちの両親が嫌われていたのかもしれないし、借金でもあったのかもしれないし。とにかく、そんな感じが二年くらい続いて、ある日東京の施設に預けられたの。」


 健斗は声が出なかった。いや、声を出せなかった。美優の肩に手を乗せたまま、悲しくて涙が出てきた。


「ここが一番長く住めた場所なんだ。そして、両親が死んでから一番楽しかった場所。けんちゃんがいたから。」


 美優は泣いていなかった。健斗の手を優しく掴み、肩からゆっくりと健斗の手を持ち上げ、自分の両手で優しく包み込んだ。そして、涙を流している健斗の顔を見て、右手で健斗の涙を拭い取って笑った。


「会いたかったよ、けんちゃん。ずっと、ずっと。」

「でも、俺は・・・美優のことを忘れていた時もあった。」


 健斗は後悔した。どうして忘れていたのかと。何かができたわけじゃない。でも、忘れることはなかったはずだ。


「思い出してくれたでしょ?そして、また、一人ぼっちになった私を見つけてくれた。約束も守ってくれた。私は・・・今が一番、幸せだよ。」


 こんな・・・こんな幸せがあるだろうか。美優はまだ俺と同じ15歳で、もう死んでしまっている。そんな状況が幸せだなんて。そんな悲しいことがあるだろうか。


「そんなこと言うな。」

「ごめん。こんなこと言っても、けんちゃんの重荷になっちゃうね。」


 美優は健斗の手を掴んでいた自分の手を離してベッドから立ち上がろうとする。


「それは、いい。重荷とは思わないし、居たいのなら居たいだけ居たらいい。」


 健斗は美優を見ながらはっきりと言った。


「私、幽霊なんだよ。」

「そうだな。」

「何も、してあげられないんだよ?」

「かもしれないな。」

「本当に何もできないよ?ただ、いるだけなんだよ?」

「でも、そこに居るんだろう?」

「うん、私は私。今ここに居るのは私。空木美優だよ。」

「あぁ、知ってるよ、美優。俺は山本健斗だ。」

「知ってるよ、けんちゃん。私の大切な、すっごく大切な。一番の・・・ずっと会いたかった。ずっとお話ししたかった。」


 そう言って美優は抱きついてきた。それは昨日の抱擁とは明らかに違うもの。美優の本当の気持ちが溢れるように健斗にも伝わってくる。


「美優・・・」


 健斗も美優を抱きしめる。昨日のように美優の柔らかな、そして温かい感触が体を通じて伝わってくる。そして、美優の鼻をすするような音が聞こえた。


***********************************************************************************************


「ねぇ、けんちゃん。」

「ん?」


 健斗は机に向かって宿題を片付けていた。美優はベッドに座り、部屋のテレビを見ている。


「さっきさ、ギュッてできたよね。」

「・・・そうだな。」


 照れ臭いのか健斗は左手で頬を軽く掻きながら適当に返事をした。


「なんでかなぁ。」

「なんでって・・・そりゃ・・・」


 そこまで言って健斗もようやく気がついた。健斗が美優の手に触れようとした時には触れられなかったことを。


「ね?なんでだろう。もう一回試してみてもいい?」


 そう言って美優が飛びついてくる。


「わ、やめろってっ。」


 美優はベッドからふわっと健斗のところに飛んできたが、そのまま健斗をすり抜けて壁の向こう側に消えていく。


「な・・・」

「あれー?」


 壁の向こう側から美優の声が聞こえるのと同時に壁からにゅっと美優の顔が現れる。


「うわっ。」


 思わず健斗は驚いて声をあげる。


「なんでだろー、ギュってできない。」


 美優はそのまま壁から抜け出してきて健斗の横にふわっと着地した。


「たまたまだったんじゃねぇの?」

「そうなのかなぁ。もっとギュっとして欲しいのに。」


 そう言って美優は自分で自分を抱きしめるような仕草をしながら目をつぶって体をクネクネとさせる。


「何言ってんだよ。さっきのは偶然だったんだよ。だいたいそんなに簡単に幽霊を触れたら異常な事態じゃねぇかよ。」

「だってー、何にも触れないと、本当になんもできないじゃーん。漫画とか読みたいし、テレビのチャンネルとかも変えたいー。」


 美優はベッドに走って行き、ジタバタと騒ぐ。が、音も聞こえないし、布団も乱れない。


「う〜〜ん、あのさ、よくわかんないんだけどさ。」


 健斗が話し始めると美優はベッドの上に起き上がり正座をして向き直った。


「なんでしょう。」


 美優は唇をキュッと引き締め、急に真面目な表情になっている。


「あのさ、さっきの壁をすり抜けた時とベッドにダイブした時の違いって何?」

「な、何を聞かれているのか、さっぱりとわかりませんが・・・」


 美優は口をぽかーんと開き、健斗の顔を見つめる。


「いや、だからさ。美優には体っていうか実体がないわけじゃないか?だとしたら全部すり抜けられるよな。俺のこともすり抜けて行ったしさ。」


 あの時は温かい空気が通り抜けたような感じだったな。正直に言えば、美優の姿がはっきりと見えているから、ぶつかるかと思って目を閉じたからよくはわからなかったのだけれど。


「ふむふむ。だねぇ。それで?」

「いや、だからさ。俺のことはこの際だけど一旦置いておいてさ、美優が本当に触れたいと思った物には触れられるんじゃないの?で、そう思っていないものはすり抜けられるとか。」


 健斗はよくわからない理論をぶち上げる。まるで根性さえあればなんとかなるとでも言いたいのだろうか。


「おおっ、そういうことね?えっと、どうだろう。特には考えていなかったような気がするけど。」


 美優が驚きと喜びで笑顔を浮かべたかと思いきや、一瞬で落胆の表情を浮かべた。


「試してみてくれよ。俺もちょっと気になるから。」


 そう言って健斗はテレビのリモコンを指差した。美優も健斗の指差した方向を見た。


「うん、やってみようか。」


 そう言って美優はベッドから立ち上がり、リモコンに手を伸ばす。


「うにゃ、掴めないにゃー。」


 そう言って健斗の方に振り返る。


「気合が足りないのでは?」

「気合ですか。キャプテン。」

「誰がキャプテンだ。でも気合が足りんな。」

「了解であります。」


 美優はビシッと敬礼して、再びリモコンを手に取ろうとする。


「「あっ」」


 二人が同時に声をあげる。それは美優がリモコンを掴んだことが理由だった。



 その後、二人で色々と試して見たところ、美優が強く意識して触りたいと思うものには触れることがわかった。テレビのリモコンや本、ドアノブやドア。ほとんどすべてのものに。そして、健斗のことも。けれども、健斗から美優に触れることはできなかった。美優からは『キャプテンは気合が足りないにゃ。』とか『私のこと、キタナい女とか思ってるんだ。だから触りたくないんだ。』とか散々言われたが、どちらにしても健斗からは触れることができなかった。


「ま、とにかく、美優はものに触れるってことがわかったからよかったな。」

「うん、歯も磨けるね。」

「・・・だな。っていうかさ、喉とかも乾くの?」


 そう聞かれて美優は少し考え込む。そして、パンッと両手を打った。


「なに?」

「お腹空いたかもしれない。」

「なんとっ、このタイミングで?」

「ごめんね、もしかしたら物を持ったりするのって、なんかエネルギーとか使うのかも。」


 なるほど、本来はやらなくてもいいことをやると腹が減るのか。これはまずいかもしれないな。ん?素朴な疑問があるんだけど聞いてもいいのだろうか。


「もしかして、他にも気になることあった?」


 美優が健斗の考えを先読みしたかのように聞いてくる。


「食べるということはさ、ほら、分かるだろ?俺の聞きたいこと。」


 健斗の言葉を聞いて美優はキョトーンとした表情を浮かべている。


「んー、飲み食いしたらさ、トイレ行きたくなるだろ?」

「あー、そっかそっか。そういうことね?うーん、どうなんだろう。」

「それにさ、食べ物とかを食べたら食べ物は見えなくなるのか?俺には美優の姿が見えてるけど、他の人にしか見えないわけじゃないか。リモコンだって、他の奴らが見たら勝手に浮いているみたいに見えるんだろ?」


 健斗は何やら色々と心配のタネが尽きないようだ。そんな健斗の言葉を聞いて美優が『うーん』と唸りながら真剣に悩んでいる。どちらにしても、二人だけでは確かめることはできないし、だからと言って誰かに話すと変人扱いされることは目に見えてる。


「難しい問題だよな・・・ここに居るときは良いけど。」

「うん、外に出たときは要注意だよね。」


 二人で納得して居るあたりを見ても、なかなかにお似合いのバカップルなのかもしれない。もちろん、異色の組み合わせではあるのだけれど。



 その日の夜、二人は久しぶりに色々なこと、お互いのことを話し合った。

 健斗は美優が転校した後の出来事を、美優は転校してしまってからの健斗のことを。それぞれが互いのことを話した。美優は健斗の話を少し大げさなリアクションを交えながら楽しそうに聞いていた。健斗はベッドに横になりながら。美優は空中をふわふわと漂いながら。とても不思議な光景が健斗の部屋には広がっていた。


 そして、美優の話を聞きながら、健斗は知らないうちに眠ってしまっていた。

まるで普通の男女のような、いや、どこか初々しいようなそれでいてちょっと悲しい、そんな感じです。

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