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学校のかいだん

生徒会に里美の記憶の事、温泉旅館で混浴した事を脅されて校内の問題を解決することになってしまった。

生徒会の野生児恥女ビッチ、柴田 笑美、そして里美と共に校舎を練り歩くのだった。

「んで、まず何から行くー?」

ぶっきらぼうな態度で柴田がたずねてくる。

期限までそう余裕もない。手当たり次第という訳にもいかないだろう。

「…佐竹さんってどういう人なんですか?」

「学年、いんや学校一の美女だった奴だよ」

だった、今は違う。

コンタクトだったのか赤縁の眼鏡をかけ髪はぼさぼさで無造作にのび、黒のカーディガンがトレードマーク。

昨年の文化祭、ミス帝陣コンテストで見た舞うような美しさは微塵もなかった。

「けどそれって問題なんですか?」

「かたっくるしいしタメで良いよー」

本人の感性しだいなら他人が口だすのもどうかと思う。

「いきなりそんなんなったら心配っしょ?」

そうなのか?俺が冷たいのだろうか?

「プライベートな事情に手を出すのはよくないと思います」

「まっあんたらの好きにしてョ」

そうこうしてる間に三年生の教室に着いてしまった。

「しーずりー!」

すると柴田が件の先輩に声をかけた。

好きにしろって言ったくせに。

先輩はこちらを見るとばつが悪そうに眉根を寄せる。なぜか呼び掛けた柴田ではなく俺を見ていた。

返事を渋る先輩に対して柴田はづかづかと教室に立ち入っていく。

「最近元気ないみたいジャン、会ちょも心配してたよ?」

「……笑美、どうして貴方がその子達といるの」

先輩はしきりこちらを気にしてくる。

「えと…、どこかで会いましたっけ?」

「……っもう放っておいて」

そして勢いよく椅子から立ち上がると教室を出ていってしまった。

「あらら、怒らせちゃったかぁ…」

先輩と話をするのは難しそうだ。

よほど触れられたくない部分なのだろう、無理強いはできない。

仕方ないので別の案件を調査することにする。

しかし芳しい結果は得られなかった。

「夜も続けたいんですけど」

リストには夜中に起きるという問題もいくつか記載されている。

「んー、会ちょに言っとくー」

途中から飽きてスマホを弄っていた柴田がぶっきらぼうに答える。

「私トイレ行ってくる」

「ああ、待ってるよ」

里美はピンク色の部屋に消えていった。

「!」

すると突然誰かが俺の手を掴んだ。

誰かじゃない、この場にいるのは俺と生徒会の柴田 笑美だけだ。

柴田は手を持ち上げると豪快にはだけた自分の胸に押し当てた。

五指が浅黒い肌に沈みこんでいく。

柔らかくもしっかりとした存在感が指に伝わる。

「なっ!?」

慌てて振り払おうとするがびくともしない、なんつー馬鹿力だ。

「あんたさぁ、私の事苦手だろ?」

不敵に笑いながらピンク色の艶っぽい唇を動かす。

「私もあんたと仲良くできるとは思わないけどさ、不思議だよねーこうゆうのなら嫌じゃないんだもん」

膝で俺の股間を押し上げる。

「…っ」

「アハハ、ピクッてしたぁ、きもちい?」

「……てめえ、何考えてんだ」

「別にぃ~、私はかいちょの役に立ちたいだけ。素直に従うなら気持ちヨクしてあげる❤」

「お前、彼氏がいるんじゃねぇのかよ」

「いるよ5人、も一人増えた方が日替わりでちょうどいいじゃん」

「誰がお前なんか……」

「いつまで強がっていられるかな~?」

すると片方の手で俺の股間を弄り始める。

「あはっもう大きくなってんジャン、体は正直だね~」

手慣れた手つきでズボンの中を玩ぶ。心地好い感触が下半身から競り上がってくる。

「ピクピクしてる❤」

興奮が新たな興奮を呼び、敏感になった体はより強い刺激を求める。

意識が狭窄していく。下半身へと落ちていく。

「素直になればもっと気持ちぃよ…」

堕落したその終点には間違いなく幸福が待っていると、普段閉じ込めている生物としての欲求が告げてくる。

口内が唾液で満たされる。まるでご馳走を見つけた獣の如く。

なんとかしなければ、このままだとまずいことになる。

「あ!会長ーー!!」

「え?」

力が緩んだ所で精一杯で脱出した。

「てめえ、騙したな!」

こんなんで騙せるとは思ってなかった。

「ハァ…ハア…」

「目ぇ血走ってんジャン、ほんとは欲しくてたまんないんでしょ?ホレホレ」

短いスカートをたくしあげる。紫の派手な下着がよく見えた。

「すきなだけサせてやるからさ、こっち来なよ」

そう言って男子トイレに入っていった。

そして入れ替わるように里美が出てくる。

「曜ちゃん?」

「…なんでもない、行こうぜ」

俺達はその場を離れ校舎の外に向かう。

「あの…佐竹先輩なんだけど…」

レンガ敷の道を歩いていると口ごもりながら切り出してきた。

「どした?」

「…おんなじ顔だった」

同じ顔?いったい何の話だろうか。

「私の記憶が消えちゃって最初に会った時の曜ちゃんと同じ顔してた」

先輩の表情はうつむいていてよく見えなかったが苦しそうなのは伝わってきた。

あの時の俺も苦しんではいたがそれを里美に悟らせないようにしていた、しかしどうもばれていたらしい。

その二つが似ていたというのはどういう事なんだろう?

教室で話した時、いやほとんど話せていないが。

先輩は俺の事を知っているみたいだった。

でも俺に面識はない筈だ。

何かを忘れている?そんな訳ない。俺の記憶に欠落している部分などないんだから。

「気になる?」

「まあな、けど今はどうしようもない」

もしかしたら誰かと間違えたのかもしれない。

俺達はアパートに返って適当に時間を過ごした後、再び学校に向かった。

夜の学校に来るのは体育祭の時以来だ。

前回は写真を撮られて破壊事件の容疑者にされたが今日はバックに生徒会がいる。遠慮なく侵入した。

相変わらず夜の学校というはものものしい雰囲気が漂っている。

普段見慣れている分誰もいない校内は不気味に感じるのかもしれない。

「怖くないか、里美」

「うん、大丈夫」

どうしてもというのでつれてきたが案外心強いかもしれない。

若干尻込みしつつも暗がりを進んでいく。

「こんばんわ」

「うわぁっ!?」

突然の声に思わず飛び退く。

「きゃっ」

その拍子に里美の胸をつかんでしまった。

「それはわざとやっているんですか?お願いなので5メートル以内には近づかないでくださいね」

「あんたが急に出てきたせいだろ…」

そこにいたのは生徒会室で会長の横に立っていた眼鏡の女子生徒。少し佐竹先輩に似ている気がする。

「紹介がまだでしたね、私は羽柴 女神、生徒会では会計職についています」

「めがっ……え?」

「何か?」

「いえ、なんでもないです…」

人の名前をとやかく言うもんでもないだろう。けしてどす黒い笑顔にびびった訳ではない。

「夜は貴方なんですね」

「あの常軌を逸した女は夜の営みに忙しいので」

「……仲悪いの?」

「いえ、事実を述べただけです」

「そうですか…」

「ちっ」

ぜってぇ怒ってるよ、チョー怖いよ!

「あんなのでも身体能力は指折りですからね、性欲共々獣のような女です」

生徒会にも色々事情があるらしい。

「それでこの後はどうするつもりですか?」

「適当に歩いてみますよ」

まずは『屋上の幽霊』から。

「幽霊なんて非科学的なもの存在するわけがありません」

異世界も魔法も有ったんだよなー。

案外この世界には俺の知らないことがたくさんあるんではないか。

「でも、亡くなった人にもし会えるなら…」

隣にいる里美が呟く。

「人はいつかは死にます。それでも歩みを止めなかったからこそ今の私達がいるんです」

力強い覇気を纏う言葉に影を落とす里美。

「別に一人二人立ち止まったって世の中変わりませんよ」

「軟弱な」

そうだ軟弱だ。強いやつは一人で立てるから俺は軟弱の味方だ。

「羽柴さんも軟弱になったら助けてあげますよ」

「は?」

目を見開いて素で驚いたような顔をしている。

案外かわいい人なのかもしれない。

「あっ貴方の助けなどいりません、馬鹿にしないでください」

「本心ですよ」

「っ~…」

それから少し歩いて屋上の扉を開けた。

夜風が顔を撫でる。心地好い。

町の喧騒もここまでは届かない。まるで夜空を写したみたいに大地に星が瞬く。

「綺麗…」

両隣に佇む女性陣が同時に呟いた。

君達の方が綺麗だよ、と心の中でいってみる。

二人を他所目に辺りを観察する。特に幽霊らしき物は見当たらなかった。

「これで問題は解決だな」

「一度見回った位で何を言っているんですか?」

それじゃあ幽霊がでなきゃ一生解決できないじゃねぇか。

とりあえずいったん別の場所にいってみるしかないか。

再び扉を開けて屋上を出る。

「どうした?」

なぜか里美が階段の前で立ち止まった。

「ううん、見間違いかも」

いったい何が見えたのか。

俺達は次の目的地に向かった。


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