酔い
「大変じゃー、JKを酔わせようと思って酩酊の魔法をかけた水を里美ちゃんが飲んでしまったーー!?」
「何をやってんだおめーはぁーーー!!」
クソエロジジイの絶叫に俺は慌てて階段を駆け下りる。
「里美!大丈夫か?!」
「ふへぇ…?」
呂律が回らないのか妙に舌っ足らず。
床にへたりこんでいる里美は焦点の定まらない瞳でこっちに振り返った。
「かわいそうにのぅ、わしが介抱してやろう。まずは服を脱がせて…」
「ジジイは近づくな、あと一週間飯抜き」
「えー、わし死んじゃう!」
死ね。
ガバリっ。
「わっ」
すると突然里美が覆い被さってきた。
「何してンだ…」
「よーひゃんのびゃか」
「あん?」
「嫌い」
里美はプイッとそっぽをむく。
そのわりには腕が首に回されたままだ。
「嫌いでもいいからおとなしくしてような」
「バカ」
半目で睨み付けてくる。酔っぱらってるせいか言動が支離滅裂だ。
「解除できないのか?」
「ほっとけばそのうち治るじゃろ」
とりあえず無理やり部屋に連れ込んで閉じ込めることにした。
酔っぱらうと水分が欲しくなるらしい。今もそうなのかわからないが、俺はコップに水を注いで持っていく。
「って、何脱いでんだ!?」
「あちゅぅい…」
体育祭だったからか今日はスポーティーな下着だった。
「わっ」
そして驚いた表紙につまずきコップを傾けて中身をぶっかけてしまった。
「ちべたい…きもちいぃ…」
「すまん、大丈夫か?」
俺はタオルを取り出して渡す。
しかし里美はなかなか受け取らない。
「拭いて」
「いや、自分でできるだろ」
「拭いて!」
仕方ない、このままだと風邪をひくかもしれないし。
俺はなるべく見ないようにしながら里美の体にタオルを這わせていく。
しかし布越しに柔らかい感触が伝わってくる。
「ぅん……もっと優しく…」
変な声を出すな。
「これでいいか?」
「足の間もぉ」
「そこは自分でやれ」
「むぅ…よーひゃんがかけた癖にぃ」
しょうがないな…、これは下着じゃない、水着だと思うんだ。
「ぁ……なんか…恋人みたい…」
里美の中で恋人の定義がおかしい。
「ほら、拭けたぞ」
「…まだ湿ってる」
「それくらい我慢しろ」
「じゃあ脱いじゃうもん」
「やめなさい!」
下ろそうとする腕を掴んで引っ張る。
「あっ上げちゃダメ!」
「上げなきゃ下ろすだろ!」
「やっ…」
揉み合っているうちにベッドにつまずいてそのまま寝転んだ。
「曜ちゃんのえっちぃ…」
耳元で甘く囁かれる。熱い吐息が肌を撫でる。
全てを受け入れてくれるような大きな愛の双房に顔が包まれる。
「よーひゃんは私のことだけはんはえていればいいの…」
もうおっぱいのことしか考えられない。
「興奮してるの…?」
そりゃ俺も男だから、こんな状況じゃ色々と押さえきれない。
「家族なのに…?」
「………」
「よーひゃんは悪い子でしゅねー」
そう言って頭を撫でてくる。
優しく…そっと薄皮に触れるように。
ゆっくりと上下させる。
「今日はいっぱい頑張ったね…良い子、良い子」
甘い声に意識が溶けていくようだ。何も考えられなくなる。
「いーぱい甘えて良いからね…」
「里美…」
そのまま一つに溶け合うように体を重ねる。
それは何より甘美な体験で至福の永遠のような数分。
微睡むように彼女の体に浸っているといつしか頭部に添えられた手が止まっていた。
それを持ち上げるように顔をあげるとどうやらいつのまにか眠ってしまったようだ。
俺は腕の中から抜け出して布団をかける。
そして机の上のティッシュを数枚抜き取ると、濡れた体を処理する。
「曜ちゃん…行かないで…」
そんな寝言が聞こえてきた。
俺は再びベッドに近寄るとひざまづく。
「そばにいるよ、お前がもういいっていうまでは…」
その後部屋を後にした。




