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敵は、「9.80665m/s2」! 

作者: かるめん
掲載日:2009/03/01

 

 僕の名前は、鈴木太郎。

 僕の好きな人の名前は、此花サクヤさん。

 サクヤさんのあだ名は、『スプリングガール』。

 そのあだ名がついた理由は、彼女が受動型念波放射能力者だから。

 サクヤさんは極度の男性恐怖症で、半径5m以内に近づいた男を自動的にはじきとばすテレキネシストなのだ。

 ちなみに、弾き飛ばされる際の速度は物が落ちる速度より若干速い。

 これは、何度も経験した僕がの言うのだから間違いない。

 そう、僕は彼女が好きなのに、近づくたびに弾き飛ばされ、未だに自己紹介すらできていないのだ、とほほほ。

 とりあえず、サクヤさんの紹介はここまでにしておきたい。

 なぜって、それは……

 

 ―――僕たちが今、11,000mの高さから凄いスピードで落下している途中からさっ!! 

 

 髪の毛を根こそぎにしそうな猛風。

 鼓膜を破って脳に届きそうな轟音。

 鼻水も涙も凍らせる極寒の気温。

 雲を貫いて落下しながら、僕は完成したばかりの軌道エレベーターで史上最高度の卒業旅行を企画した校長先生を恨んだ。

 そして、世界最初で最高度の痴漢行為をよりによって、サクヤさんに働いたあの男を恨んだ!!

 ちっくしょう、その宇宙につながる巨大エレベーターで、何かほかにやる事がなかったのか、あのスケベ親父!!

 

 スケベ親父は半径5mの絶対領域に入ったとたん、弦から離れた矢みたいに飛んでいった。

 脂ぎった親父の体重を受けた窓ガラスはひびが入り、砕け散る。

 気温差のせいで、エレベーターの中にあったものが外に吸い出された。

 そのまま、あの男が吸い出されたら自業自得だけど、運悪く外に飛び出したのはサクヤさんの方だった。

 僕はサクヤが窓際から姿を消したのを見た瞬間、近くにあったお土産の登山ロープをつかんで窓の外に飛び出した!


 ―――敵は重力加速度、「9.80665m/s2」! 


 眼の端に浮かんだ涙が凍りつくのを感じながら、一直線に落下していく。

 やがて、かすんだ僕の視界に先に落ちていくサクヤさんの姿が見えた。

 僕はロープを振り回して彼女の方に投げた!

 そのロープを体の周りに巻きつけて見せた。

 必死の思いが通じたのか、サクヤさんも同じようにロープを体に巻き付けた。

 よし、ここまでくれば半分助かったようなもの!

 両手で必死にロープを引き寄せる。

 サクヤさんの目が驚きに丸く見開かれた。

 僕たちの距離が、5mまで縮まったとき、


 来た、お馴染みのあれがっ!!


 頭が真っ白になるような加速と共に真上に吹っ飛ばされる。

 その衝撃は、ロープを伝わってサクヤさんの体に届き、彼女が落下していくスピードを減速させた。


 ロープに体を締め付けられてサクヤさんは、つらそうな顔をした。

 僕も結構きつい。

 胃袋の中身、と言うより胃そのものが口の中から飛び出しそうな衝撃。

 でも、下に落ちて外も中身もぐちゃぐちゃになるよりは、こっちの方が遥かにましだ。


 それから、何度も僕たちは接近しては離れ、減速してながら落下していた。

 地面に生えている木々がくっきりと見え始めたころ、僕は二人の距離が5mより接近していることに気づいた。

 弾き飛ばされるスピードも少し落ちているような。

 ひょっとしてバネが伸びきるように、サクヤさんの能力って連続して使うとだんだん減衰していくの?

 すごい発見だけど、すごく嬉しくない。

 このままだと、危険なスピードを保ったまま、サクヤさんが地面に激突してしまう!

 

 って、もう1m以内に近づけるようになっている!!

 地面まではあとほんのわずかだ。

 下が草原になっているのを確認した僕はロープをぐっと手繰り寄せ、

「サクヤさん!」

 生まれて初めて彼女の顔をじかに見た。

「僕は、ずっと」

 想像していたのより可愛い!

「貴女のことが」

 でも、もう時間がない。

 僕は、手をのばしてサクヤさんの肩をつかんだ。

 念動力にあがらいながら、二人の位置をぐるりと入れ替える。

 背中に衝撃を感じた瞬間、僕が見たのはクッションみたいにやわらかく空に弾かれたサクヤさんの姿だった。


 気がつくと、頬に何か柔らかいものが押し当てられていた。

 眼を開けるともうちょっとキスができそうな距離にサクヤさんの顔があった。

 ちょ、これはうわさに聞くひざまくっ

「鈴木くん、大丈夫?」

「さ、サクヤさん、僕の名前を知ってたの?」

「うん、だって……」

 頬を染めて、顔を背ける。

 ははは、そうだよね。

 一日に何回も吹っ飛ばされる男がいたら、顔と名前ぐらい覚えるよね。

 何も言わずに彼女は手を伸ばし、僕は指を重ね。

 その時、ふと脳裏をよぎった疑問。

 なんで、僕は吹っ飛ばされないのか?

 これは、サクヤさんが僕を受け入れた証拠なのか?

 まだ、わからないことはいっぱいあるけど、一つだけ確かなのは……


 今、僕に念願の人生の春が訪れたってことかな!! 



あとがきのやうなもの


 この作品は、電撃文庫の読者参加企画に応募しておくったもの……。

 なぜ、最初のメールは届かず、次に時間ぎりぎりで送ったメールは文字化けしていました。

 おろろろん、おろろろろおん(泣)

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