父「僕はね魔法使いなんだ!」
「パパ、鈴ちゃんに会いたくて早く帰ってきたの!」まだお昼だと言うのに帰ってきてしまう父さん。職種走らないが自営業の父さんだから出来る事だな
、
「海鈴ちゃん!まだ寝てたの?早く起きなよ!今度寝てたら、パパ、キスしちゃうぞ☆」
いつもなら臣どーん!が合図なのに名前が違う、海鈴か…案外可愛いじゃんか。
「おう」
このキャラの濃いおっさんが俺の父、織幡和美だ。父さんはなんも変わってないないつも以上に鬱陶しいだけだな、うん。
父はボサボサ頭を掻きながらおどけるよう眼鏡をずらして口を開く。
「海鈴ちゃん明日から高校生だねぇ?娘の制服
姿も後3年かぁ…トホホ」
俺はいつもの様に鼻で笑いに座布団に座る。もう4月だって言うのにコタツを出している我が家、仕方が無い俺が冷え性だからだ。
女の子になったって事は冷え性悪化してるんじゃ…考えたくもないな。
「相変わらず鼻で笑うのママみたい、はぁママに会いたい、話したい…海鈴電話掛けて…」
「じゃあ自分で電話しなよ、いつも俺が電話してんじゃん」
一人称が俺で大丈夫なのかと心配になったが、この世界でも俺は俺の様だ。
「だってぇ怖いんだよ!電話かけたら第一声が「なに?」だし!しかもすっごい低い声で!」
父と母は10年前に離婚している、主に父が原因だ、この性格が祟ったのだ。だと言うのに相変わらず父は一途すぎる。
「まぁ今は俺が居るんだしそれで満足でしょ」
「海鈴ゥゥゥゥゥ!」
鏡で見た俺の顔は殆ど母さんの若い頃まんまだ。やべぇ、安心できないな。
「明日の入学式は送ってあげる!どうせ僕も行くんだし」
そう言って父さんはキッチンお酒を取りに行った。それに俺も着いていく。
「おっけー、助かる」
と言っても俺自身2度目の高校がどこか分からない。部屋に掛けてあった制服はどう見ても1度目の高校のとは別もだった。どこの高校なんだこのマンションから近いのか?モノレール沿線か?むむむ、明日になればわかる事か。
父さんが煙草に火を付け、徳利に日本酒入れると、僕がレンジでぬる燗にする、いつもと変わらない風景だ。
父さんは1日3合ほど飲む、それはいいんだが…酔うと俺へ弄りが酷くなってハッキリ言って鬱陶しいのだ。女である今だったらセクハラと大して変わんないじゃねと思ったり。
それから2時間…案の定である
「海鈴ちゃ〜ん!」
最初は脇腹擽るだけだったのが頭を俺の肩に押し付けぐりぐりしてくるし、抱きつくわ頬にキスするわ。やべぇなうちの父さん。
俺が目を細めると「そんな目で見ないで〜!パパ悲しいわ〜!あ、でもお母さんみたいで良いかも…」とか言い出す始末である。これはもうダメかもしれんね…
「海鈴ちゃん実はね今まで隠してたことあるんだ」
父が急にふざけるのを辞め真面目モードに入る。
「な、なんだよ改まって」
「知りたい?知りたいよね?どーしよっかなー」
前言撤回だわただの弄りだこれ、しょうがない乗ってやるか。
「知りたい!」
「実はね、パパは魔法使いなんだ!」
………なにいってんだこいつ。
父さんから告げられた衝撃の真実()