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キャスリーン

 そして白い手が差し出された。よく見ればテキサス風というか農場にでも居そうな服装だ。そばかすはないとは言えないがケアしてるのか殆ど見えないくらいだ。


「I am all right」


 取り敢えず、彼女の手を取り立ち上がった。取り敢えず御汁を回収しつつ話を聞く。


「貴方は?」


 日本語で聞いてしまったが彼女はパペットの頭部から斧を引抜いて親指を立てる。それは金属製でホームセンターとかにありそうな斧だ。

 そう言えばこの斧失くすまでは耐久力無限なんだよな。雑魚【使徒】ならNIGHTMAREでも一撃だし俺が欲しいくらいだよ。


「I am ok.Because it was not shot in you」


 微妙に根に持たれてるのか、貴方に撃たれなかったから大丈夫と返答がきた。

 カタストロフィ・メサイアの北米版に付いて聞こうと思ったがなんと聞けばいいのか分からない。


「you are hot」


 俺を見てニコニコしてるので恨んではいないようだ。


『何をちんたら話しておるのじゃ。念話を使えばよかろう。警戒はしておくから早く状況の把握に努めてくれ』


 クロユリの存在を失念していた。と言うか早く指摘しろと思わんでもないが今は彼女が正しい。と言うか通じるなら最初に言ってくれよ。


『……カタストロフィ・メサイアは最初? なれてるっぽいけど』


 当然、会話の内容は隠してあった。これが単にゲームをクリアするだけの状態ではない事は把握してくれていたようだ。


『日本版はやってる。これはアメリカいや北米版仕様なのか?』


 俺はこのチャプター3の終着点へと歩いて移動する。ここが難所のうちの一つだったとはいえ銃弾が一桁になるとは思わなかった。普通のホラーゲームは難易度があがるとボスよりも雑魚が複数来られる方が辛くなるがこのゲームの場合は違う。


 雑魚は全体的に強化されているが視野や聴覚はあまり強化されてない。それ故にスニークキルで倒していく事が攻略の糸口となる。以下に弾薬を温存してボスと戦えるかが勝負になってくる。


『ホクベイ……ステイツ版の事ね。yeah。ディレクターズカット版。ルート追加とイベント追加。ゲームオーバーポイントの追加』


 彼女もアイテムを拾い集めてくれている。Co-opだが使えない弾丸は自動的にこっちに補給される筈だ。


『お前たち、自己紹介くらいしとけ。見ているこっちがもどかしいぞ』


 見兼ねたクロユリが口を挟む。


『キャスリーン・グッドスピード。テキサス』


八月朔日祐(ほずみゆう)。伊勢……三重だ』


 その反応にキャスリーンがこっちをみて困惑した表情を浮かべる。やっぱりどこらへんか分かってないのだろう。


『日本の真ん中の辺りだ』

『OK!Center』


 通じてるのか通じてないのか微妙なニュアンスの違いを感じながら俺はアイテムを回収し終える。この集落を出たらチャプター4だ。ボスの後はアイテムが落ちているだけの筈だが嫌がらせに【使徒】を1体か2体配置していたような気もするので小屋に隠れながら進む。


『マイキュートはどっちへ行くつもりですか?』


 キャスリーンが変な事を言う。それを言うならマイ・ラブとかマイ・ハートとかじゃないのかとも思わなくもないがあったばっかりの人間にそんな事を言ったりしないからこれが適切なのだろうかと疑問に思いながら俺は問いの答えを探る。


『廃鉱に落ちるルートと別のルートか』

『YES!元からあった森林ルートに関所ルートデス』


 集落の境目で俺たちは立ち止まる。あと一歩踏み出せばチャプター3が終わる。集落と外を分ける柵の向こうには日本版では一本道だった山道が左右に分かれていた。


『関所ルートはどんな感じなんだ?』


『新型のトラップと【フラワー】が多数出てきます。あとクルセイダーがいっぱい? でもトラップを使ってクリアすればballet余る。ちなみにボスは居なくて関所にあるボートで港町までゆけます』


 それだけ聞いた俺は本来のルートと比べる。森林ルートはクロユリとも少女とも離れ離れになってしまう。それに狭い地底湖で大型のボスと戦わされるのだがスニークキルが入らないためにどうしても弾薬を食うことになる。

 考えるまでもない答えは決まってる。


『分かった。関所の方へ向かおう。案内を頼む』

『I’ll handle it.泥舟に乗ったつもりで安心』


 キャスリーンは任せろと言わんばかりに右手で拳を作り、自分の胸に添える。


『泥舟は間違っておるぞ。それを言うなら大船だろう』


 黙って聞いていたクロユリがツッコミを入れる。キャスリーンは舌を出して気まずそうにした。


「何れにせよ。右側でいいんだな」

「YES!」


 俺の問いにキャスリーンは右を指さした。


「じゃあ、キャス行こう」


 俺は門をくぐり集落の外へと出た。リザルト画面が表示される。リスタート地点が良かったためにノーセーブのボーナスポイントが多少入っている。

 ワンテンポ遅れてキャスリーンがやってくる。キャスは「I called my thing」とか言ってる。


『マイキュート、プリーズ、スニークキル以外にも最低限多少ライフにも振って下さい。ノー強化だとボスでワンキル』


 キャスリーンの声が聞こえてきた。そう言えば、この先のボスでライフが低いと即死する可能性があるのか。ユニークキルの範囲拡大を取ってからライフを上げておく。

 さあ、チャプター4だ。

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