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ペンは魔法よりも強し  作者: 望月大佐
1/1

いつかこの絵が届くまで


カリカリカリカリカリカリ…バサッ!


「枠仕上がったぞ!」


スッスッスースースッスッー…フー


「ベタおけだぜ!!」


「あとはまかせろぉおおおおお!!」



梅雨入りした名古屋の気温は23度。

蒸し暑さが神経を逆撫でするこの季節に、


タケシこと神原剛史とその友人達は「あるもの」を制作いた。



今年の夏に開かれる聖戦、【コミケ】に出品する同人誌だ。



元々絵を描く才能が突出していた剛史は周りの要望を聞き、独自の世界観で現すという方法で絵を描いていた。


しかしある時突然



「何も描きたくない。ワクワクするものが無い。」



と虚無感に襲われ、ペンが走らなくなった。

そんな期間が数年間続き、

友人の木本雄二からある日突然メールが届いた。



『剛史に会わせたい奴がいるんだよ。中学校の同級生らしいぞ!?』



初めは訝しんだ。中学の同級生なぞとうに忘れてしまった。



『そいつな、絵は描けないけど小説ならいくつも執筆してるんだってさ』



その一文に全意識が持っていかれた。

単純に興味を持った。


そして雄二の紹介で知り合ったのがコイツ。



「ひさしぶりじゃん。小倉だけど覚えてっかな?」



全く覚えてない。



「いや、全然。」


「文化祭、抜け出し、点呼」


「おまえかーー!!」



思い出した。文化祭の日に学校を抜け出して他校の友達とゲームセンターに居たのを地域のおばちゃんが不審に思って学校に通報された奴がいたのは知っていた。


そして再発防止策として昼飯食べた後や片付け後に点呼を取る事になった。


その元凶が目の前にいる。



「おまえ同人誌かけねぇの?」


「は?」


「魔法バトル物の同人誌」


「可愛い女は上手く描けん」



俺は男ばかり描いてきた。女の身体つき、動き、表情、感情、仕草全てが頭に入っていても思うような出来にならない。



「誰も可愛く描けなんて一言も言ってないだろー。絵は世界に入り込む扉だろ?うま過ぎてストーリーが頭に入らなかったら意味ないやろが」


そう言われて何となくわかる気がした。

確かに最低限の画力は必要だが、魅せられる程の必要はない。


「んで、小倉よ。何で同人誌なんだ?」


「決まってんだろ?







俺がコミケに行きたいからだ!!」



「しょうもな!!」


勝手に行けば良いものを何故赤の他人を巻き込んで、

しかも制作までしてコミケに参加したいのか。


コイツの真意がサッパリ掴めない。


「なぁ神原、ぶっちゃけお前がスランプに陥っていようがどうなっていようが俺には関係ないんだよ。


だって俺は木本とお前と俺で魔法バトル物の同人誌作ってコミケに行きたい。それしか考えてない。」


「あのなぁ小倉、同人誌にも幅が広くてだなぁ…」


「描かなかったらお前死ぬぞ?」


小倉は唐突に言い出した。



この小説を手にとって下さってありがとうございます。


望月大佐ともうします。


この小説は私の友人をモデルにしており、

テーマは【成長】です。


目標がみつからず、ワクワクすることも見つからず悩み果てている友人に向けて私はそっと手を差し出したい。


直接手を差し出してしまうと、「自力で這い上がった経験値」というものがなく、また同じ負のループに巻き込まれてしまいかねません。


だからこそ、そっと手を出して立ち上がるのを手助けしようとこの小説を執筆させて頂きました。


あなたにとって、共感できた部分やクスリとした部分はありましたでしょうか?


そうした感情の揺らぎを楽しんで頂ける事が重要だと私は思っています。

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