表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/114

母からの伝言

<夢の中>


「・・・という訳なんだよ」


「それはどうもお疲れ様でした。ミノル君、この部屋の中では疲れは出ない筈なのにすごく疲れてみえるのは気のせいですか?」


「思い出したら疲れの感覚が蘇ってきたみたいだ」


「でも、話を聞いてもらえただけでもよかったですね。追い返されないか心配してましたから」


「そうだね。門前払いというケースもあったろうからそれに比べればね。こっそりサインも貰ったし」


ファンとしての行動も抜かりのないみのるだった。


「よく判らないですが、姉さんのお母さんは本を書かれる方なんですよね?そう聞くと割と堅いイメージがするのですが、ミノル君の話を聞くとそうではないみたいですね?」


「そうだね。小説といってもライトノベルだし。でも、偶然か判らないけど、彼女の書く小説と今回の転移の話と全く無関係とは言えないんだ。転移や転生で向こうの世界から異世界に行くんだけど、必ずといっていい位に都合の良い人よりも優れた力を持ってるんだ」


「僕の知るユキノさんは優れた力どころか使えない才として僕と同じく迫害されてましたからね。実際はやはり再生という凄い能力だったんですけど」


「でも、そのお陰で君と知り合う事ができた。そっちの世界では君と知り合わないと元の世界と交流することが出来なかったんじゃないかな」


「確かに言われて見ればそうですね。運命の悪戯を感じます」


「何らかの意思で動いてたらすごいよね。そのうち神様とか登場したりしてね。これも定番だけど胸の大きな女神タイプか仙人タイプの爺さん。出来れば前者にして欲しいな」


「なにをリクエストしているのですか。本当は逆だったら神様怒りますよ」


「あはは、冗談だよ。あ、それから、これ、向こうでお母さんから預かってきたユキノさんへのメッセージ」


「はい、この空間なら僕も読めますね。ん?これがメッセージですか?単にお願いリストに思えるのですが?そして写メってなんでしょう?」


「そう思うよね?普通なら娘に元気にやってるか?寂しくないか?って安否を気遣う言葉をかけるよね?でもそこがあの人の独特な世界というか我が道を行くって感じだったね。やっぱり人気作家になるにはあれくらいの発想がないと駄目なのかな?で、写メね。簡単に言うと写真を取ってメッセージとして送ることだよ。カメラを使って写すんだけど、そっちの世界でも日光写真くらいならすぐに作れるからエディなら魔法と組み合わせれば面白い物できるかも知れないよ」


「写真って目で見える光景をそのまま紙に写すんでしたよね?そんなすごい技術出来るんですか?」


「うん、原理を理解するには時間が掛かると思うけど光を感光させるんだよ。紙に感光剤を塗布して光を長時間当てると紙に写し出されるという具合にね。感光度を高くしたりレンズを調整したりして光を当てる時間を短くすることも出来るよ。魔法が使えるなら他の方法もあるかも知れないね」


「うーん、いまひとつ理解しきれていませんが朧気には判りました。目で見る情報と同様の物を紙などに焼き付けるという感じですね」


「そうそう。目の場合、水晶体を通して見える情報を脳へ信号を送って認識する仕組みなんだよ。あ、こっちの方が実現性あるね」


「はい、水晶に映る物を魔法術式投影させて刻印化させると出来るかも知れません。随時上書きすれば、そちらの世界のテレビの様に動く絵も出来そうですね」


「エディはいつも発想が柔軟だからすぐに吸収するね。すごいことだよ。でも、そんなの可能になったらそっちの文明がひっくり返りそうだね」


「今ではどんな発明でも”セレオン”だからで納得してもらえるんですよなんか不本意なんですけど」


「そりゃあ”エディだから”をそのまま置き換えただけだからね」


実はエディを指差しながら大笑いし続けた。


翌朝、エディはユキノに実のことを話した。


「そう、やっぱり私とミノル君は同じ世界だったのね。それでミノル君、何か言ってた?お母さんに会ったんでしょ?」


「うん、なんか感動してたよ。最初は異世界の話をすると追い返されてしまうかもと不安だったみたいなんだけど、すんなり受け入れてもらったみたいで」


「すんなり受け入れたというよりもお腹を空かせた野獣の前に餌を置くようなもんよ。絶対喰いついたに決まってるわ。母さんの事だから自分の書いてる小説ネタに絶対するはずよ」


「なんかそんな感じの事、ミノル君言ってたような・・・」


「やっぱり・・・嫌な予感したのよね・・・」


「それと、姉ちゃんのお母さんからメッセージを預かってるよ」


エディはメモをユキノに手渡した。


「もう!何よコレ!娘の心配なんてコレっぽっちもしてないじゃない!なにが金髪のイケメンよ!写メなんて撮れる訳ないじゃない!」


「まあまあ、姉さん落ち着いてよ。カメラは僕が何とかするよ。魔道カメラの構想が思いつたんだ」


「あ、ありがとう。でもそれ出来ても金髪イケメンなんて絶対送らないわよ。あの人が喜ぶ姿が想い浮かぶだけで腹が立つわ」


「なんだか複雑な親子関係だね・・・」


エディは久しぶりに母親の話で喜ぶと思っていたのだが、どうやらそうではなかったみたいだ。


「私があのぶっ飛んだ母親のお陰でどれだけ苦労したかわからないでしょう。生まれながらにして中二病だったあの人が母親だった私の苦労・・・私の名前だって付けた理由が好きなアニメのキャラ名というだけの理由よ。私の部屋に貼ってた好きな格闘家のポスターをアニメ映画のポスターに勝手に貼り変えるし、他にも例を挙げたらキリがないくらいあるんだから」


「まあまあ、姉さん落ち着いて。苦労した事は今ので充分伝わってるから」


エディはユキノを宥めるのに必死だった。

ユキノを宥めるエディだったが、きっとお母さんもユキノの無事を知れてうれしかったに違いない。実の親子でありながら捨てられる自分よりも幸せなんじゃないかと思うが口には出さないエディだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ