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新たな商売

その日の夜の夢の中・・・


「へえ、凄いね!ギルドの会員になれたんだ?それってなかなか成れないって言ってたよね?」


「うんうん、そうなんです。僕なんかおいそれとは入る事が出来るところではないのです。もうなんだか夢みたいです」


「って、今は夢の中だけどね。 ん?という事はもうエディは下民を卒業したってことでいんだよね?」


「はい、身分は商人になります。これですよ!」


エディは得意げに首から下げられたブロンズの会員証を実み見せた。


「おお!カッコいいじゃん。先ずは僕たちの野望の第一歩を踏み出したってところだね」


「え?野望?そんな大それた話しましたっけ?」


「言ってなかったかな?知識で世の中を征するって?」


「いえ、今初めてききましたけど?・・・・」


「あはは、そうか。伝わっているものだとばかり思っていたよ。僕の知識をフル活用して君がこの世界で大成する。それが僕たちの野望さ」


「なるほど、そいうことですか。でも、今回の獣除け剤の件も実君のお陰ですよね。僕一人じゃ到底思い付かなかったですし」


「僕が考えて君が実行する。これでいんじゃないかな?まあ世間からしたら君しか居ない様には見えるけどね。僕はあくまでも切欠を与えるに過ぎないんだよ」


「なんだか悪い気がします。手柄を独り占めするみたいで・・・」


「最初に言ったじゃないか、理を無能じゃないって証明するって。僕はそのために君に協力しているんだから僕としても君に是非とも頑張ってもらわないと困るんだよ」


「ありがとう!実君。夢だけど実君に会えてよかったです」


「おいおい、まだ始まったばかりだよ。そういうのは大成を遂げてから言うもんだよ」


「あは、そうですね。で、次は何をするんですか?」


「そうだなあ。家を作るのはこのまま継続して家が完成したら今度は違う商売もしてみようか?もちろん希少採集は定期的にやりながらね」


「違う商売ですか?」


「どうやらそっちの世界には華がないみたいだからもう少し生活する人達にも楽しみというかお洒落をしてもらおうと思ってね」


「お洒落・・・・ですか?」


「うん、そっちの世界は食に対する拘りとは衣服に対する拘りが希薄に感じるんだよ。まずは簡単なところから一石を投じて反応を見てみようと思うんだ」


実から詳しい内容を聞いたエディは翌日の採集に普段は集めない様な物を集めた。アドバイスとして分析を使って植物などを観察して染料に使用できるものを採集するというものだ。


染料といってもその使用方法はそれぞれなので染料となる材料には分析の深度を高めてより詳細な情報を仕入れた。エディの分析レベルは8に達しており最早自由自在といった感じで欲しい情報が手に取る様に判るのだ。普段分析では意識をそちらに集中させていないため簡略化されいるのだが機能特化で知りたい情報を念じて分析を行なえばその対象に関する表示が優先表示される。


「へえ、こんな植物が染料になるんだ?見た目はただの草なのにね」


染料の多くは見た目の色がそのまま出る訳ではない。煮汁を使ったり発酵させたり何らかしら手を加えてから使うものが多かった。

染料の素材からその加工方法を念じると詳細な情報が得られる。単体染料や複合して使う染料など様々だった。


エディは街で買ってきた麻布の反物を染料の入ったタライの中に漬けた。森で採れる染料で再現出来た色は赤、青、黄、緑、紫などで殆どの色をカバーできそうだ。


染めた反物を乾かして手ごろなサイズに切る。一反でだいたい12メートルくらいあるので幅40センチの反物の幅に合わせて40センチの正方形となる様にカットしていった。いわゆるハンカチだ。

この世界にもハンカチはあるのだが長方形で手ぬぐいに近い麻布そのままの色だった。


色とりどりのハンカチで右端隅に白抜き染めでトンボのマークを入れてみた。ブランドにしようという考えだ。


5反分の染め上げて150枚のハンカチを売り込みに行った。

ちなみに麻の反物は一本銀貨一枚、一万Gで購入している。これを5本、五万Gの元手がどの程度になるのか、エディは楽しみだった。


カーソンの街に入ったエディは真っ直ぐに商人ギルドへと足を運び受付カウンターの女性に声をかけた。


「こんにちは、今日は新しい商材を持ってきたのですが見ていただけないでしょうか?」


「はい、商材の持ち込みですね。しばらくお待ちください」


受付の女性は奥へと引っ込み担当者を呼びに行ったようだ。

この受付の女性が前回会った女性とは異なるが年齢の若いエディにもきちんとした態度で応じているのは首から掛けられたブロンズの会員証の威力だ。子供のエディがブロンズ会員ということで逆に周りの目を引いていた。


「お待たせしました。商材担当のトレンと申します」


「どうもはじめまして。エディと言います。今日は見てもらいたいものがあって持ち込みました」


そう言いながらエディは袋から色とりどりのハンカチをトレンに見せた。鮮やかに染められたハンカチを見てトレンは驚きを隠せなかった。ハンカチは珍しいものではないのだが色が鮮やかで単なるハンカチとは言い切れないオーラを放っていた。

いつの間にか受付カウンターにいた女性達が周りを囲んでハンカチを見てうっとりしている。


「まあ、素敵なハンカチ。こんなの見た事もないわ」


「お幾らくらいなのかしら、ひとつ欲しいわ」


「あの紫色が素敵ね!」


なかなかの好反応だ。


これから話をしようとしているトレンにとって外野の声は邪魔なのだが今の女性達の反応からこれは売れると確信が持てた。その辺りは長年商売をしてきた商材担当ならではの嗅覚だ。


「とても鮮やかなハンカチですね。染料として見た事のない色もある様です」


「これらは僕が森で採集した染料で染め上げたものです。どれくらいでギルドで扱っていただけるでしょうか?」


「そうですね・・・恐らく今までのハンカチの数倍の値段でも売れるでしょうね。麻布なので庶民用として大量に扱う事も出来ますし、高級布地を染めて貴族用や贈答用としても扱う事も出来ますね。ちなみにこれらは大量に持ち込んでいただく事は可能ですか?」


「はい、布地さえあれば裁断して染めるだけですので量に制限はないかと思います。染料も特殊なものはありませんので問題ないです」


「染料にも特別な価値がありますよ。何せ従来の染料よりもどの色も鮮やかなのですから。見た事のない色もありますし。それらを踏まえてギルドの独占仕入れの契約とした場合・・・そうですね、ハンカチ一枚あたり2000Gというところでしょうか。これは麻布の価格で貴族用の絹地の場合、材料はこちらからの支給として染め手数料として一枚5000Gでどうでしょう?」


「はい、僕としてもそれ程の値段で扱っていただけるなら嬉しいです。以前、獣除け剤の時は製法譲渡でロイヤリティという形で契約しましたが、これはその形でなくても良いのですか?」


「はい、ハンカチはどこにでもありますし、染めも従来からある技術なのでそれ程秘匿性の高いものではありませんので大丈夫ですよ」


「わかりました。それではそれでお願いします」


契約が成立した。獣除け剤といいハンカチといいここ数日でかなりの額の商いを扱う事が出来た。


後日談としてエディの納品するハンカチはかなりの人気で色が従来の手法では出せない色合いということで類似品も真似することが出来ずトンボマークは品質の証として世間に浸透することになった。


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