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忘れていた約束

翌朝、エディはスッキリと目が覚めた。昨晩は夢の中でミノルから一週間分くらいの集中講座を受けていた。夢の中では時間が無限に流れていてその間の出来事には疲労が蓄積されない。一週間の時間も夢から覚めれば刹那の時間として処理される。しかも夢での記憶や経験はしっかりと残っているというチートの極みの様な能力だ。


朝食を取るために一階の食堂に下りるといつもの様に辺境伯が食事を取っていた。


「おう!坊主!よく眠れたみたいだな。顔がいやにスッキリしてるじゃないか」


「辺境伯も昨晩は良く眠れた様ですね」


「おう!昨晩は何も考え事がなかったからな酒を飲んでぐっすりだ。

って、話じゃなかった。

坊主、済まねえ、今日カーソンに帰る予定だったが、国王と他の領主の会談が急遽入ってな。あと2・3日は滞在することになっちまった。

で、坊主はどうするよ?残っていてもいいけど先に帰るか?」


「はい、それでは先に帰らせていただくことにします。帰りの手段は自前で用意出来るのでご心配には及びません」


「おう、そうか。まあ坊主ならそれくらい出来て当然だな。わかった。気をつけて帰れよ」


「はい、お先になりますが辺境伯もお気をつけて」


帰りも辺境伯の馬車に乗って帰る予定だったが、馬車がないから飛んで帰ることにした。実際は飛行した方が遥かに早いのでこっちの方が都合が良かった。


「さて、ようやく自領に戻れるな。やっとラボでじっくり研究が出来る。ん?まてよ?何か見落としているものがないか?夏休み・・・自由市・・・しまった!!自由市を手伝うのすっかり失念していた!!」


日付を確認すると自由市はとっくに開催されている。

今から直接カーソンに飛んで行っても後半残すところあと二日しか残っていなかった。

焦りを隠せないエディは辺境伯には挨拶を済ませているので部屋に戻って荷物を空間収納に一気に押し込めて宿をチェックアウトした。


「セレオン准子爵様。今後とも当宿をご贔屓下さいませ」


宿屋の主人にも昇爵の話は伝わっている様だ。流石国王のお膝元の街だけあって情報が早い。と感心してる場合ではなくエディは急いで王都を出立した。

まだ朝早いので人目のつく場所で飛行をすると目立ってしまうためエディは街道から外れて林の方へ向かった。飛行する場合、虫が目に入ることもあるのでゴーグルは用意している。目撃されても誰だか判らない様に全身黒のフード付きローブも纏っていた。


「さあ、これで用意はできた。カーソンまでひとっ飛びだ」


エディは木々スレスレに高速移動を行った。

人目のつかない場所を選んでいるとはいえ目撃者は皆無ではなく、その姿を見られることもあったが黒尽くめのローブを着て飛ぶ姿をを目撃した者たちは大きな黒いカラスがかなりの速度で飛んでいた。あれはカラスの魔物に違いないという認識だった。

結局、高速移動で空中飛行したエディは三時間という短い時間で王都からカーソンへと移動することが出来た。

カーソン付近ではやはり目撃者がいるといけないので少し手前で着陸した。

本来なら辺境伯に帝国襲撃の報告を行った時にはカーソンの街は自由市の準備の真っ只中だったのだが、エディは街中を通らず辺境伯の居る官邸へと足を運んだので気がつかなかった。

だがどちらにせよ王都への報告の方が優先されるべきなので自由市の応援はできなかったのだが、二人の友達へ何の連絡をしなかった事が痛かった。

市内の中心にある広場には所狭しと屋台が並んでいる。屋台には学院で知った顔もチラホラ見かける事ができた。


「レオンとキリカはどの辺に出展しているんだろう?」


この中から見つける事が骨が折れる。

エディは気配感知を発動させた。これは分析で過去調べたデータを照合させてサーチする機能だ。二人の気配と近似の気配を見つけ出しその方角へと向かっていた。

二人は屋台の並ぶ比較的奥の位置に店を構えていた。店は武器と防具の店だった。キリカの製作した品物をレオンが売っているといった感じだ。


「あっ!エディ君だ!!おーーい!ここだよー!」


キリカが逸早くエディに気付いて手を振って呼びかけてきた。


「流石キリカだな。この人ごみの中から見つけ出すなんて」


「おい!エディ、遅いぞ!!どうして連絡ひとつくれなかったんだ。もうあと一日しか残ってないだろう」


「ごめん、ごめん、王都へ呼び出されてたんだよ」


「「え?」」


二人はエディの予想外の言葉に唖然としていた。王都?呼び出し?誰に??疑問は増える一方だ。


「まあその辺の説明は追々するとして、商売の方はどうだい?」


「うーん、だいぶ売れ残ってしまったよ」


「ここは場所が悪いんだよな。同じような店が手前に何件かあるからそっちで皆買ってしまうんだよな」


屋台を見ると武器や防具が結構売れ残っている。あと一日でこれを全て売り捌くのは難しいだろう。


「見たところすごくいい装備じゃないか」


「おっ?判る?流石エディ君、これは私の傑作ばかりだよ。手にとって見てもらえさえすれば絶対に売れる自身はあるんだ」


「でもなあ、大声で掛け声かけても遠くまでは聞こえないしな」


「そうか、わかったよ。じゃあ、目立つようにしようか」


エディが何をやろうとしているのか二人には全く想像がつかなかった。どこからか3メートル程ある物干し竿を取り出したエディはその先端に鎧を差込み鎧の手には剣を握らせ固定させた。

そして物干し竿を立てて地面に固定する。鎧と剣をディスプレイとして立てかけたのだが、その鎧はミラーボールの様にゆっくりと回転している。そして驚く事に鎧自体が光を発しているのだ。

これはエディが風魔法と光魔法を術式刻印で動作させたものだ。

客の視線が一斉に鎧に集まった。


「おい、なんだありゃ?」


「なんか光ってるぞ?」


「ちょっと行ってみよう」


客があっという間に集まってきた。

レオンとキリカは客の対応で急に忙しくなった。


「あの光鎧はねえのか?」


客はやはりあの光鎧が気になるようだ。


「光鎧は売り物ではありませんが、ご購入していただいたお客さんには輝くコーティングをサービスしますよ」


エディはそういうと鎧に魔法をかけた。

鎧は金色や銀色に輝いている。エディが行ったのはメッキ加工だ。

魔法で電気を流し表面をコーティングしている。色合いの加減は自在に行えるのが魔法の良いところだ。もちろんここまで制御出来る様になるには相当な苦労が伴うので誰でも出来るものではない。


「俺はこの銀色のセットをくれ!」


「こっちは金色のセットだ!」


それからあっという間に在庫の商品は売れ尽くしてしまった。


「おいおい、嘘だろう?あれだけ残っていたのに一瞬で売れちまったぞ」


「ホント信じられないよ。売れ残ったら親父に怒られるところだったけど助かったわ」


「商売には工夫も必要ってことだね。あれ?そう言えばキャシーを見かけないね?手伝うって言ってなかったっけ?」


エディは居ると思っていたキャセリーヌを見かけなかったので二人にキャセリーヌの行方を質問した。


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