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熱烈な求婚

カレナの意識も戻り特に心配となる様な影響もなく疲れが溜まった体を休ませるためにそのまま医務室でしばらく安静にしておくことにした。


辺境伯との長い親子のわだかまりもなんとか解決することが出来たみたいだし怪我の功名だったと言える。


とりあえずカレナのことは辺境伯に任せて久しぶりの親子の会話をしてもらおうと配慮しエディは医務室を出ることにした。


医務室を出て廊下を歩いているエディの横には王女が一緒に歩いていた。


「ところで王女様」


「何かしら?セレオン卿」


「どうして腕を組んでいるのですか?」


エディの横を並んで歩く王女はエディの腕をガッシリと組んで離さなかった。そして腕には豊かな胸の感触がしっかりと伝わってきている。


「あら?こういうのはお嫌いかしら?」


「いや、嫌いとか好きの問題ではなく・・・」


「それとも何かしら?セレオン卿は男色?」


「いやいや、全くありませんから!」


「それなら良いではありませんか」


「良くありませんよ。王城の中でこの様なことをするのは非常にマズイでしょう。変な噂が立ちますよ」


「そうですわね、確かに。では私の部屋で続きをいたしましょう」


「どうしてそうなるのです?しかも続きって何ですか?意味がわかりません」


流石の鈍感エディも王女の攻撃にたじたじだった。これが本来の王女の姿なのか?


「ちょっと悪戯が過ぎまわしたわね。からかうのはこれくらいにします。私、決めました。私の伴侶は貴方にすることにしました」


突然王女が放った爆弾発言にエディは困惑した。


「お言葉は大変ありがたいのですが、辺境伯からお聞きした通り僕には婚約を誓った人が既にいます。ですから王女様とは一緒になることは出来ません」


先ほどは説明して納得してもらったと思ったのだったが、どうやら諦めていなかったようだ。


「わかっております。私は寛容なのでお婿さんには妾を取ることについては何も言うつもりはございません。

むしろ英雄色を好むでどんどん積極的に行って優秀な子種を増やすべきです」


「僕の様な地方の成り上がりの男爵でなくても王女様ならもっと相応しい人が大勢いると思うのですが?」


「セレオン卿の様な文武両道な方がこの国に他に居ると思いますか?脳筋は居ますわよ。でも強いだけでは国は栄えません。

頭が良くて強い、この理想像を適えるのはセレオン卿以外にはおりません。この機会を私としても逃す訳にはいきません」


エディは必死に説得するのだが王女には全く受け付けて貰えなかった。


「ですが・・・って、近いですよ、顔が近い」


「既成事実を作ってしまえばこちらのものですわ」


「って、どこの腹黒王女ですか!とにかく落ち着いて下さい。人の目もありますし」


「照れなくてもよろしいですのよ?まあ良いでしょう。少しはしたなかったですね。淑女らしく振舞わないと殿方に嫌われてしまいますわね」


ようやく王女が掴んでいる腕を開放してくれた。温もりと柔らかさがなくなり少し残念な気もするが、それよりも周りの鋭い視線が突き刺さる方が耐えられないのでこれでよかったとエディは思う事にした。


「現実として考えて下さい。僕は王女様よりも3歳年下で地方の男爵、それも成り上がりです。

その様な者が王女様の結婚相手に相応しく無いのは一目瞭然です。周りもきっと反対すると思います」


「それは判っています。この国を継ぐ後継者順位で言えば二人の兄のどちらかで決まりでしょう。

恐らく宰相あたりは他国の王族との婚姻で和平の道具として使おうとでも考えているかも知れません。

でも、私はそれでは嫌なのです。セレオン卿は工業都市セレオンを今で誰も思いつかなかった方法で発展させたと聞きます。

私は戦闘狂と呼ばれていますが、決して戦好きではありません。戦わずして国が発展できるならそれに越した事はありませんから。

この国を飛躍的に発展される事の出来る可能性を持つ人物。私は貴方をそう評価しています。そしてその人物と共に歩む人生こそが至福の喜びではないでしょうか」


エディは王女の発言を聞いて単なる思い付きではないことは理解した。だがその想いには応えることができない。


「王女様のお気持ちは理解しました。過大な評価をいただいて恐縮です。ですが、やはり僕はそのお気持ちに応えることができません」


「わかりました。私の方こそごめんなさい。突然過ぎましたね。落雷に当たったかの様な衝撃でしたの。

私の捜し求めていた方がはじめて見つかったものですから。今日は一旦引かせてもらいます。ですが、いずれまた」


王女はそう言うとスカートの裾をつまんで礼をし、笑顔のまま去っていった。


「なんだかとんでもない事に巻き込まれてしまったなあ・・・あの様子ではちょっとやそっとでは諦めないだろうな・・・

でも、この王都に滞在している期間だけなんとか凌げば何とかなるだろう。セレオンに戻ってしまえばやがて熱も冷めてしまうに違いない」


エディは楽観的にそう考えることにした。


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