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戦闘狂の王女

声を掛けた主は華やかな赤色のドレスを身に纏った一見して高貴な人物と判る様な服装で美人な少女だった。年齢は恐らくエディよりも少し上だろう。大人と呼ぶには少しあどけなさが残るところから16歳前後といったところか。

その女性の背後には警護の女性衛士が立っていた。


「私の名前はエトワール。この国の第一王女です」


「はじめまして。エディ・セレオンと申します」


「知っていますよ。飛ぶ鳥を落とす勢いで都市を発展させた立役者でしょ。あなたの事、非常に興味があります」


「はあ・・?」


突然声を掛けられて興味あると言われてもエディとしてどう返事して良いのやら判らなかった。


「ガハハ。エトワール譲ちゃん、坊主にいきなりの告白か?」


「もう、おじ様!そんなのではありませんわ。茶化さないで下さい。

興味があると言ったのはセレオン卿の事です!」


「だから告白じゃねえか?」


「っ!そうじゃなくて、セレオン卿がこれまで色々と行ってきた事とかです。そして何より興味があるのは一見して武術はからっきしという様に見えて隙がないところとか特に興味がそそられますわ」


「やれやれ、また病気が出たか・・・」


「びょ、病気だなんて失礼ですわ。いくらおじ様と言えど酷すぎないですか?」


「坊主、この譲ちゃんはなあ、こんなおしとやかな顔をしてるけど実はかなりの戦闘狂でな、強い者を見ると戦わせたくなる悪い癖があるんだ」


「強い者を埋もらせたまま置いておくのは国として損失ではありませんこと?私はより強い強者へと育てる醍醐味を味わいたいのです」


「ということは王女様は武術に長けてると?」


エディは疑問に思い問いかけてみた。


「このか弱い華奢な体で戦えると思って?私は守られる側よ。戦いなんて出来るわけないでしょう」


どうやら戦わせるのが好きなのであって自らは戦えないらしい。少しホッとするエディだった。


「あのう、ご期待に副えず申し訳ございませんが、僕は商人や工人に所属する身でありまして武人ギルドに所属している訳ではありません。

戦闘など公に行った事など皆無ですよ」


「武人を見分けるこの私の鑑定眼は誤魔化せないわよ。でしたら私の親衛隊の選り優りと戦ってみなさい」


そう言うと王女の後に立っていた衛士が一歩前へ出た。

この女性、どこかで見たことあるなと思っていたら、馬車で王城に向かう途中に訓練していた親衛隊の小隊長だった。

そしてなぜか先ほどから辺境伯の事をずっと睨んでいる。


「親衛隊 小隊長のカレナだ」


凛とした態度で名乗った衛士はその振る舞いだけでも武術に長けている事が判る。恐らくすごく強いだろう。

だがエディとして気になるところもあった。王女直属の親衛隊とは言え、身分は騎士でしかない。貴族の最末端であり男爵であるエディよりも格下のはずなのだ。本来なら貴族に対する礼儀というのを徹底的に叩き込まれ無礼の無い様に接する筈なのだがどうにも腑に落ちなかった。


「あら?親子の感動の再会にしては素っ気ないのね?」


「いえ、王女。私は独り身であり親などおりません」


カレナから発せられた意外な言葉にエディは耳を疑った。

あれ?あの人、辺境伯の娘さんなのではないのか?

そう思いながら辺境伯に目線を向けると、辺境伯は頭をかきながら困った様な顔をしている。この様な辺境伯を見るのは初めてかもしれない。


「まあ、いろいろあるんだ」


どうやら訳有りの様だ。今この場で聞くのも無粋なのであとで聞いてみよう。


「どう?カレンと戦う気になりましたか?安心してください。模擬戦の形式で武器も模擬戦用の刃引きしたものを使います。死ぬことはありませんわ。恐らく」


最後に口にした恐らくというのが何とも引っかかるのだが、真剣だろうが刃引きだろうが、木剣だろうが、運が悪ければ死ぬこともあるのだから理解はしている。


「セレオン卿が勝てば貴方の望みを何でも一つ適えてあげます。その代わり私が勝てば私の願いを一つ聞いてもらうことになりますけど」


「先に願いというのを聞いてもよろしいですか?」


「構いませんよ。私が望むもの、それはこの国に最強の兵器を開発してもらうことです」


エディはやはりそうきたかと思った。セレオンの工業技術をもってすればこの世界での最強兵器の開発は容易だ。

だがエディとしては人殺しの道具の開発を行う気は毛頭ない。この勝負、何としても勝たなければならない。


「それで、セレオン卿が勝ったならば何をお望みなのかしら?」


突然の話なので何も考えていない。しかもセレオンには全て揃っているし、足りないものは自分で用意できる自給自足だ。

はっきり言って困った・・・何にしよう・・・

エディはこちらを睨むカレナを見て良い考えが思い浮かんだ。


「それじゃあ、僕が勝った時は辺境伯とカレナさんに仲直りをしてもらいます」

エディが予想外の事を言い出し、それを聞いたカレラが激怒する。


「何を勝手な事を!」


「まあまあ、いいじゃないの、面白いわ。それで結構ですよ」


「王女!何を・・・」


反論するカレナの腕で制し王女はエディの希望を認める事を覆さない。


「カレナ。私の親衛隊の中でも髄一だと記憶しているのですが間違いだったかしら?」


「いえ、王女。私は何人にも負ける事はありません」


「だったら問題ないではないですか。貴女がセレオン卿に勝てば良いだけのこと。勝利は決まった様なものでしょ?」


「いえ、その通りです。私は負けません」


「ということですわ。合意出来たところで早速準備をしましょう。

セレオン卿もそのままの格好という訳にもいかないでしょうし、騎士団の装備を用意します。場所は裏庭の演習場にしましょう」


なんだか王女の口車に乗ってどんどんと話が進んでいく。

騎士団からは当初鎧装備を出されたが、重装備だと動きが鈍くなってしまうので斥候部隊用の皮鎧を用意してもらった。

演習場への移動中に辺境伯がエディに小声で話しかける。


「おい、坊主。さっきの要望は一体なんだんだ?そんなの聞いてねえぞ」


「辺境伯、諦めて下さい。娘さんと何があったか知りませんが、いい機会じゃないですか。任せて下さい。きっと上手くいきますよ」


「まあ、カレナは強いからな。心配するのは取り越し苦労になるかも知れんがな」


「カレナさんってそんなに強いのですか?」


「ああ、強い。王都の武術大会で三連覇中だ。向かうところ敵なしって感じだな。どうだビビったか?」


少しだけ辺境伯らしさが戻ってきた様に思える。


「じゃあ、今日は怪我しない様にちょっと本気を出してやらないといけないかも知れないですね」


「怪我なら心配いらねえぞ。王城の一流回復士が見守っているからな」


装備も整い裏庭へ移動が完了した。

カレナは既に装備も武器も装備しておりいつでも始められる状態にある。彼女の武器は小剣で左右に持つニ刀流だった。

二刀流はこの世界では珍しい。鎧装備の相手と戦う場合、剣の威力が弱いため簡単に弾かれてしまい決め手に欠ける。通常は両手で剣を持つ両手剣を使う。両手で持つので剣の重量を重くし破壊力を上げることが出来るのもメリットだ。

彼女は武術大会の覇者で二刀流を得意とするということは相当なスピード重視と考えられる。威力よりも手数で勝負するのだろう。


そうこうして歩いているうちに演習場と思われる場所が見えてきた


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