森の宝物
山奥にエディは2日間籠っていたのだが、その間食べ物は現地調達している。分析で調べれば食べれる木の実や植物を採取することは容易だった。だが、山奥には獣や魔物も住んでおり10歳の少年がそれらに襲われることなく生き残るのは難しいと思われる。
エディも獣や魔物に関しては力のない自分ではどうにも出来ない事を理解しており何とかしないとと思っていたのだが、街で仕入れた情報で獣や魔物を遠ざける草の存在を知り早い段階で分析により獣除けと呼ばれる草を採取している。
これを磨り潰して木の幹などに塗っておけば獣は臭いを嫌がって近寄ることはない。移動する際には臭い袋として持ち歩けばいいのだ。
こうしたものも分析のスキルと情報がなければ出来なかった事だ。
理を育てるためにはじめたが情報の有難みを身に染みる今日この頃だった。そしてエディも自然と理に適合しつつあった。
「この辺には価値の高そうな草木がゴロゴロしているな。これなんて街で売ったら高値が付くに違いない」
手にしている獣除けの草は街では1つ銀貨1枚(1万G)で売られている。魚を採るより余程儲かるのだ。だが、獣除けは街に近いところには生えておらず、この様な山奥などの辺境の地でないと採取出来ないのだ。だが、魚は鮮度が要求されるので干物などを除いては採ってすぐに売らなければならないが薬草などは乾燥させておけば日持ちするものなので重量を考えればこれを採取して商売を行う方が効率はいいのは明らかだった。
エディは山奥から廃村までのルートで商売になる様な薬草や木の実などを分析で調べながらマップ作りを行った。このマップ化は実のアドバイスによるものだ。
紙というものはこの世界では羊皮紙という羊の皮で作られたものしかなく高価であるため簡単には手を出せなかったのだが、実に樹木から紙を漉く(すく)方法を教えてもらい質は悪いがメモ帳としてなら十分使えるので持ち歩いていたのだ。この紙もいずれ商品化して売り歩きたいと考えている品だ。
その日の夜
「なるほど。希少品を売る訳か。いいじゃないか。そこの世界は資源の宝庫だよ。沢山稼いで家を建てて廃村を拠点として幅広く活動するといいよ」
「家かあ、想像もしていなかったなあ。まさか自分の家が持てるなんて」
「おいおい、まだ気が早いぞ。廃村の状況を聞く限りでは村が捨てられて2年しか経っていないのに家屋の傷み具合は酷い家が多いんだろ?使える素材を集めるのも大変だし、君に大工仕事が出来るとは思わないんだけど?」
「そこなんですよ。大工さんを雇って家を建てるには物凄くお金が掛かるしお金があっても引き受けてくれる人がいるかどうか・・・」
この世界の田舎の村で家を建てるには村の男衆が総出で2週間掛けて作りあげる風習になっている。大工だと3人くらいで2週間らしいが日当一人あたり1万Gで42万Gとなる計算だ。もちろん材料費は別途となる。
「そっか。じゃあ、鋸で木を切ることくらいは出来るかい?」
「うん、鋸は道具やで売ってるから買えるよ。それ程大きくない木なら僕でも切れるよ」
「大丈夫。それ程大きな木はいらないよ。むしろそれ程太くない木の方が扱いやすいからね」
実はログハウスの組み方をエディに教えた。自分でもカナダで実際に建てた事があるし、その時はまだ小学6年生だったのでエディでも出来ると見ていた。
まずは丸太を組み合わせて家を作る簡易なものでいいし、いずれ製材が出来る様になれば板材を張っていけばいいのだ。
この世界でも釘は流通しているみたいだしハードルは低いと思っている。
「ところでこの世界では木の板とかはどうしてるんだい?」
「えっと、確か大きな鋸を二人で両側から引いて板にしている筈だけど?」
「なるほど。製材方法が確立されていないようだね。この国では水も豊富だしいい製材方法が使えるよ」
実は具体的には言わなかったが何やら頭の中で想像してニヤリとしていた。
「まあ、製材は時間が掛かるからしばらく先のことだけど、この辺で採れる薬草なんかを売りにいって先ずはお金を貯めよう」
「そうですね。一番状態のいい家にいて雨漏りも直したからしばらくは問題なさそうですしね。じゃあ、明日山奥の獣除けエリアから下ってマップのポイントで採集してきますね」
翌日、エディは獣除けやポーションの材料を籠一杯に集めてきた。
そして二時間かけてカーソンまで売りに来た。
魚をいつも買い取ってくれて廃村の情報をくれたセレスに挨拶をしようと思ったのだがいつもの場所にセレスの姿はなかった。
辺りをキョロキョロと探していると後ろから声を掛けられた。
「よう、坊主、元気にしてたか?」
「あ!セレスさん!こんにちは!お久しぶりです。いつもの場所にいないから探しましたよ」
「あはは、いつも居る訳じゃないぞ。気が向いた時だけの気まぐれ商売だ」
ガハハとセレスは笑いながら言った。
「で、坊主。今度は何を売りに来たんだ?ん?背中の籠の中にあるやつか?どれどれ見せてみろ?」
エディは籠を背中から降ろすとセレスに中身を見せた。




