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闇の帝国

ここはザリウス帝国の帝都ギザ。

その都市はまるで要塞の様になっており、普通の都市とは異なった異様さを醸し出している。

ギザの防壁は20メートル程もある高い壁面に囲われており、過去何十、何百と戦争を繰り返したこの国であるが一度も破られた事がない。人々は畏怖を込めて難攻不落の都市と呼んでいる。


そのギザにそびえ建つ漆黒の城が帝国の皇帝であるダスカス・ザルガンドが住む皇城だ。

城を黒く塗るというはこの国以外にはなく、戦争好きである国の城としても有名なこの特徴のある城を魔王城とも呼ぶ者も多い。

実際に皇帝が魔王であるかは不明だが、城や国の雰囲気がそう呼ばせるものを持っているのと、この国は戦いを多く繰り返しているが、それが全て勝利を収めているという常勝不敗という事実も魔王伝説が囁かれる理由となっている。


ザリウス帝国軍の軍服は黒一色で統一されている。

軍服だけでなく兵器や携行品全てが黒色でそれ以外は認められていない。戦争で戦った国は黒一色で染まっているザリウス帝国軍を見て闇の帝国と呼び恐れられていた。



「ガゼロからの報告はまだ入らぬのか?」


玉座に構えるこの老人がダスカス・ザルガンド、ガリウス帝国の現皇帝だ。齢にして六十は過ぎていると思われるが衰えなどはまるでなく細身ではあるが威厳のある姿を振舞っている。


「はっ、シャドーからの連絡が途絶えたままとなっております。現在別動部隊が状況の確認を行っております」


「ガゼロの奴、失敗しおったか。半年前の失敗といい、今回といい、生きて帰ったとしても地獄を味合わせねばならんな。

しかも今回は作戦のために多くの優秀な人材を集めた上に古代兵器の使用を許可したというのにだ」


「ガゼロ隊長は今まで多くの国を落としてこられた歴戦の強者です。簡単に阻止されるとは思えません」


「それは儂も判っておる。今まであやつが連絡を怠った事など一度もなかった。連絡も出来ない様な事が起ったと見るべきか。

で、別動隊の報告はいつになる」


「定期報告がなかった時点で出立させておりますので間もなく帰還するのではないかと」


皇帝に説明をしているのは参謀の一人だった。彼も今回のガゼロの作戦成功は疑っていなかっただけに動揺は隠せなかった。

彼だけでなく帝国の兵士で作戦に関わっていた者のほとんどがそうだった。


「報告します!状況を確認に向かった部隊が戻って参りました」


「わかった。すぐに通せ」


「御意!」


警護の兵が報告を行い、別動隊の報告が許された。


「シャドーの追跡調査より戻って参りました。早速ですが報告させていただきます」


「うむ、してどうだったのだ」


「残念ながら部隊は全滅しておりました」


「何?全滅だと?詳しく話せ」


「はっ、正確には全滅ではなく消滅しておりました。深緑の森の奥深い場所で戦闘の痕跡が所々見受けられました。

森をくまなく探したところ、いくつかの遺留品は発見することが出来ましたが、生存者や遺体は発見することができませんでした」


皇帝は報告の内容を咀嚼し、頭の中で整理した。


「それはドラゴンのブレスによるものか?」


「ブレスの攻撃であれば炎で焼かれるため草木が焼けた跡が残る筈なのですが、そういった痕跡ではありませんでした。

戦闘があったと思われる場所は焼失ではなく消失しておりました」


「消え去っただと?」


「はい、その場所だけ何もなくなっております。森の中なのに草木はもとより地面もえぐられて削り取られた様になっておりました」


「一体どういう事だ・・・」


「陛下、やはりこれは神罰ではないかと」


話を聞いていた参謀が自分の考えを伝えた。


「戯けた事を。神竜などと言われておるが、所詮たかがドラゴンではないか。


それで、古代兵器はどうなった?」


「辺り一帯を探しましたが見つける事が出来ませんでした」


「陛下、もしかすると古代兵器が暴発したというのは考えられないでしょうか」


「そう考えるのが一番妥当か。威力のある兵器故に暴発した場合はその様になるかも知れぬな」


「陛下、次の手は如何いたしましょう?」


「ガゼロを失ったのは痛かったな。奴の工作での国攻めは効果的であったからな。だが、それが無くなったからとて帝国の強さは揺るぐものではない。

今度は正攻法で攻めるまでよ。

だが、部隊編成にも時間が掛かるだろう。もう少し様子見をしながら次回攻略について考えるがいい。


常勝不敗のこの帝国に敗北は許されん。今回の件については外部に決して漏らすなよ」


「御意に」


話が終わり参謀と報告の兵士が下がった。

一人残った皇帝は一人つぶやく


「エンシェントドラゴン・・・戦う相手を間違えたのか?」


その問いに誰も答える者はいなかった。


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