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カーソンへ

<エディと別れた古竜クレセア>


クレセアはエディを見送り聖域へと戻った。


今回の件は予め判っていた事ではあったがこうも上手くいくとはクレセア自身思っていなかった。


「エディの前では当たり前の如きの勝利の様な振る舞いをしていたが、我の眷属は獣や魔物であって昆虫ではないからな。

だが、ああも思惑通りに虫が襲ってくれるとは思わなんだな。


虫も森を守ろうという意識がまるであったかの様な団結ぶりだったしな」


クレセアは不思議に思っていた。

聖域の主とは言え万能ではない。草木や虫達まで隅々に影響を及ぼす事が出来るのが神のみだ。

今回虫を使ったのは虫自体を操るというよりも臭いで釣って誘導させるというのが本来の考え方だったが、実際の動きはまるで虫達が意思があって行動している様だった。


我には何やらあの時の虫達はエディの意思と疎通をしていた様に感じた。獣や魔物であれば我の授けた”古竜の加護”がある故、ある程度の疎通は交わせるだろう。

だが、虫となると話は違う。何より聖域の主である我に出来ぬ事が人間のエディに出来たという事の方が驚きだ。


「やはりあの人間は面白い。長らく人の世には干渉してこなかったが、少しは楽しめそうだ。我が子の遊び相手にも良いしな。


今頃エディの奴、我が授けた更なる恩恵に驚いておる頃じゃろう。残念なのはその驚く姿が見れぬことだな」


クレセアは異空間に退避させていたキューを元の世界に戻して語りかけた。


「なあ、我が子よ。もう少し大きくなったら人の世界を見てくるか?」


”キュー!!(うんうん!行きたい!エディと遊びたい!!)”


「なら良い子でおることだな。そのうち我が連れていってやろう」


”キュー!!!(わーい!やったー!)”


キューは大喜びではしゃいで、そこら中を走り回った。


竜族はある程度の年齢になると竜の姿と人の姿の2つの姿に自在に変身できる。

キューは幼竜なのだが既に20年生きており、エディよりも歳が上なのだ。

竜の成長は一定期間に生え変わる鱗の時期に大きく成長する。

蛇などの脱皮と同じ様なものなのだが、鱗が生え変わるだけでなく、体全体の成長もこの時著しく促進される。

通常であれば一回りから二回り程大きくなる。

キューは20歳なので丁度その成長期と重なるのだ。そして擬人化や言葉を発するのもこのタイミングとなる。


言葉や知識を覚えるには人と接するのが一番手っ取り早い。

だが古竜は人間を信用していない。唯一信用に値するのがエディなのだ。

クレセアはエディにキューの教育を任せたいと考えていた。

今回は言いそびれたのだが、加護の極の件で近いうちに又訪れてくると見ているのでその時に話す予定だった。



”キュー!(エディーいつくるの?)”


相変わらずキューはエディが来るのをまだかまだかと聞いてくる。


クレセアはこの後、毎日朝晩問わずキューからいつになったらエディのところに行けるのか催促される羽目になるとは知らなかった。






<帰路途中のエディ>


エディは自分がどんどん普通の人とは異なる力を持ち始めていることに少し不安を抱いた。

一体自分はどこまで力を付けていくのだろう?

そう不安な反面、力のお陰で今まで出来なかった事が出来る可能性については期待しているところもある。


結局、エディはいつも通り深く考えるのを止めた。この思考停止がある意味強力な武器かも知れない。


自分の加護強化について理解したエディは再び帰路へと急いだ。


考えてみれば今走っているのだが、空を飛べばもっと早く着くことに今更気付いた。

だが、人目に付くにはマズイので人里を避け、街道を避けながら低空飛行で進んでいった。


「このままセレオンに戻るよりもカーソンで伯爵に報告した方が良いな。一応解決したとは言え、国の一大事なんだから。


まあ、姉さんとトーマスさんにはカーソンから知らせを出せばいいか」


もうすぐセレオンに着くはずだったのだが考えを改めてこのままカーソンへと向かった。


カーソンへは徒歩2時間程の距離にあるのだが、今となってはエディは歩いても30分も掛からずに着く。

今は急ぎ足なので20分程だ。



カーソンへ入るとすぐに辺境伯に会うために城内へと出向いた。


辺境伯もこの件については情報を得ているので何かあってもすぐ対処できる様に城内の配備も整えていつでも出撃出来る体制をとっている。


城へ入ると騎兵や兵が普段見ない様なものすごい数が揃っているのにエディは驚いた。


顔見知りの兵士に声を掛けて辺境伯へ面通しを願い、すぐに辺境伯の下へと案内された。


辺境伯の執務室に案内されたのだが、辺境伯は鎧こそ着ていないものの、いつでも戦が出来る準備が整えてあるのは執務室に掛けられている鎧や剣などを見ても判る。


「おう、坊主!無事だったか」


「はい、無事戻って参りました」


「で、敵の様子はどうだ?何か仕掛けて来そうか?

こっちはいつでも出撃できるぞ」


「いえ、その必要はございません。

敵はもう壊滅しましたのでご安心下さい」


「何!?壊滅!?

一体何があったんだ?詳しく説明しろ! 全く訳がわかねえぞ」



辺境伯はこれから敵が攻め寄せてくるとばかり構えていたのがエディの放った敵の壊滅という言葉に辻褄が合わず混乱していた。


エディは深緑の森で起こった出来事を辺境伯に細かく説明した。

古竜との出会いについては既に話してあるのでエディに起こった出来事について辺境伯は疑う事はなかった。


「しかし、古竜と一緒に戦うなんて想像の斜め上をいくなんてもんじゃねえ。やっぱり小僧には常識なんて物差しじゃ測れねえな」


すべてを聞き終えた辺境伯は大きな溜息をついたあとで”エディだから”の言葉に納得し、ガハハと大声で笑いだした。


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