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気付いた違和感

クレセアと別れたエディだが、その足並みは軽やかだった。


軽やかというよりも最早走っていると言った方が早い速度で森の中を駆け進んでいる。


エディは手に入れた古代文明の古代兵器を早く新しいラボでじっくり見てみたくてしょうがなかった。

新しく作られたラボすらまだ目にしていないのに更に興味のある物が追加されたのだ。探求心旺盛なエディがじっとしている訳がない。


だが、エディの異常とも思える速さに本人も違和感に気付いた。


「あれ??僕ってこんなに早く走れたっけ?なんか流れる景色が今までと全然違うんだけど?

それに周りと音とか、感覚が急に鋭敏になった様な気もする?

おかしいなあ・・・」


気になり立ち止まったエディは自分の身体の変化を再確認したところやはりおかしかった。


五感が鋭くなるというのはこういう事を言うのだろうか?


視覚はより遠くの物がはっきりと見える。


嗅覚は森の様々な臭いが感じられる。


聴覚もやはり遠くのものや意識をすれば細かい音も聞き分けることができる。


触覚はどうかと手で木や草を撫でてみたり土を触ってみたが、手先に伝わる感覚や温度など様々な変化が感じられた。


残る味覚は試していないが恐らくこれも同様なのだろう。



エディは自分に起こった変化に戸惑った。


「これって何かの術で加護が掛かっているのだろうか?

クレセアさんが掛けてくれたのがまだ残っていたとか?」


思い当たる事が無かったエディだ。クレセアも特に何も言っていなかった。

どう考えてもエディには風の加護が施されただけだった。


「ひょっとして風の加護ってここまでの影響があるのかな?」


実際のところは風の加護は風に関するものの加護しか範囲に及ばないため速く走れる部分や遠くの音を風にのせて聞こえることもあるが、それは意図的に意識した場合で何も行動していないのに聴覚が鋭くなることはない。


「ちょっと確かめてみようか・・・」


早く戻りたい気持ちで一杯だったエディだったが、自身に起こった変化を放置しておける程の楽天家ではなかった。

エディにとっては何より優先される一大事だった。


「うわっ!何だか変化してる!!」


エディが自身を分析して判ったことがあった。

古竜から授かった”古竜の加護”なのだが、その語尾に(極)という今までになかった文字が刻まれていた。


更にこの古竜の加護を詳しく分析してみると


古竜の加護(極)


古竜の加護を受ける者の最大級の加護。

加護を受けた者は五感や身体能力、属性が二割増しになる。

この効果は古竜が解除するまで永続的に続く。


「全てが二割も上昇するなんて・・・クレセアさん何も言ってなかったけど、あの人悪戯好きな感じがするしわざと言わなかったというのも有り得るよね。

まあ、受けた側の僕としては有り難い事なんだけど」


エディはすぐにクレセアの悪戯であることを疑った。

厳格な性格の様で意外とお茶目なところがあるとしばらく一緒に居たエディは気付いていた。


全てが二割ということなのだが、そこには驚くべき真実があった。


属性が底上げされ、二段階アップしている。だが、驚いたのはそこではなかった。

底上げというのは使える魔法に対してだが、この加護は今まで使えなかった属性もレベル2の状態で使える様になっていたからだ。


それにより時空魔法と重力魔法がレベル2で追加されていた。


エディは先程まで急いでいたことなど完全に忘れて自身の変化について詳細に把握するために時間を費やした。


属性適応の数値は以下の通りだ。


火(Lv1+2)、水(Lv3+2)、風(Lv1+5+2)、土(Lv5+2)、光(Lv1+2)、闇(Lv1+2)、時(Lv2) 重(Lv2)


今まで不得意だった火・光・闇魔法もLv3まで上昇しているのと、新しく追加された時と重魔法がLv2という事だ。


時空魔法は時間を停止させるストップや遅延させるスロー、古竜から貰った腕輪に施されている空間収納などもこの時空魔法の系統だ。但し、空間収納はかなりレベルが高くないと使えない。

レベル2で使えるのは1メートル立法程度の収納空間を確保する程度が限界だ。

だが、空間収納を自分で使えるのはかなり有益だった。身に付ける小物に施せば1立方メートル×個数の収納空間を持ち運べることになる。指輪タイプやカードタイプにすればほぼ制限がない。

但し、小さいということは失う可能性もあるし、カードタイプなどは焼けて消失してしまうと空間収納に入っている物も二度と取り出せなくなってしまう。

この場合、術者であるエディ自身であれば空間収納を作った際の刻印連番というアドレスみたいなものを呼び出せばその空間に繋げることが出来るので救済処置はないわけではない。


重力魔法も有能だ。

特定範囲の重力操作を行い重力レベルを上げたり逆に下げることも出来る。自身の周辺に重力軽減を施せば月面ジャンプの様に有り得ない高さと距離を飛び跳ねる事も可能になる。


あまり戦闘を好ましく思っていないエディはこういった能力を戦闘に活かすことは考えず、真っ先に生産での可能性を考えている。

この重力魔法を物に定着させる事が出来れば重たい物も重力軽減で軽くする事が出来る。これが物流に与える影響力は計り知れない。

空間収納と併せると敵なしの無双状態になれる。


だが、それだけ便利な物を独占しているという状態には危険性がある。人間というものはそういうものだ。

エディは出来れば人々に幅広く使って貰えることを願っているのだが、一部の悪しき考えをする人間が存在する中ではそれは現実的ではなかった。


「この事は黙っていた方がいいみたいだね・・・」


とりあえずエディはこの事は秘密にしておくことにした。


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