表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/114

古竜(エンシェントドラゴン)

今まで深緑の森で魔物に襲われることが滅多になかったエディだが、今のこの状況は非常にマズい事だけは本能的に理解していた。


目の前にいる竜の大きさは高さが20メートル、幅も5メートル以上はあるだろう。

足で踏まれただけでも人間は簡単に命を刈られてしまうだろう。


増しては竜には鋭い牙や足の爪、尻尾があり攻撃手段はいくらでもあるのだ。


威圧感を放っていた竜は意外なことに人間の言葉で話し掛けてきた。


”小さき定命の者よ。何故我が聖域に足を踏み入れる”


竜は言葉を話したのではなく念話として会話を送ってきたのだった。


「勝手に立ち入った事はお詫び致します。しかし、火急の用にてこの地に立ち入らせていただきました」


”火急の用とは何用ぞ”


「はい。実は昨日、この崖の下で倒れている小さな竜の子を見つけました。ですが酷い怪我で死にかけており、私の方で何とか治療を行い命を取り留める事ができました。

助かったのですが、子竜はこの上に住んで居るとの事だったので背負ってここまで連れてきた次第です」


”何と!それは真の事か?”


「はい、本当です。今は・・・ああ、居た。あそこに居ます。

おーい!キュー!こっちにおいで!」


自分の巣に帰ってウトウトと寝かけていたキューはエディの言葉に目を覚まし声のする方向へと視線を移した。

視線の先にはエディと普段見知った姿を見たキューは一目散に駆け出した。


キュー!キュー!!


”おお!我が子よ!!どこに居ったのだ?随分と探したのだぞ?”


キューは親に会えた嬉しさでゴロゴロといいながら親竜に甘えて擦り寄っている。


”其方の話は真であったようだ。疑って悪かった”


「いえ、それは構いませんが、随分と探された様子ですが、竜ほどの力があれば気配を見抜く事は容易いのではないでしょうか?」


”うむ、全く其方の言う通りだ。あれは我も不覚であった。

一昨日、人間の徒党が我が領域に足を踏み入れて我が子を連れ去ったのだ。


人間如きに遅れを取る我ではないのだが、その時は我が子を奪い返すのに気を取られて人間の術士に呪詛を掛けられてな。

我の力を一時的に封印する呪詛であったのだ。彼奴らの多くを屠ったのだが、肝心の我が子を見失って近隣を探し回っていたところだ”

「子竜をさらうとは、何とも卑劣な連中ですね」


”うむ、我が子をさらう理由は判らんが、心が濁っておる連中のする事だ良からぬ悪事に利用しようと考えておったのだろう”


「その連中は全て返り討ちにしたのですか?」


”いや、残念ながら一部取り逃してしまった。我も我が子を探す事が先決だったのでな。だが、殆どを始末した故、すぐには来ぬだろう”


「その残党の事が気になりますが、とりあえずはキューは無事です。ご安心下さい」


”真に其方には感謝しきれぬ恩が出来た。状況から判断するに崖上から落ちてかなりの傷を負っておったのだろう”


「はい、あと少し発見が遅れていれば手遅れでした」


”其方に発見された事が我が子の強運だったのだろう。今なら感じる事が出来るが其方な人を越える力を備えているらしい”


「まだ上手く力は使いこなせていませんが、この力で命が救えるのなら惜しみなく使いたいと思っています」


”良い心がけだ。我から其方に礼を贈るとする”


竜はエディに何かを念じるとエディの身体が白く光り輝き、やがて収まった。


「うわ、体が光った!これは?」


”それは古竜の加護というものだ。この加護がある者を森の獣や魔物達は襲うことはない。それと同時に獣や魔物と意思疎通を取る事が出来る。まあこれは誰でも使えるものではないが、其方なら簡単に使いこなせる様になるだろう”


「すごいですね。大変便利なものを頂きました。ありがとうございました」


”礼には及ばぬ。我が子を救ってくれたことに対する礼としては些か少ない感もあるくらいだ。


まだ名乗っておらんかったな。我はこの深緑の森を司る 古竜エンシェントドラゴンだ。何か困り事があれば我を頼るとよい”


「エンシェントドラゴンというのは伝説上の存在かと思っておりました」


”我から人間の前に姿を現すことはないからだな。だが、人と接する時は竜の姿をしておらぬからな”


そう言い終わると同時に古竜は姿が縮んでいき、やがて人の姿へと変えた。


「人と接する時はこの姿になるのだ」


「自在に変化できるのですか?流石古竜と言うべきですね」


人の姿になった目の前の人物は二十代後半の女性だった。

茶色の腰まである髪と切れ目の美人で何も知らなけれ見惚れてしまうだろう姿をしている。


「何を惚けている。この姿の時は一応名前も用意している。クレセアと呼ぶが良い」


「いえ、あまりに美しい姿に変わったので驚いたのです。僕はエディと言います。一応セレオンという家名も持っています」


「姿は自在に変化出来るからこれは真の姿とは言えぬからな。だがそう言われると嬉しくはあるがな。其方は貴族であったか」


「まあ、貴族と言っても少し前までは平民だった成り上がりですけどね」


「なかなか面白い人物と知り合いとなったのかも知れんな。其方はここに出入りする事を許可するので自由に来ると良い。我が子とも遊んでやって欲しいからな」


「そういえばキューも姿を変身できるのですか?」


「いずれは出来るであろう。だが今は幼過ぎる。力を備えておらんから無理であろう」


「そうですか、残念です」


キュー!!


「頑張ると言っておる」


「はい、加護のお陰で伝わりました」


そしてエディは古竜クレセアとにセレオンや最近の出来事などを話をした後に古竜の聖域より離れた。


★★


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ