新たな住処
この世界ではお金の単位はGで表し、以下の通りとなる。
石貨:1G
銅貨:100G
銀貨:10,000G
金貨:1,000,000G
大体パン1つが5Gくらいなので一日に20G程あればなんとかギリギリ食べる事が出来るという計算だ。
エディは一晩で5日分の食料を確保できるお金を稼いだことになる。
同じ場所で捕り続けると魚がいなくなるのでいくつかの場所に分散させて漁を行う事にした。
エディは漁を順調に続けており、しばらくは食べる事に困らない程度のお金を貯めることが出来た。
半月が経った頃、実はエディに質問した。
「ところでエディ。今どんなところに住んでいるんだい?」
「えっと、天露の凌げる場所で橋の下です」
「その辺って水が豊富だよね?」
「はい、雨季があるのでまとまって雨が降りますので」
「じゃあ早急に住む場所変えた方がいいよ」
実の言葉にエディは”なんで??”という感じで唖然としていた。
「雨が降ると川の水嵩が上がるから橋の下になんていたら流されてしまうよ。雨が降る時期でなくても集中豪雨なんかで突然水嵩が上がることは珍しくないからね」
実に理由を聞いてエディは愕然とした。幸い住んでから雨が降ることはなかったから良かったものの、ひょっとしたら流されていたかも知れないのだ。天露が凌げるのに道理で人が住んでいなかった訳だ。
早く住む場所を変えないといけないと言うのは判るが実際どこに住んでいいのやらエディには見当がつかなかった。漁は順調とは言えまだ借家に住める程のお金は貯まっていないのだ。
「この辺に廃村になったところってないかい?」
「廃村ですか?・・・・そういえば2年程前に飢饉で畑が全滅した村が廃村になったと言うのを聞いたことがあります。それってどこだったかなあ?」
「そういう話は商人とかが詳しいはずだから聞いてみるといいよ」
「はい、魚を買い取ってくれている商人さんが顔なじみになっているのでその人に聞いてみます」
翌日、エディは魚を買い取ってくれている商人のセレスに話を聞いた。
「この辺で廃村ねえ・・・そういえば北の村が廃村になったって噂があったなあ」
「北の村ですか?」
「おうよ、歩いて2時間程の距離なんだがな。水の豊富なこの土地には珍しく近くに川がなくて井戸も枯れちまって作物が採れなくなって放棄されたらしい。坊主、なんでそんな村が気になるんだ?」
「いやあ、住むところが無くなって困ってるんですよ」
「そうなのか?なんとかしてやりたいがこればかりはな。でも廃村になるにはそれなりの理由があるんだ。なかなか難しいとは思うぞ?」
「はい、とりあえず状況を見に行ってきます」
エディはセレスに礼を言ってその場を去った。
セレスの言う通り廃村になるには理由があるのでエディも難しいのではないかと思っているのだが今まで実が言う事は全て正しかったので今回も信用していた。
その日の夜
「なるほど。歩いて2時間なら立地条件としては悪くないね。水脈のない地域か。本当にないのだろうか?」
「この辺りは水に不自由ないところばかりなのですが、たまたま住んだ土地が悪かったということでしょうか?」
「その辺は君の力が大いに発揮されるところだろう?」
「あ、そっか!分析すればいいんですね!」
エディの分析は日々の鍛錬でレベルが上がり今はレベル5にまで達している。そのレベルでは地脈なども見る事が出来、当然水脈についても確実に探る事が出来る。
翌日、エディは廃村までやってきた。分析では確かに村の周辺の水脈は枯れている状態だった。
枯れた水脈を辿っていくと川の源流に辿り着いた。この川はいくつかの支流に分岐されており、その一つの支流が大きな岩で塞き止められていたのが水脈枯渇の原因みたいだ。
人為的なものでなく崖の上にあった岩が地盤の風化などで脆くなって崖下に転がり落ちたというものだろう。
「それにしてもこんな大きな岩、どかすこと出来ないよな・・・」
支流を塞き止めている岩は大人の背丈よりも大きな岩だった。子供のエディは当然として大人でも数十人掛りでないと動かせないだろう。エディは悩んだ。いつも困った時の実頼りになっているが、今回は自分で解決したい。そういう思いが強かった。
何時間悩んだのだろう。流れる水を見ていてふと思った。
「重い岩をどける必要ないんじゃないかな?岩が邪魔なら岩を避ければいいんだよ」
答えはあっけなく閃いた。岩を取り除いて元の支流に水を流すという考えでいたが、岩をそのままに水の流れを岩を避けて運ぶことで水脈に水が流れるだろうと考えたのだ。
岩を動かすことに比べたら支流まで水の流れを作ることの方が簡単だ。しかもエディは分析持ちだ。固い土を避け、柔らかい土の場所を選んで掘り進めれば比較的楽に繋げる事が出来るだろう。
エディは2日間かけて川の流れを支流に運ぶ事に成功した。
はじめはチョロチョロと頼りない流れだったが一度水が流れ出すと土が削られ次第に大きい流れとなっていった。
川の支流に水が勢いよく流れていく様になりやがて地下に染み込んだ水が廃村の水脈にまで行き渡たるようになるだろう。エディはしばらく様子を見ることにした。




