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届いた想い

「あはは、昔からキャセリーヌは言い出すと聞かなかったからね。特にエディ君に対しての事に関しては。

幼馴染のエディ君ならまだしも今や飛ぶ鳥を落とす勢いの工業都市セレオンの領主のセレオン卿であれば、父親として将来有望な若者に娘を嫁がせるのに文句の言いようがないな」


「おほほ、キャセリーヌよかったですわね。あなたの強い想いが願いを叶えたのですよ。母もうれしく思います」


「ちょっと待って下さい!僕を抜きにして話をどんどん進めないで下さい」


「あら?セレオン卿は私の娘であるキャセリーヌの事がお嫌いなの?」


今まで静かに聞いていた奥方がキャセリーヌの援護射撃に回った。

このお母さん、笑顔だけど何だか怖い・・・


「そういうことではありません。話が急すぎます。まだ結婚なんて考えた事もなかったし、そういう年齢ではないと思っていたので」


「まあまあ、皆一旦落ち着こうか。今日はセレオン卿を歓迎する宴だよ。確かに急な話で申し訳なかった。

私達は今までキャセリーヌの幼馴染のエディ君がセレオン卿と同一人物だとは知らなくてね。

娘は小さい頃からエディ君一筋だったんだよ。でも身分の差はどうしようもなかったものなのだが貴族となった今ではその問題もなくなった。娘が急く気持ちも判って欲しい」


「はい、事情は理解いたしました。僕も小さい頃にキャシーと仲良くしていましたし嫌いじゃありません、決して。

先程も言いました様に話が突然過ぎて整理できていないんです。それにこの件については家族とも相談してから決めたいと思いまして」


「うむ、セレオン卿の言うのも尤もな話だ。一度持ち帰って考えてみてはくれないか。それで問題なければ今は婚約という形で構わないよ」


「はい、わかりました」


「流石のセレオン卿もどうやら娘からは逃げられないようだね」


突然の結婚話で戸惑うエディだったが、エドモン卿の人柄は研究会を通じて理解しており由緒正しき貴族として人生の先輩としても尊敬できる人だ。この人達と家族になるならいいんじゃないかと思うのであった。


そう言えば先日夢の中でミノルが外堀を固められてと忠告されていたことを思い出したのだが今となっては後の祭りだった。



その後、晩餐では新しい家族であるエディを歓迎する宴が続いた。今夜はここに泊まって明日セレオンに向かうことにした。


今日はいろいろあったのでエディも少し疲れが溜まっていた。ベッドに潜り込むとすぐに眠れる自信があった。


その時、ドアをノックする音が聞こえた。誰かと思いながらドアを開けると前に立っていたのはキャセリーヌだった。


「夜分遅くにごめんなさい。どうしても今日話しておきたくて」


「うんん、構わないよ。でもここじゃマズイでしょ。テラスに移動して話さないかい?」


いくら婚約の話をしているからといって若い男女が同じ部屋に居ては変な噂が立ってしまうと気遣ったエディだがキャセリーヌもそれを聞いてハッと我に返った様だ。淑女である彼女が男性の部屋に夜這いをする筈はないのだがエディの事となると周りがよく見えなくなってしまうのである。


エディに変に思われていないか心配な彼女は俯き加減にエディの後に続いた。


「それで、どうしたんだい?キャシー。君らしくない」


「あのう・・・明日にはセレオンに帰られてしまうので・・・何ていうか寂しいというか・・・私まだエディと話足りなくて・・・」


先程までエディと会って話をしようと考えていたことが全て飛んでしまい頭の中が真っ白になってしまったキャセリーヌであった。


「ふふふ、大丈夫だよ。もう僕は突然消えたりしないから。まあ、家には帰らないとマズイからそれくらいは我慢できるよね?

婚約の話も姉さんに報告しておかないといけないしね」


「はい、大丈夫です。お姉さんですか?エディには二人の兄しかいなかったはずですが?」


「うん、もちろん血のつながった姉ではないよ。僕の保護者の様な人かな?母であり姉である様な存在かな?でも母なんて言ったら”そんな歳じゃないわよ!”って言って怒られちゃうかもね」


「ふふふ、仲がよろしいのね。それにしても、エディがセレオンの領主だったなんて驚きましたわ。どの様にすれば只の村人だった貴方がそれ程までになれるのですか?」


エディは今まで自分に起こった事を包み隠さずキャセリーヌに話をした。もちろんみのるとのことも含めてだ。


「それでは夢の中に出てくるミノルという方がエディの心の支えだったのですね。少し妬けてしまいます。でもそれ以上にその方へ感謝したい気持ちで一杯です。エディを励ましここまで導いて下さったのですから」


「そうだね。僕もミノル君には感謝してるよ。でも、彼も僕もまだ野望の途中なんだ」


「野望ですか?それが何か聞かせてもらってもよろしいですか?」


「うん、それ程大したことじゃないよ。僕と彼とが協力して知略でこの世界を征するということなんだ」


「それは十分大それたことだと思いますが・・・では、その野望を支えるために私も頑張らないといけませんね」


「そうだね。いいお嫁さんになってくれたら僕もうれしいかな」


エディがそう言うとキャセリーヌの顔が紅潮した。

月夜に照らされた彼女はいつも以上に可愛く見えた。

二人は目と目で見つめあい月空の下、唇が重なった。

キャセリーヌにとって初めての口付けだ。エディはユキノと既に口付けをしているが家族ということでノーカウントになっている。


「さあ、この季節とはいえ夜風は寒いから部屋に戻ろう。僕が送っていくから」


「そうですね。それではお願いします」


キャセリーヌは今想いの一つが遂げられた事で感無量だった。ひょっとしたら今自分が世界の中で一番幸せなのでは?と思っている。


キャセリーヌを部屋に送った後、自室に戻ったエディだが先程の彼女との出来事を思い出して少し興奮した。

とはいえ、疲れも残っているので早々にベッドに入って目を閉じた。


夢の中ではみのるに今日起こった出来事を報告した。

流石に実も結婚の話が出てきたことに驚いたが、中世の貴族はそういうものだったとすぐに納得したらしい。


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