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エディやらかす

受験生は人数が多いためいくつかに分かれて試験を受けることとなる。試験は学力、これは一般常識や魔法や才に関する初歩的な知識だ。

試験の形式は筆記試験となる。


別に行われる実技試験との総合判定で上位200名が合格者として選ばれる。


続いて実技試験だが、これは能力が多くあるため自分の実力を発揮できる能力で判断がされる。一人一つとは限らず、多くに適合できる方が試験には有利に働く。また一つだけでも難易度の高いものや社会貢献度の高い能力は相応に評価がされる仕組みになっている。



エディは先ずは学科から受ける様に言われた。


学科は一般常識と才に関する知識で常日頃から理を育てるために勉強をしているエディにとっては当たり前という内容の問題ばかりで間違えろという方が難しい。但し魔法に関しては図書館知識ばかりで実際に使ったことのないエディは独学知識でどこまで答えられるか不安だった。


結果エディは全問正解だった。不安は杞憂に終わった。


試験問題となるのは常識問題と言われる程度の難易度のものしか出題されていない。それでも多くの者が回答できずに落とされている様だった。



続いては実技試験だ。


実技試験は先程までの講堂内ではなく講堂を出た正面に広がる校庭で行われるらしい。


校庭の真ん中に試験施設があった。


50メートル先にある的に向かって当てる実技が最初に目に留まった。受験生は火の玉や氷の塊を的に向かって放っているがこうした能力を使って飛ばすというのは非常にコントロールが難しいのだ。


訓練の仕方は人それぞれだが、普通は威力を上げることを優先するのだが実際の戦闘などではいかに相手に当てるかが重要となる。当たらなければ無駄撃ちとなってしまうし、コントロールが利かなければフレンドリファイアとして味方を攻撃してしまう可能性もある。


受験者は魔法を用いて的に当てるという形で試験に挑んでいる。

エディの場合、魔法として使えるものは現時点ではない。


魔法が使えない代わりに才の技能のいくつかで課題をクリアさせる事は可能だと判断した。


「それでは次、54番」


「はい、54番いきます」


係官に呼ばれてエディの番となった。狙うは50メートル先の的だ。


エディは的に向かって手をかざした。本当はその様な動作は不要なのだが何もしないと格好がつかないので一応形だけそれっぽくしてみた。


パリン!!


的が跡形もなく砕け散った。係官もそうだが後ろに控えていた受験生も皆唖然としていた。


係官は何が起こったのか理解できなかったが的が破壊された事実は変わらないのでSランクの評価をつけざるを得なかった。

本当は詳しく聞きたかったのだが次の試験に代わりの的を用意せねばならず次の受験生にはしばらく待つ様に待機させ的の交換に走った。


エディはこの試験は終了したものと判断し次に受けれそうな試験を探した。


「あれいってみようかな?」


次に目に入ったのが防御系スキルの試験だった。

係官が軽い攻撃を放ちそれを結界などのスキルで防ぐというものだった。

係官が氷の塊を飛ばして受験者が結界でそれを防いでいる。

うまく防御が働かずそのまま氷の塊を受ける者もいるが係官は直撃を狙って放つわけではないので受験者のすぐ横をかすめる程度で済み怪我人が出ることはなかった。


試験は申し込み台帳に記入した順番に呼ばれていく。


「次は54番の人」


「はい、54番です」


「当てる訳ではないので安心してください」


係官はそう言うとエディが構えるのを待って氷の塊を放った。

先程とは異なりエディは手をかざすでもなく何の動作も行わない。迫る氷の塊に誰もが当たると思った瞬間、氷の塊が一瞬で消え去った。

いや正確には粉末状に粉砕された。

エディの放った分解で粉末状となったのだ。

エディは分解を遠隔操作できる。今回は分解を領域展開させ領域に侵入した氷の塊が分解したという訳だ。

分解もレベルが低い場合は分解する対象を理解してどの様に分解するなど様々な状況をイメージしないと発動しないのだが分析がマスターとなった今では分解対象を分析でサーチして自動展開させるという芸の細かい事も可能としていた。

もちろんこの様な高等技術を駆使できるのはエディだけだろう。


「変わった能力ですね。いいでしょう。クリアです」


先程の係官と違ってこちらの係官は冷静だった。ひょっとしたら何が起こったのか想像がついていたのかも知れない。


続いて屋内の試験会場へと足を運んだ。先程の攻撃や防御系の場合、広い場所でないと危険なため屋外で行っていたのだが、支援系の能力の場合、危険は伴わないため屋内施設で行っている。


屋内の体育館の様な広い場所で試験は行われている。


一番手前には2メートル四方の木枠の中に30センチ程の深さで土が入っている。この土を変化させるというもので主に土木工事をするために必要なスキルとなる。


受験者は土に穴を掘ったり隆起させたりしている。

早速エディも受けさせてもらうことにした。その前に質問をしておいた。


「あのう、これって土のままでないと駄目なんですか?」


「能力を使うのであれば特に限定はしませんよ」


係官は何を言っているのだ?といった疑問を顔に浮かべていた。


「わかりました。それでは54番いきます」


エディは枠内にある土全てを使って彫像を作った。それは土の粘土細工ではなく石造だった。土を圧縮して固めたものだ。


「これは・・・あなたがやったのですか?」


「はい、土を高圧圧縮して固めたものです」


係官は無言で彫像を手で触っていた。


「あ、このままじゃ次の人の試験が出来ませんよね?ちょっとお待ち下さい」


エディはそう言うと彫像を分解しもとの木枠に土を何事も無かったかの様に戻した。


彫像の時も驚いたがまた土に戻った事に更に輪を掛けて驚いた。係官も周りの受験者も唖然とするだけだった。


「さて、次は何を受けようかな?・・・」


エディが次の試験を物色していた時に後ろから声を掛けられた。

声を掛けたのは年齢にして三十代後半くらいだろうか、眼鏡をかけた女性だった。


「そこの貴方、ちょっとよろしいでしょうか?」


「はい、何でしょうか?」


その女性はエディにとりあえずここでは話が出来ないからついて来るように言われた。

連れてこられたのは学位長室だった。


「突然呼び止めてごめんなさい。私はこの学園の学院長を務めさせてもらっているアスタリアといいます。セレオン男爵で間違いないですね」


「はい、僕がセレオンです」


「係官が相当な能力をもつ少年が受験していると報告に来たのですがまさか貴方だったとは・・・」


「学院長は僕の事、ご存知なのですか?」


「はい、領主様にセレオン男爵が入学されるということで頼まれておりました。もちろん便宜を図るとかではないのですが、領主様が直々に言われるくらいなので何かあるとは思っていましたが・・・」


「えっと?何か不都合がありましたでしょうか?」


「それは貴方、大有りです!あなたが放った能力、あれは一般常識を遥かに越えるものだという認識ありますか? それを見た受験者が委縮してしまって辞退者も出ているのですよ?」


「ええっ!!」


エディは気付いていなかった。やり過ぎたのだ。だがエディなりに理由がった。楽しみにしていた学院の入学だが半数以上が落とされるのだ。無能者と言われた自分がその中に入る訳にはいかないと必死だったのだ。未だにエディは自分の能力がこの世界の能力に対してどの程度かというのは能力者に接した事がないので仕方のないことではあった。


「このまま貴方が試験を続ければとんでもない事態になっていたので学院長である私が呼び止めたという訳です」


「・・・という事は僕は失格ということですか?・・・」


エディは落胆して目の前が真っ暗になった。ユキノに頑張ってって言われて出てきたのに何と言って家に帰ったらいいんだろう?そんなことを思いながら。


「どうしてそうなるのです?貴方を手放すなんて国の不利益の他ないでしょう。そんな事すれば私の首が飛ぶわよ。そうじゃなくて貴方は試験など続けなくても合格という意味よ」


「合格?ですか!?やったー!」


エディは子供らしく落胆し諦めかけていたのに合格だったという言葉に素直に喜んだ。


「待ちなさい。喜ぶのは早いですよ。貴方の様な能力者に全力を振るわれたらこの学園が消し飛んでしまってもおかしくないのよ。まずはその能力を抑えることを学びなさい。そのために貴方にはSクラスとなってもらいます。そして授業に加わって問題ないと判断したら授業はAクラスと一緒でも良いでしょう」


「ありがとうございます!どちらにしても合格ということですよね!?」


「・・・なんだか先が思いやられるわ・・・」


合格ということだけしか頭になかったエディは学院長の言葉は殆ど耳に入っていなかった。


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