異世界からの友達
才の儀が行われた日からエディが眠ると夢の中で一人の少年が現れる様になった。
少年の名前は高橋実。エディより5つくらい上だろうか。背は165センチくらいなのでエディよりも頭半分高い。見た目男の子か女の子か判らない中性的な感じがする。服装もこの世界では見た事のない服装だが見るからに高そうな布地なので貴族の子息かも知れない。
どうせ夢なのでエディは気を遣うこともなく気軽に話かけた。
「こんにちは!僕はエディ。君は?」
少年は笑顔でエディに応えた。
「おや?ここは夢の中かな?初めまして僕の名前は高橋実。高1だよ」
「高1?なにそれ?」
「エディという名前からして外国人かな?それにしても流暢な日本語だね?まあ夢だから何でもありか。高校一年という意味だけど?判る?」
実は笑いながらエディの質問に応えた。
「う~ん、よくわからない。言葉は通じているけど・・・」
エディも良く分からない状況に困惑した。
「まあ、深く考えることはないさ。どうせ夢だし。君の世界のことについて教えてくれないかい?」
これがエディと実が初めて会った瞬間だった。エディは才の儀の事や自分の置かれた状況を詳しく実に説明をした。
「”理”という才かあ。まずは世の中の事を知ることから始めた方がいいんじゃないかな?」
実はエディの話を聞いて理という才は単なる技能ではなく何かを行う事によって育てる性質のものではないか推測した。
こういった推理は実の最も得意とすることだ。エディには話をしていないが実は高校生クイズのチャンピオンホルダーだ。まだ高校1年生でありながら初出場・初優勝を果たしていた。頭脳明晰で記憶力も抜群。学校でも常に主席でスポーツ万能。唯一欠点というか完璧でないのは走る事が遅いくらいだった。
実の両親は基本的に放任主義だが実が興味のあるものには制限することなく何でも提供した。
歴史が知りたいからと言ってエジプト旅行を簡単に認め費用を出すくらいの奔放さだ。
中学生でありながら既に大学レベルの学力があった実は出席日数を満たす最小限の日数以外は海外で探索や学術研究への参加などありとあらゆるものに顔を出していた。
それ故に自然と博識になっていたのだ。当然推理小説なども読み漁り軍略などを研究するのも趣味のひとつだった。
そんな実なのでエディの事に興味がない筈がなかった。理が何であるのかその解が自分の考えるものと同じなのか知りたい気持ちで一杯だ。
「世の中を知るって具体的にどんなこと?」
エディは実の出した答えを今一つ理解していなかった。
「簡単に言えば世界の全てかな?何故今世界はこうなっているのか?過去はどうだったのか?これからはどうなるのか?そういった時代の変化から人々の暮らしはどうなのか?文化がどうか?知りたいことは山ほどあるでしょ?」
実はエディが理のために世の中を知る事を必要とする説明をしたのだが、その実自分がその世界を知りたがっていたのだ。ワクワクしているのが顔から溢れ出ていた。
こうしてエディと実はエディの世界を少しずつ知り、実の世界の事をエディに教えることによりエディの知識を少しずつ増やしていくことにした。
エディの話によると才はレベルが10まであるらしく、知識の習得でどの程度までレベルが上げられるのかを実は試したかった。
初めて夢で逢った時はお互いにこの夢限りと思っていたのだが、次の夢もまたその次の夢も毎回会うことによりエディと実は理の才の影響で繋がったことを確信したのだった。
そういった意味では実も当事者の一人であるため実には何としてでも成長し理の才が”無能”ではないことを証明したかった。
エディが商家に売られて下働きをしていた約3か月間、毎晩エディは実から知識を学んでいた。つい先日なるが理のレベルが2に上がった。これにはエディも実も非常に喜んだ。
実は自分の推測が正しかったことに少しドヤ顔だったが嬉しさで一杯のエディは気付くことはなかった。
「それでエディ、レベルが上がって何か変わったことはないかい?」
「えっと・・・スキル?というのがあります。分析という名前のものですが・・」
「なるほど・・・。どうやら理はレベルを上げるに従って相応のスキルを覚えることが出来るらしい。 まずは分析かあ。鑑定スキルみたいなものかな?」
「才のなかに鑑定というのはあるけどそれと同じでしょうか?」
「その鑑定というのはどういう特徴があるんだい?」
「物を調べたりするスキルですがレベルが上がると人のステータスとかも判るみたいです」
「なるほど。じゃあ、鑑定と同様と考えて何か身近にあるものを凝視してみなよ。って今は夢の中だから起きてからかな?」
「どうでしょう?ちょっと待って下さい」
エディはこの空間を見て分析と念じてみた。
「どうやらここも分析できる様です。理の世界 と表示されています。えっと具体的には何かが表示されるのではなく、僕の頭の中に浮かんでいるという感じです」
「へえ、それは凄いね。ということは、ここは単なる夢の中じゃなくて理の力によって開かれた空間ということになるね。エディ、僕を分析してごらん?」
エディは実に言われるままに実の姿を凝視した。




