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領地開拓

<その日の夜>


「ええ!!今度は男爵なの?ジャガイモじゃないよね?それにしても君はRPGの冒険者の様にどんどんレベルアップしていくね」


「またミノル君が訳の判らないことを言い出した・・・」


「ああ、RPGはゲームの話ね。そっちにはないから伝わらないと思うけど。まあ、それは置いといて、さっきの話は本当なんだよね?」


「本当の話ですよ。それでこの辺一帯を領地として治めることになるみたいです。ミノル君と話をしていた工業団地を中心にして開拓を進めることになりますよ」


「お!いよいよ野望の第二段階だね。エディも一国一城の主になるわけか。その歳ですごいね」


「あはは、お城は大袈裟ですね。属領の領主なので派手な事はできませんよ。どうなんでしょう?領主館程度じゃないでしょうか?」


「まあ最初はそれでもいいかも知れないけど、そのうちノンビリとは構えていられなくなると思うよ」


「え?それはどういう意味でしょうか?」


「聞くところによると、そっちの世界は常に領土を取り合っている乱世が続いているんだよね?

カーソンって辺境の地でしょ?確か東西と南が他国に接している言わば戦略上の重要拠点になるわけだよ。

セレス辺境伯が国に重きを置かれているのはその重要な拠点を任されているからだろう。

それに加えて、セレオンだっけ?君のこれから作る産業都市が発展してごらん?他国が黙って指を咥えて見てると思うかい?

きっと奪いに来るに違いない。遅かれ早かれそうなるだろうね」


「そう言われてみると起こりそうな気がします。簡単に引き受けてしまいましたけど、成功しても先行きがそれじゃあ意味がなくなりますね・・・」


「おいおい、そんな弱気でどうするんだい。そこで蛮族達を退ける力を備えておけばいいって訳じゃない。君にはチートな能力があるんだからさ」


「チートってなんですか?そんな、屈強な兵を持つ国に対して撃退出来る程の兵を維持するなんて無理ですよ」


「それを可能にするのがチートじゃない。チートっていうのは言わば反則技ってことだよ。君の能力を駆使すれば通常の軍なんか歯が立たないくらいの事が出来るはずだよ。


まあ、言われてもピンと来ないだろうから、その事については追々考えるとしよう。まだこれから発展予定の段階だから時間はあるからね」


「なんだか大事になってきましたね」


「僕たちの野望の世界を征するというのはそういう事だよ。これは最初の始まりに過ぎないと考えた方がいいよ。


それと僕から君に是非ともやって欲しいことがあるんだ。」


「僕にですか?何でしょうか?」


「これから先の他国を含めた情勢でこの国も戦争がはじまる前提とした場合に一番重要なのは何か判るかい?」


「戦争となると軍備でしょうか?鉄壁の守りとかではないでしょうか?」


「まあこちらが攻める側ではないので君の考えはある意味正しいけど、それ以前にもっと重要なものがあるんだよ」


「軍備よりも重要なものですか?」


「うん、これがなければどんな立派な軍備を持っていても役に立たなくなる。 それは”情報”さ」


「情報ですか?それが一番重要なのですか?」


「僕の世界では単なる戦いをするだけでなく如何に相手の情報を持つかが勝敗に影響するんだ。

考えてごらん?君が軍勢1万の鉄壁の守りで備えたとする。だが敵はいつ攻めてくるか判らない。君は1万人の兵士をいつ来るか判らない敵に備えて養い続けなければいけないんだ。

仮に攻めてくる時期が判ったとしてもどこから?どうやって?兵種は?情報がないと動き様がないでしょ?

戦いの基本は己を知って敵を知る。そして俯瞰的に状況を見て物事を判断しなくちゃいけないんだ」


「なるほど。ここまできてようやくミノル君の意図することが見えてきました。そうですよね。情報を手に入れる事が重要だというのが判りました」


「まあ続く言葉はどうやって?だよね。

諜報機関だよ。簡単に言うと敵の情報を盗む人間。諜報員を育ててあらゆる情報を入手したり操作するのさ」


「なんだか難しそうですけど・・・」


「そりゃあ簡単にはいかないさ。諜報員にも得手不得手があるから適材適所に割り当てるし場合によっては暗殺とかの汚れ仕事をすることもあるしね。

それにイザという時には敵に情報を漏らさず自害する覚悟のある人間が必要だから」


「それを聞くと余計に絶望的になりますよ・・・」


「そりゃあいきなりでは無理だよ。任せる人には愛国心を持ってもらわないとね。守りたいものがある人間は強いから。


まあ、ざっくりと説明したけど今すぐ必要なわけじゃないよ。

僕たちは先手を打ってるからね」


「先手?もう何か動いているのですか?」


「当然。僕たちは敵が何れ攻めてくるというのを知っている。逆に敵はまだ僕たちの存在すら知らない。これは大きなアドバンテージになると思わないかい?」


「知らない今なら思う様に動けるということですね」


「そういう事。で、これからやる事は2つ。

1つは先程言った諜報員の育成。

これについては雪乃さんに相談するといいよ。さっきの理由を説明して忍者部隊を作るからと言ってくれたら通じるから」


「忍者部隊って何ですか?」


「忍者はその昔、諜報や計略に長けた隠密集団の事をそう呼んでいたんだよ。諜報術だけでなく特殊な武器を使った戦闘も出来るんだ。総合格闘術のファンだったら絶対忍者も関心あるはずだよ」


「ミノル君の世界にはすごい集団が居たのですね?」


「まあヒーロ伝説みたいな感じで多少大袈裟に着色されている部分もあるけど歴史上存在していたことは確かだけどね。


それと2つ目だけど。


領地開拓する時に敵が攻めてきた時の防衛機能を持たせた構造にして欲しいんだ」


「防衛ですか?例えば塀を作るとかですか?」


「そうそう。塀や堀も防衛機能の一種だね。でもそれらは侵入を阻むだけでいつか突破されてしまうでしょ?撃退することも出来る設備を入れたいんだよ」


「それは兵器を開発するということですか?」


「うん、ある意味兵器だろうね。地の利を活かして水力を活用するんだ。具体的にはまた個別に説明するけどなかなか面白い物ができそうだよ。


あ、そうそう、街は緩やかな坂にしておいてその上に作るようにしてね。これは重要だから」


「緩やかな坂というとどれくらいですか?目安があればいいのですが」


「そうだね。荷車を馬や人が引いて何とか通れる程度でいいよ。水が低い方に流れる様にしたいからね」


「判りました。これは一番先にやる必要がありますね。丘陵地がなければ僕がその様な形状にします」


こうしてセレオンの開拓と街の防衛機能が同時進行で進められることとなった。

その防衛機能を備えたセレロンが後に鉄壁の要塞都市と呼ばれる様になるのをまだこの時点で知る者はいなかった。


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