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領主と接見

エディは貴族に接するということにそれ程感じることは無かった。

本来なら一般庶民のエディと接点がある方がおかしいのだ。

だが、エディは幼き頃から貴族の娘であるキャサリーヌに慣れ親しんでいたためそれが特別な事だという意識が薄かった。


ユキノもこの世界の貴族がどういうものなのか全然判らなかったのだが、中世ヨーロッパの貴族くらいは物語や歴史の勉強で知っている。その知識からエディが領主に会うというのが一体どういう事なのか理解し難かった。

ひょっとしたら何かの気まぐれでそうなったのかも知らないが相手が貴族であれば無礼があればエディの身になにか起こってしまうのではないので余計に心配してしまう。ユキノの態度を見てエディも委縮してしまうといった悪循環が続いていた。


「お姉ちゃん、もうジタバタしてもどうしようもないよ。僕も覚悟を決めて領主様に会ってくるよ」


「エディなら大丈夫よ。ちゃんと二人で勉強もしたじゃない。それにここの領主様って話のわかる人だそうよ。だから少々の事なら大目に見てくれるわよ」


今日はいつもの服と違って少し余所行きというか新品で下ろしたての服を着ている。

ちなみにエディの普段の服はネルシャツにジャケットという服装だ。

ギルドに出入りするので服装には気を遣っている。

ネルシャツはエディの取り入れたカラーの流行でシャツにも柄が入る様になり自らも率先して着るようにしているのだ。


ユキノもエディの着こなしに問題ないかグルリとエディを一周して眺めて髪の毛を梳かし直したりして確認を行っていた。


「それじゃ、お姉ちゃん、いってきます!」


「うん、頑張ってね!エディなら大丈夫だから!」


ギルドマスターの紹介なら大丈夫だろうと最初は心配はせず気楽に考えていたが期日が迫るにつれて不安が押し寄せてきたのだ。

だがユキノの存在がエディを落ち着かさせた。一緒に考え悩んでくれているユキノを見ているとしっかりしないといけないと思ったのだった。



街に到着すると寄り道することなく工人ギルドへ向かった。

ギルドでは特に挨拶する事なくエディの顔を職員が見つけるとすぐに案内に来てくれた。


職員に部屋の入口まで案内された後、部屋の中を確認して中に入る様に言われた。

他の人はもう既に揃っているらしかった。


「失礼します。一応早めに来たつもりですが、皆さんもうお揃いでしょうか?」


「ははは、そりゃあ儂らは此処で仕事をしておるから揃っていても不思議はなかろうて。まあ領主様も物好きじゃからのう。もう来ておるよ。早速案内しようかの」


どうやらもう領主様は来ているらしい。それにしてもマスター、領主様を物好きって・・・不敬罪にならないのかな・・・

エディは自分の事はさて置いていらぬ心配をしていた。


「さて、ここじゃ。入るがいい」


マスターに案内されたのは会議室の奥にある特別応接室だった。ここだけドアの色や壁紙の装飾が異なっていて豪華だった。確か商人ギルドにも同じような部屋があったはずだ。


「失礼します。お初にお目にかかります。ブロンズランクのエディと申します」


失礼の無い様にきちんと名乗ってから部屋の中へと入った。

そこで部屋の中で待っていた領主様は・・・何故か知った顔だった。


「よう!坊主!久しぶりだな!元気にしてたか!」


「え!?な・なんでセレスさんがここに!?」


「そりゃあ、おめえ、領主様だからだろうよ」


エディは久しぶりに会ったセレスに驚いたが、そのセレスから自分が領主だと言われて更に驚いて開いた口が塞がらなかった。


「あひゃひゃひゃひゃ!爺さん見てみろよ!こいつの顔!鳩が豆鉄砲喰らったような顔してやがるぜ!」


「セレス様、流石にそれは人が悪すぎます。こんな小さな少年をからかって趣味が悪いですぞ」


「あはは・・すまん。いやあ、ここ数年で一番笑ったわ」


領主は笑い過ぎて涙が出て苦しそうだった。そのまま笑い死ねばいいのにと思ったが口には出さなかった。


「領主様は私の魚を買い取ってくれてたあのセレスさんですよね?だとしたらどうして?」


「そりゃあ、面白いものを見つけたからに決まってるだろう。川沿いに妙な仕掛けを作って大量に魚を捕獲してる子供なんてそう見かけるもんじゃないぞ。こりゃ何か面白い事が始まりそうだってことで買取屋に扮してお前が来るのを待ってたって訳だ。そしたら俺のカンは大当たり。商人ギルドでのお前の活躍を見れば一目瞭然だろうよ」


「それで商人ギルドのマスターは領主様を見て苦笑いをしていたんですね。合点がいきました」


領主とエディの会話を挟む様にギルドマスターが声を掛けた。


「そろそろよろしいでしょうか?本題に入りたいのですが」


「おう、そうだったな。坊主の能力についてだったな」


「はい、それについては僕から説明します。僕は理という才を持っています。

この才は神官様も知らない様でどの様に使っていいのかわからず僕は両親はら無能者として蔑まれ商人へと売られていきました。ですがそこでも長続きせず三か月で解雇されてしまいました。

僕は理というのは直接発動する能力ではなく何か行動することで育つスキルだと推測しました。そして理はこの世の歴史、文化ありとあらゆるものの知識を得ることで育つと確信して様々な事を学んでいきました。

そして身につけた情報量が増えるにつれて理のレベルが上がり、れレベルに応じてスキルを習得しました。

レベル2で分析、レベル3で分解、レベル4で合成。今はレベル4の段階にあります


このスキルを使ってガラスの素材を分析し、その素材のある場所も特定出来た次第です。それからはギルドマスターにお聞きした通りになります」


エディの説明を受けて領主は考え込んだ。

彼なりに情報を咀嚼しているのだろう。その姿はいつもの気やすい商人の表情ではなく真剣な顔つきで、その威厳のある姿を見たエディはやはりこの人は領主様なんだと納得してしまった。


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