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新たな希望

エディは想像以上のユキノの反応に残念な答えしか出せないことに恐縮しつつ話を続けた。


「期待をさせて申し訳ありませんでしたが彼はこの世界には居ないのです。信じてもらえないかも知れませんが僕とは夢の中で会っているんです。二年ほど前になりますが、才の儀を受けてから彼とは毎晩夢の中で会っています」


「そうなんですね・・・でもその話は嘘ではないと私には判ります。この世界に日本人の名前を知る人なんて居るはずがないですもの。実際にお会い出来ないのは残念ですが・・・」


「次にミノル君に会う時にユキノさんの話をしますね。彼ならきっと色々と良いアドバイスをくれると思いますよ。ユキノさんも夢で一緒に会えるのが一番いいのですけど・・・」


「いいえ、贅沢は言えません。先ずはご友人に私の事を伝えてもらうだけでも有難いです」


ユキノと話をしていてエディはふと気が付く事があった。


「ユキノさん、行倒れていた理由としてひょっとしてなんですが、無能者として虐げられていたとかですか?」


ユキノはエディの言葉にビクっと反応した。


「はい。異世界から来た私には何の能力も授かっていませんでしたのでどこも雇って貰えず街を出て彷徨っていたんです」


「やっぱり僕と一緒でしたか・・・僕も使えない能力ということで無能者扱いで親に売られてしまったので」


「でも、エディさんはこうやって自立しているじゃないですか。決して無能なんかじゃないと思います」


「ええ、今は自分でも無能ではないと断言できますよ。世間が知らないだけで無能扱いされてしまう。もちろんユキノさんだって無能なんかじゃない。あなたにしか出来ない事があるはずです」


「そうでしょうか?私にはこの世界でやっていける自信がありませんが・・・」


「ところで、ユキノさんは元の世界では何をされていたんですか?差支えなかったら教えて下さい」


「はい、もちろん大丈夫です。私は元の世界では看護師という人の病気の面倒を診る仕事をしていました」


「とても立派なお仕事じゃないですか」


エディは今のユキノの言葉に何かきっかけがないかユキノを分析してみることにした。


ユキノのステータスを見て驚いた。


木下雪乃 26歳 血液型A型 身長160cm・・・・


ミノルと同じ様に一連のステータス情報が連なっており


才:生 と表示されていた。


「ユキノさん、驚かずに聞いて下さい。あなたにも才が与えられています。生というものです。これが何を表すものなのか今は判りませんが、僕と同じであれば経験値を稼いでレベルアップすればスキルが使える様になりますよ」


「え!?本当ですか?私は無能ではないの?・・・本当に?・・・」


ユキノはエディからの意外な言葉に半信半疑になりつついつしか涙を流していた。


そしてその夜、エディは実にユキノの事を話した。


「いやあ、久々に驚いたよ。まさかライトノベルでよくある異世界転生があるなんて。って、僕も似た様なもんだけどね。それにユキノさんは転生でなく転移だったね」


と実は一人ボケ突込みを行っていた。


「ミノル君、ユキノさんの”生”という才はどうやって育てれたいいと思う?僕にはサッパリ判らないよ」


「う~ん、恐らく彼女がこっちの世界で就いていた看護師という職業と少なからず関係しているんじゃないかな?看護師というのは病を患った人を収容する病院という施設で医者と呼ばれる治療を行う人を補佐したり病院を介護したりする仕事をする人のことを言うんだよ。だから人の生死に関わる事、或いは人のために治療をして救うなんかで経験値が稼げるんじゃないかな?」


「それってかなり難しいですよね。そんなに頻繁に人の生き死にに携わるものでもないし、治療といってもポーション飲むくらいしか回復方法ないし・・・」


「そっちの世界って医療行為はないのかい?医者とかは?」


「えっと治療というのに近いのは教会の司教様が癒しを与えてくれるというくらいで直接怪我や病気が治るというものではないです。治癒力を高めるという程度だと思います。あとは薬師の調合する薬を煎じて飲むとかですね。司教様の癒しも薬師の調合薬も非常に高価な物なんで一般の人がおいそれとお願いするこ事はできません」


「なるほど、ゲームのようにヒールとかできないんだね」


「なんですか?そのヒールっていうは?」


「直接怪我や病気を治す魔法だよ。そっちにはあると思っていたんだけど・・・例によって知らないだけじゃ?」


「まあ、この辺りは辺境の地なのと僕の知識はまだまだ及びませんのでその可能性は捨てきれませんね」


「じゃあ、とりあえずユキノさんには薬草を使って調合して作る治癒ポーションの制作に携わってもらう様に言っておいてくれるかな?出来れば材料を入手するところからやってもらた方がいいかもね」


「でも、治癒ポーションってすごく高価ですよ?一流の薬師しか調合できないと聞きました」


「多分それは材料を知らない事と材料を知っていても入手する手段がないからじゃないかな?でも君には分析という強い味方がある。群生地域の特定も容易だし獣や魔物の心配もいらないでしょ?調合に関しても君の能力を使えば簡単じゃないかな?」


「そうでしたね!まだ自分の可能性について考えが及ばないところがあるので指摘してもらって助かります。わかりました。ユキノさんと一緒に採集してポーション調合も覚えてもらいます」


採集と調合をユキノにお願いすることで何らかしら才の成長に影響が出てくることを期待して翌日ユキノに説明することになった。


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