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第一話

思い立ったたらすぐ行動したくなるので、書き始めました。フラグ回収を目的として「アクティブアフタースクールレコード」より前のお話になります。それが一番都合良かったので。^w^

 転勤族な父を持ったおかげでこれまで数々の学校を回ってきた、仲良くなってもすぐにお別れ。いつしか親しい友達を作ることを自分でも気づかぬうちに恐れ、諦めていたのかもしれない。


高校生となり再び新天地。今度は、今度こそは――


自分のことを知らない人達しかいない所で新しい自分で生活する、これはアレだ、アレ。そう、高校デビューってヤツだ。


――大通り沿いガラス張りのオシャレなお店。


「先日注文した伊達ですけど。」

白を基調として明るくキレイな店内、色々なメガネフレームのサンプルが透明なガラス台の上に並んでいる。店員もキッチリとしたスーツで眼鏡が似合う綺麗なお姉さんで対応もいい。この街で最初に見つけた眼鏡屋で新生活に向けて眼鏡を新調した。正確には他のお店を探す時間がなかったのでこの店を選んだだけ、なのだけど。


「はい、伊達様、伊達基紀様ですね」

店員のお姉さんが店の奥から出してきた楕円形の白いメガネケース。お姉さんの手によってケースが開かれると、黒いリムでスクウェア型の真新しい眼鏡が姿を見せた。


「見え方に問題ありませんか? 遠くがぼやけたりなどの不具合はございませんか?」

遠くに見えるポスターや店の外の景色等店内を見回し、問題がないことを確認する。


「はい、大丈夫です」

視界がクリアで気持ちもクリアです!! なんてことは口には出さない。すごく恥ずかしいから。


「しばらくお使いになってどこか気になることがあればお気軽にご相談ください。」

うむ、とても気持ちのいい店だ。何かあれば寄らしてもらうよ、お姉さん綺麗だし!勿論ここも口には出さない。


 眼鏡も気持ちも新調した、行くぞ! 高校デビュー。


 本当は不安で一杯だけど、気持ちだけでも奮い立たせてないとね。大丈夫、今回は秘策があるんだ。きっとうまくいく! ......はず、だよね?



 ――桜の花びらが舞う通学路を多くの生徒たちが歩いていく。

 自分以外にも新しい制服に身を包む人達が沢山歩いている中、自分だけが浮いているように感じてしまう。そんなものは気のせいだ、そう思うようにしよう。


 私立巳那月学園、この地域では有名な学校らしい。地元民ではない自分にはその知名度の凄さはよくわからないけど、偏差値が高いってことだけは試験を受けて思い知った。

 

ここが僕の新しい学び舎だ。


 校舎の広さもそうだがとても大きい学校だな、と思ったのは、靴を履き変えて下駄箱を抜けると大きなホワイトボードがあり、隅の方に大多数のクラブの名前が書かれたマグネットが備えてあったからだ。今日は入学式の為、新入生案内の張り紙がされているがその裏には学校見取り図らしきものが見える。これをそのまま案内図に利用すればいいのでは? とか思ったことは伏せておく。別に、口に出したわけでもないので誰かに聞かれたってことではないのだけど。入学式が行われた体育館の大きさも驚いたがそれより気になったのは学園長が若い?いや若く見える、女性だったことだ。

 学園長は笑顔が絶えない綺麗な女性でした、ただ年齢不詳な人ではある。あれが美魔女とかいうものであろうか?

 今、やや緊張の面持ちで一緒に並んでいるのが、これから一緒に過ごしていくAクラスの人達。まだ名前も知らないが同じクラスとして集めらていることがちょっとした一体感が出て仲間意識が出てくる、そう思っているのは友達のいない僕だけかもしれないけど......。


 入学式が終わり教室に入れば担任の先生の挨拶があり、生徒達の自己紹介タイム! となる。

――ここが勝負どころだ、この日の為に考えてきた渾身のギャグで僕はクラスの人気者に! なる予定だ。

 

 先生の指示で窓側の席より一人づつ自己紹介が始まる。僕が座っているのは真ん中の列の中程、一番注目を集めやすい中心なのだ、これをラッキーと言わずして何と言う! 自分の番が近づくにつれ緊張感が増していく。噛まないように、恥ずかしがらないで大きくハッキリ、それだけ、それだけだ。

 自分の前の人の自己紹介が終わり、自分の番が来た。


「だ、伊達基紀です、父親の仕事の都合で学校を転々としていてこの地域に来たのは初めてです。よろしくお願いします」

ここで終われば普通の人、外から来た普通なメガネ君で終わってしまう。それが嫌だから無理してでもクラスのお笑い担当になる覚悟できたんだ、言うぞ! 咳払いを入れてまだ終わってないアピールをする。僕の明るい学校生活はすぐそこだ!


 「初めに言っておく! 名前は伊達だが、俺のメガネは伊達じゃない!!!」


 決まった、これでクラス内が爆笑の嵐、僕は晴れて人気者の地位を確立するのだ! ............アレ? なんだこの静けさは? 皆いいんだよ、思いっきり笑ってくれて――

皆の表情は見えなかったが、先生の少し驚いた表情は見えた。


 ............ああああ、超スベったーーーーーーーーー!!!!!!!


 現状況に耐え切れずその場で崩れ落ちた、恥ずかしさのあまり顔を上げることができなかった。お笑い担当でクラスの人気者になるはずだったのに、これでは『おかしい人』ではなく『おかしな人』認定間違いなしじゃないか!

 教室内が沈黙に包まれ、僕はとても泣きたくなる。その時、沈黙に耐えかねたのか僕の渾身のギャクが面白かったのかは定かではないが、必死で笑いを堪えている様な、くすくすとした笑いの声が聞こえた。

声のする方に顔を向け覗き見ると声の主は僕の席から窓側に女子を一人挟んで座る男子だった。

 

 クラス全員の自己紹介が『自分以外は』無事に済み先生が教室を出て行くと、真っ先に僕の元にやってきたのはやはり先程笑っていた彼だった。


 「伊達くん、良かったよーさっきの自己紹介、それでアレはギャグ? それとも天然?」

まだ少し笑いを堪えた感じでニヤニヤしながら近づいてきた彼。その彼の後に続いて横から顔を出したのは小柄な少女と優しそうな雰囲気の男子。

 「やめなさい、シンタロウ。ごめんね、伊達君」

小柄な少女は椅子に座る自分より背が低く、上目遣いで話しかけてきた。......か、可愛いい! 自分の顔が赤くなっているんじゃないかと焦った。

 

「まずは自己紹介でしょ!ほら、シンタロウから」

少女に促され自己紹介が始まる

「俺は新谷真太朗、そんでこのちんちくりんが深山実花、それとあっちのが須藤浩平。」

自分のだけでなくついでに二人の分も紹介をしていまい、彼女から文句を言われている。仲裁にもう一人の彼が入り、二人をなだめながらこちらにも謝っている。

 

 大きい新谷君と小さい深山さんが言い争って、真ん中に須藤君が入って仲裁する。これが彼らのトリオ芸人みたいな立ち位置なんだとすぐに理解した、同時に三人とても仲がいいことも。


――ああ、彼女の紹介は彼女自身から聞きたかったな

とか思っていると先ほどの話の続きをせがまれた。


「そんでそんで?」

もう深山さんの静止は聞かないようだ。


「いや、その、さっきのはなんていうか、渾身のギャグみたいなもので。自己紹介で笑いが取れれば人気者になって友達できるかな? って感じでして――」

再びやって来る恥ずかしさで、最後の方はしどろもどろになってしまった。


「面白いな奴だな伊達ちゃん、イイ!」

「え、伊達ちゃん?」

新谷君に早くもアダ名を付けられてしまい困惑してしまう。


「あのギャクはともかく、友達にはなれるんじゃないかな? というかシンタロウが巻き込む気マンマンなんだと思うし」

深山さんの言葉に、隣でにこやかに頷いている須藤君。


凄いよ! こんなに早く友達が出来るなんて僕史上初だよ!


「それじゃあ、私とコウちゃ、じゃなくて須藤君の事は名前で呼んでね。ミカとコウヘイだよ。あと、こいつはシンヤでいいから」

深山さんは新谷君を指差しながらそう告げた。


「シンヤ?」

「苗字の新谷を読み易くした感じ、昔からのアダ名なの。」

またそれ浸透させるのかよー。文句はあるようだが拒否ではないようだ。


 「ミカさんにコウヘイ君、それでシンヤ君? でいいの?」

 「私のことはミカちゃん、がいいな~。私も伊達ちゃんって呼ぶから。」

 そうゆうこと自分で言うなよ、マジ引くわー。シンヤ君の非道な物言いに、うるさい! とミカちゃんの華奢で可愛い手がシンヤ君の脇腹を捉え、再び喧嘩になる。コウヘイ君が間に入る......僕はどの位置に入ればいいんだろう? 初めての体験に僕の胸が高鳴った。


 そうだそうだ、シンヤ君がミカちゃんの攻撃を受け止めながら話題を振ってきた。


「伊達ちゃん、入るクラブ決めてないなら『推理小説研究会』に入らない?」


友達からの初めてお誘い。僕は心の底から、嬉しかった。




最初は伊達くんの渾身のギャグだけで考えてあって、どこかで使おうって思いが上手いことここに繋がることができました。ここでの内容を含めることで本編にも多少影響が出る気がしてます。これからは行ったり来たりするんで本編もよろしくお願いします。

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