「チャーシューメン」
謎の男タっちゃんの正体とは・・
戯曲「チャーシューメン」作:稲葉 健
第一章
フリーター「店長!チャーシュー追加ね!」
店長「あいよ!」
タっちゃん「どう?いい仕事みつかった?」
フリーター「ぜんっぜんダメ。家でもずっとラーメン。」
タっちゃん「そっか。ところでガタイいいね。実はいい仕事あんだけど。」
フリーター「あんまキツいのはちょっと・・・」
タっちゃん「ううん。楽な仕事。みんな楽しんでやってるよ。」
フリーター「えー怪しいなあ。タっちゃんって何してる人なんすか?」
タっちゃん「フリーターみたいなもんかなあ。」
フリーター「俺と同じかよ。頼りにならねえなあ。」
店長「なーに。男は肩書きじゃねえ。ハートだよ。ほいタっちゃん。チャーシューおまけ。」
バイト「遅れてすいやせーん!」
店長「また遅刻かよ。いいからとっとと注文とりな!」
バイト「はい!すいやせん!あっタっちゃん来てたんだ。」
タっちゃん「おう。水くれよバイトウ。」
バイト「斉藤です。そろそろ覚えてくださいよ。」
ガラガラガラ(店のドアが開く音)
第二章
店長・バイト「へいらっしゃい!」
フリーター「あっ。やべっ。店長、裏口開けといて!」
ヤクザ「裏口も押さえたよバカヤロウ。探したぞ山田ぁ!借金耳そろえて返してもらおうか!それともホントにその耳渡すかぁ!?」
バイト「すっ・・・すみません・・・他のお客様の迷惑になりますので・・・」
ヤクザ「迷惑だあ!?すっこんでろ!」
店長「バイトウ、やめとけ。」
ヤクザ「うまそうなの食ってんじゃねえか。俺にも分けてくれよお山田。やーまーだー。」
早くお金返してくんないとこっちも大変なんだよ?わかってくれるかなあやーまーだー!
ナルトもらい。」
フリーター「あっ」
ヤクザ「なに?」
フリーター「いえ・・・」
タっちゃん「オレのナルトやるよ山田」
ヤクザ「・・・・なんだテメーはあ?」
タっちゃん「山田とはこの店の常連仲間です。」
ヤクザ「他人じゃねーか!痛い目みてーのかコラ!借金の肩代わりしてくれんのかコラ!」
バイト「やっぱやばいっすよ店長!警察呼びましょうよ!」
店長「まあ見とけ。タっちゃんはすげえ人なんだ。」
ヤクザ「ケッ。山田ぁ!金も返さねーでチャーシューメンなんか食ってんじゃねえよ!ラーメンにしとけラーメンに!」
フリーター「あっオレのチャーシュー!」
ヤクザ「ナニ?そういうのは金返してから言えよ!やーまーだー!」
タっちゃん「俺のチャーシューやるよ山田.」
フリーター「あっ、ありがとう・・・」
ヤクザ「おい!お前さっきからなんなんだ!?」
店長「チャーシュー追加お待ち」
ヤクザ「てめえ!ナメてんのかこらああああ!」(店長につかみかかる。)
タっちゃん「おい!そこまでだ!」
ヤクザ「うるせえええ!!」タっちゃんを殴る。
バイト「うわあああ警察だ警察!」(電話を掛ける。)
ガララララッ
第三章
店にヤクザが大量に雪崩込んでくる。
バイト(受話器を落として)「わああああっ。違うんです!電話してません!警察なんて!まだ呼んでませんから!僕アルバイトぉおお!関係ないですから!」
ヤクザ(入り口のヤクザたちに向かって)「なんだテメーらはあああ!」
バイト「ええええええっ。ヤクザの仲間じゃないの!?」
ヤクザ集団の中から一人の男が出てくる。
若頭「おい!その手を離せ!その人が誰かわかってんのかチンピラ!」
タっちゃん「よせバンドウ」
若頭「すいやせんぼっちゃん。もっと早く踏み込むべきでした。」
ヤクザ「坊ちゃんだあ・・・?あっ・・・ここれは・・・とんだ失礼をっ・・・」
若頭「もうおせーよ。沈むか埋まるか溶けるか。三択だ!連れてけ!」
バイト「どゆこと?」
店長「タっちゃんは組の三代目なんだよ。この店もシマだ。」
タっちゃん「若頭ぁ。プライベートは尊重しろっつってんだろ。なんで尾けてきてんだよ。」
若頭「すいやせん。この始末はキッチリつけやすんで。」
タっちゃん「んなのいーよ。こんくらいで。それよりチャーシューメン食ってけよ。すんげーマズいけど。」
終り。
演劇ワークブックで始めて作ってみました。感想などありましたらお願いします。