6失う怖さ
今、私は怖かった。
それは今まで感じたことのないものだった。
ただこの人がいなくなると思うと無性に恐怖を感じた。
私はこれから先何をして生きていけばいいのだろうか。この人はこんなにも優しくて、かっこよくて、こんな私に2回も命を張ってくれた。
「ねぇ…どこにもいかないでよ…」
彼は返事をしない。まだ心臓は動いているが、この冷たい海の中、大量の出血をしているためいついなくなってしまうのかわからない状況だ。
近くには島も無くただ大海原が広がっていた。
ダメだ私はいつも誰も守れない。
傷つけることしか私にはできないのかもしれない。
でも、そんな私を彼は諦めずに救ってくれた。ここで諦めてどうするの私。好きな人のために何かしなくちゃ。動け、私の身体
自分の服を破いて傷口を少しでも塞ぎ時間を稼いだ。服にはすぐには血が滲み、出血は止まることを知らない。でも今できることはそれだけしかなかった。かろうじて体温のは低下は海が温暖なためあってか免れたが、それでも救助が来るのはまだかかるだろう…どれだけ持つのかわからなかった。
数時間が経ち彼女の力もそろそろ限界を迎えていた。薬のせいなのか手の感覚があまりなく、道久を海の上で支えておくのも一苦労であった。
「これで最期かな…結局何も出来なかった。
私は最低だ…これも今までの罰があたったからか……」
私は彼の顔を見た。
「最期のお別れだから一つお願いごと聞いて?って聞こえていないか…
私ね、もう一回感謝したい…大切にしてくれてありがとう。こんな私だけどありがとう。もう君がいないと無理そうだ。そんな君ともう会えないなんて…なんて…いやだよ…そんなの」力が抜け始め頭に血が回らなくなってきて瞼が落ちそうになったとき、
私は救助されたところで記憶を失った。
運命なのか、実力なのか定かではないが最強の助っ人が来てくれたらしい。マナはまだ知らなかったがモーターボートで豪快な波をたたせてやってきたのはGIA副司令官そして道久の師匠である
小野江 絵里であった。
意識を失いかけていたマナと道久を海から引っ張り出し、すぐさま方向転換して陸へと向かった。
「こちら絵里、エージェント2名を救出した。現在、陸に向かって全速前進中、」
「おい、お前の息子だろ、そこのところもう少し面倒見とけよ、愛弟子は致命症ではないが出血何多すぎてまじでやばいぞ」
「すまない、わたしの管理不足だ、迷惑をかけた」通信機越しには冷淡な声が聞こえた。
「まぁ、いいけどさ、親としての自覚は持てよ」
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俺が目覚めたとき、いつもとは違う天上の壁があった。
俺は起きあがろうとするが、
痛って…急に身体に激痛がはしりまた元の体勢に戻った。
今回ばかりは流石の俺でも動けそうのないぐらい重症だ。ひとまず安静にしてるか…
「あ、、」足元になにか違和感を感じたと思ったらそこにはマナが俺の足を枕がわりにして眠っていた。顔には涙の跡がついており、手は俺の服をしっかり握っていた。
どうやらずっと見ていてくれたらしい。後で目が覚めたとき感謝しとかなければならない。
スマホの日にちを見ると、事件から2日後の正午であった。俺は一旦落ち着くためにもう一度ベットに横になった。一応、学長には目が覚めたことを伝えるべきかと思ってスマホを開いた。俺のことを心配していてくれたのか、すぐに電話は繋がった。
「道久君大丈夫なのか、本当にすまなかった。私の責任だ。有栖川の元組織が企んだワナだとも知らず申し訳ない。」
やはりエドワードはマナの元組織幹部であったらしい。取り逃がしたのは惜しかったがそんな状況ではなかったのでただ悔しいばかりだった。
「それはお互い様です学長。こちらも気づくべきだった。
それでマナは大丈夫なんですか?今目の前にいますが」
「ああ、検査の結果、後遺症もなく精神も安定しているとこちらは判断したので今は自由にさせている。それと君ほど重症じゃないからね。」
「それは良かったです。」
「これからのことだが、また狙われる可能性があるから気をつけること、なんなら任務の時は骨格ごと変装させてもよい。それぐらい気をつけるつけてくれ。
それとたまには学園生活でも楽しんでくれよ。」
確かにまたいつ狙われるかわからない。
「わかりました、できる限りのことは尽くしますので気をつけます。」
「まぁ、まずは身体を治せ。ああ、それと副司令官には感謝しとけよ。助けてもらったんだしな」
副司令官。師匠が助けにくれたのか。それは後で感謝しなければと思いつつ、
ひとまず学長の電話を切ってまだ寝ているマナの顔を見た。
師匠にも感謝だけど、マナにも感謝しなければならないな。あのとき元に戻るかは賭けであったし、マナが信頼していてくれたからうまくいったのかもしれない。
俺はマナの頭を下げて撫でた。
それでも彼女は疲れているのかぐっすり眠っていた。
「オッス、お邪魔しまーす、って愛弟子‼︎
なんで女の子の頭なんて撫でているんだ。そんなことで喜ぶ女子なんて漫画のなかだけだぞ、相変わらず女心がわからないやつ。」
急に病室に入ってきたのは、師匠であり、副司令官であり、理央のお姉さんである小野江 絵里だった。彼女は大量のの菓子パンを抱えていた。
「しかも理央という完璧な私の妹がおりながら浮気とは、やるようになったな。まぁでも今、理央がいなくてよかった。あんな激重、見たら私の晩ご飯がなくなってしまう。」
なんかよくわからなかったが久しぶりに師匠に会えて嬉しかった。
「今回から初ありがとうございます。俺の不注意で迷惑かけて…」
「甘ったれるな。愛弟子。一人でなんでもできる人間なんているわけないだろーが、
でも、あんまり頼られても困る。
こっちだってさっきまで海外で仕事してしてたのに急に呼ばれてさ。大変だったよ海渡るの。
そんなことより食うか?おいし〜ぞ、このパン」
相変わらずの熱があって癖はあるが良い人には間違いない。
おれはありがたく、菓子パンをもらった。
「ところでそこの女何例のアレか、」彼女パンパンを頬張りながら聞いてきた。
「はい、」
「マジか…よくここまで変わったな。前に戦闘で会った時とは大違いだったぞ、?
あんな殺意の目を殺せるんだな。
しかも、
駆けつけた時にはお前のことをよく守ろうとしていた。」
「師匠、彼女はもう今までとはちがう。だから仲間として認めてあげてほしい
俺も助けられて感謝している。」
「ふーん、まぁいいんじゃない?
はじめから反対してるわけではないし。
でも、あんまり加担しすぎて理央ちゃんのことを捨てたりしたら許さないけど」
師匠的にマナのことをどう思っていたか気になっていたので、少し安心した。
そして、
相変わらずのシスコン発言派軽く受け流しておいた。師匠は過度のシスコンで理央のことを一番に思っている。それは仕方ない理由があって唯一の親族が妹しかいないからだ。
「はいはい、理央には感謝してますよ、でもオレには理央は釣り合いませんよ。師匠よかったですねいい妹で。リオだって好きな人何できるかもしれないし、自分で生きていけるようには一人で頑張りますよ」
第一に理央もこんな男とはずっとはいたくないだろう、いつか彼氏ができるかもしれないし、もう好きな人がいるかもしれない。
「流石の鈍男、変わらないねー。まぁ私のところに妹がずっといてくれる方が助かるんだけど…」
師匠は相変わらずたまによくわからないことを言う
「おっと、お前の親父から連絡だ、またな愛弟子。死ぬなよ」
来た時と同じように嵐のように彼女は病室を去っていった。相変わらずだな師匠は…
彼女が去った後タイミング悪くマナの目が覚めた。
「マナ、2日ぶりのおはよう」
「道久〜ぁぁぁ…
死んだかと思ったぁぁぁ〜、グスッ…グスッ…」
よっぽど心配していてくれたらしい、彼女は顔を真っ赤にして泣きついてきた。
「もう、…また会えてよかった。
ほんとごめん、私の不注意で…もう絶対にあんなことにはならないようにするから…
だから…私を捨てないで…」
二回もあんなことが起きたからか自分が怒っていると思ったらしい
「捨てないよ、マナとのパートナーはやめないよ、安心して」
「ありがとう、こんな私に…
あ、そうだった、泣いちゃだめなんだった…」
それから彼女は満面の笑みを見せてきた。
「道久は私の笑顔がいいんでしょ。はい、感謝の笑顔、にぃ〜」
俺はそんな彼女に思わず笑ってしまった。
「なんだよそれ。笑顔何いいと言ったけどもっと自然でいいんだよ。
でもありがとうマナ、
おかげでも笑えたよ」
彼女はどいたしましてと言わんばかりの笑顔ヲ見せた。そんな彼女に俺は少しばかり可愛いとの思ってしまった。




