11体育祭、って青春だよね。
待ちに待った?
いつのまにか当日になっていた体育祭。
俺は自席でみんなを眺めてるだけ。
何もできない。動こうとしたら全身の怪我が痛んで涙出そう。
俺だって高校の体育祭楽しみたいのに…。
学長にワークANDスクールのバランス考えて欲しい。
そんなことを考えていると、生徒会の宣誓式が始まった。
「私たちはこの体育祭を盛り上げ、誠心誠意頑張ります。
みんな盛り上がっていくぞー」
おーー、
生徒会員の大輝が場を盛り上げた。
あいつは顔はいいからな
(裏の顔の、全てを知っているような情報網だけは怖いけど)
こういう場で顔として出ることが多い。
「続きまして、生徒会長からの一言です。」
生徒会長?そんなのいたんだ。別に知らなかったわけではない。
実際には学校にほとんど顔を出していないというだけだ。この学校では生徒会長は学校の推薦で決まる。
それはそれで生徒のための生徒会としてどうかと思うかもしれないが、機密性の高いこの学校では仕方ない。
生徒会そのものがGIAと関連しているため、何も知らない生徒には任せられない。
なので大輝のように生徒会に入る奴はGIAの関係者ということ。
なので生徒会長もGIA関連なのは間違いないが俺は一度もあったことがないし、新しく決まってから生徒会長何姿を表すことも一度もなかった。
他の生徒にはとっても生徒会長を見るのは初めてなのでみんなが注目した。
そしてそこに現れたのは目はなにも見えないほど濃いサングラスにマスクをして、前髪は元から長いのか、顔が一切見えない芸能人のお忍び姿かよって思うぐらいの重装備をした女子生徒だった。
身長はやや高めですらっとしており、その、なんて言うか、体つきは良い方であった。
「あ、あ〜あ、マイクテスト良好。
みなさん、こんにちは。現生徒会長をやっています。みなさんと顔を合わすのは初めてかもしれませんが以後よろしくお願いします。」
なぜか名前は言わなかった。
言えない理由があるのかもしれない。
「今回の体育祭ではみんなが楽しめるものにしていくために、新しい企画とか盛りだくさんですやっていきますので、たのしんでいきましょう。
私からは以上です。
後の進行は放送していきますので聞き逃し何ないようにはしてください。」
一名楽しめない人がここにいるがそれは置いといて、初めての生徒会長の印象は真面目そうで生徒会長ってだけある貫禄はありつつ、喋りやすさもありそうないい人だった。
名前は言わなかったのでわからないままだったし。GIAの誰かはわからなかった。
「理央、
生徒会長のこと知ってた?」
「あ〜、まぁ少しは…
思ってた通り、真面目そうな人で頼りになりそう。
とっても美人で芸能界からスカウトされたりしたこともあるらしいよ。」
確かにあの体型に顔が良ければモデル級なのは間違いない。
GIA関連の人ならあったことあるはずなんだけど…何も思い浮かばない。
でも、あの声はどこかで聞いたことあるような、
昔によく聞いていたような気がした。
「で、みっちゃん。
その怪我は何?朝から気になっていたんだけど…」
「これは…」最近言い訳しすぎてもうレパートリーが尽きていた。
「理央ちゃん。四宮君は車に轢かれそうな私を助けてくれて、それで…」
マナが申し訳なそうな表情を浮かべながらこちらに来てフォローしてくれた。
「そうなんだ…
みっちゃんが守ったんだ。」
マナは一瞬表情が暗くなったが、それからすぐ顔をあげて
「流石私の幼馴染、やる〜、マナちゃんは大丈夫だったん?」
「ええ、わたしはそこまで怪我は、。」
マナのフォローによりここは難なく言い訳できた。感謝しとこう。
ー
午前の部が終わりお昼を迎える。
俺は怪我でこの有様なのでもちろん朝から弁当なんて作っていない。仕方なく体育祭限定でやっている購買です何か買いに行こうとしたら、理央に呼び止められた。
「みっちゃん何やってんのよ。
この私がみっちゃんの弁当を作っていないとでも。」
そういうと重箱を取り出して普通の高校生では作れないクオリティの弁当が出てきた。
これには周りの生徒も思わず驚愕していた。
横にいたマナは理央の料理の腕がまた上がっていることに、なぜかハラハラ。
「理央、あんたどこまで好きやねん。」
玲奈の結奈も出来すぎた親友にツッコミを入れてしまった。
「そ、そんなことないから、これはその、あの〜、自分の分を作りすぎてしまってみっちゃんに仕方なくあげることにしたものだから。
弁当はほら、お腹空いてるみっちゃんが可愛そうではしかたなくってってやつで…」
「理央、助かったよ。ありがとう。これで怪我も早く治りそう。」
「どいたしまして…」
「理央はダメだな。恥ずかしがっていたら。」
「でも鈍感なアイツも同じじゃない玲奈?」
「そうだね」
二人は本音が言えない親友のその親友が好きな鈍感男を見守った。
マナは自分の簡素な弁当を食べながら
「料理できる子の方が好きなのかな…」
と悩んでいた。
その後俺は主に男子からなぜか
羨ましそうな目、殺気だった視線を向けらていた。
また道久は気づかなかったが他に誰の視線があった。
ここで放送がなった。
ークラス対抗リレーの選手は準備をしてください、ー
「マナちゃんいくよ、
はい、みっちゃんは大人しく安静にしておくこと。ご飯は全部食べていいから…
じゃあ行ってくるね」
いってらっしゃい、と二人を見送った。
本当は俺も出場するはずだったのにな…
今回は俺の代わり別の人に入ってもらった。
「よし、マナちゃん。アンカーは任せたよ。
私は最初に走って周りとの差を突き放すから。後はお願い。」
「理央ちゃん任せて、勉強教えてもらった分頑張るから」
「それは頼もしい…、
隣のクラスのアンカーは…会長さんか、
あんまりスポーツしてるっていう感じじゃないし。他のクラスもあんまりパッとしないね、
マナちゃんなら大丈夫。期待してるから。」
わたしもなんだかいけそうな気がして来た。
そして合図とともに理央が走り出す。
作戦通りに一周目は理央が無双しまくり、圧倒的な差をつけた。そして第二、第三走者とともに順調に進んだ。
そしてやって来た私の番。
遠くで見ていた道久でもわかるぐらい、完璧なスタート、これには勝ちを確信した。
が、遅れてスタートした9組のアンカー、
生徒会長がバトンを受け取りスタートしたと思ったら、
次にはマナの横に並んでいた。
一瞬の出来事に俺含め、生徒は唖然とした。
何か事情を知ってそうな大輝だけは、
まぁそりゃそうだよね
って顔して頷いていた。
会長はマナと大差をつけてゴールした。
ゴールテープを切った際にこちら側を見てピースしているような気がした。
ゴール後はもう大盛り上がり。
9組は歓声でいっぱい。他のクラスも驚きの光景に歓声が上がった。
マナはかなりガッカリしていたが、素直に会長を称賛していた。
そしたら会長がこっちに来て
「有栖川さんでしたっけ、転校生の。すみません、隠してて、実は少しスポーツには自信があるんですよ。」
「いえいえ、そんなこと謝らなくても。でも私も自信あったんで少し残念ですが。
あと、せっかく見ててくれる人がいたのに、活躍できなくて、」
「それは、ごめんなさい。
でもこっちも見せたい人がいたのでお互い様ってわけで。
貴方と勝負したかったんですよ。
どうしても貴方に勝たないといけなかったから」
マナはキョトン?とした顔。
私と勝負したかった理由に心あたりがなかった。
会長とは別れ、活躍を見せたかった人の元に向かった。
「道久。ごめん勝ってる姿見せたかったのに…。
あーあもう、会長さえいなければ〜」
悔しかったので彼に思いっきり愚痴った。
他の人には見られてないことを確認して。
私のイメージキャラは冷静、沈着な清楚系ですカッコいい女性。
会長さんはまさにそんな感じがして少し憧れた。
「頑張ったならそれでいいんじゃない?
まだ会長に勝つチャンスはあるんだし。」
「まぁ、それは…そうだけど。
よし、次の借り物競争で、会長に勝つ‼︎」
借り物競争です勝ってもそれはどうなんだ。と思ったけど今は勝てればいい。
「あ。生徒会は運営にまわるから借り物競争は出ないんじゃない?」
「そんな〜、勝ちたかったのに…」
「まぁ、また今度リベンジだな」
得意な事ってこともありマナは勝負に勝ちたかったみたいだった。
「てか、借り物競争って何?」
「そこからかよ。それで勝つつもりだったのか」
「別に、どうせ体育祭の事だから身体能力使う系なんでしょ。
なら問題ないわよ。」
「まぁ、身体能力は大事だけど、見つけるのが…後お題によるかな。」
「お題?そんなのあるの。」
「お題に合ったものを人から借りてそれを持って一番にゴールすれば」いいんだよ。」
「へー、よし。わかった。なんかいけそう。」
マナは準備もあるため行ってしまった。
後はお題を考える人の性格だけど、
大輝ってところが問題でしかない。
理央特製の重箱弁当を食べ終わり、
一人でさみしくしていると声をかけられた。
それはあの会長だった。
「あのー、今お時間ありますでしょうか?」
あまりにも突然すぎて驚いた。面識なんて一度もないのに。
「時間はありますよ。今怪我していてそれで出れてないだけですけど。」
「ならちょっと私ときてほしいんだけどダメかな?
、アナウンスするための外のスピーカーが壊れてしまって、直接放送室からアナウンスしようと思ってるんだけど、私機械音痴でよくわからなくて。
今私のクラス、応援でいないのでなのでかわりにきてもらえないでしょうか。」
突然の頼みだったが、アナウンスするために機器をいじるぐらいならできそうだし、別にそこまで動けないわけではない。断る理由もなかったので着いて行こうとした。
そしたら、
女性のメガネをかけた先生らしき人が割り込んできて
「あ、会長。先生に任せなさいよ。四宮君はこたの通り怪我人なんだから。ほら、行くよ」
「え、あ、あのちょっと、私はひさくんと…」
なんかよくわからないが俺の出番は無さそうだったので先生に任せた。
会長はなんだか不服そうだったが。
また席に腰を下ろした途端、ポケットの通信機に連絡が入った。
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マナはスタート地点に来ていた。後から理央も来た。
「マナちゃんは借り物競争したことあるの?」
「初めてかな。あんまり機会が無くて…」
「そうだよね。今どきあんまりするところなんてないもんね。わたしも去年が初めてで2回目。
結構楽しいから気合い入ってる。
問題はお題を作ったのがあの性格最悪イケメンってだけ。
ろくなものが無さそう。心配だわ〜」
「へ〜…そうなんですね…」
私はそんなに心配してなかったが確かにお題が変なのだったら面倒くさい。
今日朝にGADIVAの味噌汁飲んで来た人とかお題だったらそんなやついるのかよ、ってツッコンでしまいそうだ。
まぁそんなことはないだろうと思ってスタート位置に着いた。
「みなさん。準備はいいですか?スタートと同時にお題を開いてくださいね。
それではよーい。ドン」
私は思いっきり髪を開きお題を見た。
そこには持って来れなくはないが、ここでそれをさせるのは製作者の悪巧みな意図が感じられた。
「"好きな異性"」
マナはもう決まっていたが、まだ付き合っていない異性を連れてくるなんて告白してるようなもので、恥ずかしさでその場で止まってしまった。
その時理央も同じ内容の課題に苦戦していた。
(ムリムリムリムリ〜、今ここでみっちゃんを連れて一緒にゴールって、もう告白じゃん。
私の気持ちバレちゃうよー。
あー、もうひとまず電話してみっちゃんを呼んで…
あれ、出ない。てか出てもなんて言えば、、、
あの男やっぱり性格最悪だった。
普通はタイミング考えるよね。)
そんなことを考えてたら電話に着信何あった。慌てて見てみるとそれは道久からのものではなかったが、電話に出た。
「ーおっとスタートして直後10組の二人が完全に沈黙。他のチームの差がついていく。ーいったいどんなお題なんだ〜?」
会長の、実況が付け加えられた。
マナは悩んでいた。
(どうすれば…)
理央は電話の後どこかに行ってしまった。
(もうお題を見つけたのかな。)
じっとしていても何も始まらない。道久のに元に駆け出そうとしたら通信機から連絡が来た。
「マナ?聞こえるか。」
「うん、聞こえるよ。道久、今すぐこっちに来て…」
「うん?ごめんそっちがきてくれない。
さっき本部から連絡が入った。
護送中のエドワードが脱走したらしい。
ここから近い。今すぐ向かうぞ。
俺は脚が怪我で無理だから、先に行っててくれ。」
「状況はわかった。でも道久は私が連れていくから」
マナはすぐに俺のところに来た。
「このまま抱っこするから私につかまってて
持ってるSRで狙撃してて、反動は耐えるから。」
マナは俺をお姫様抱っこして走り出した。
少し恥ずかしさがあったが今は集中した。
エドワードが逃げたという護送車は炎上していた。奴の姿はもうない。
「一足遅かったか、マナ!」
「わかってるって。足を引きずった跡があるから爆発で怪我してる。
そんなに遠くは行ってないはず。」
探す方法は現状、目視で見るしかない。
「あ、あーあ。マイクテスト良好。情報共有。北北西に204メートルに目標らしきもの発見した。」
突然独り言のように入った通信。
でも今はそれを信じてその場に向かう。
確かに奴はいた。
エドワードは護衛兵から奪ったライフルで応戦する。
こっちは一発しか撃てないし、マナの得意な近距離戦にするのも中々難しそう。
一度距離をとってスナイパーの有効射程距離内から腕を狙撃。
奴は痛みに苦しんでいたが、難なくと逃げ出す。「私はまだ主人様に会えていない…ここで死ぬわけには…」
エドワードは何かのスイッチを押した。
あたり一面は眩く光に包まれて視界が失われる。
そこにはもう、エドワードはいなかった。
「クソ、
こちら道久、エドワードを逃した。
至急、捜索のために増援を頼む。」
「こっちでもレーダー反応なし。ステルスされたかも」さっきエドワードの居場所を示してくれた声も今度はお手上げらしい。
時間が経ち、夕暮れになる。
その日エドワードは見つからなかった。
逃げる範囲はさほど広くないのに見つからない。
ひとまずこれ以上は捜索できそうにないので
ずっと抱っこしてもらっていたので申し訳なくてそろそろマナに降ろして貰おうと頼むが、
「しばらくそのままでいいよ。このまま学校まで運ぶから。」
それはそれで恥ずかしくて死にそうなんだが。
「マナ、ごめんな。競技の途中で。」
「ううん、今お題やってるから大丈夫。」
もうとっくに時間切れだと思うが、お題のものは見つかったらしい。
「お題ってなんだったんだ?」興味本位でで聞いてみたら
「内緒。」とどうしても言ってくれなかった。
学校についたらもう体育祭は後片付けをしている頃でとっくに終わっていた。
「ねえ、道久。ゴールだけしていい?」
借り物競走のゴールはあそこにあるゴールテープを切ればいいんだが、もう最下位確定なのにマナはゴールはしたいみたい。
そして二人でゴールした。
「ふう、流石に疲れた。」
ここでやっとマナは降ろしてくれた。
「ごめんな、無理矢理、動けない俺を任務に連れ出すために」
「うん、まぁいいよ。どうせ借りる必要あったし。」
何か俺に借りたいものがあったのかは謎だった。
スマホを確認してすると理央から電話の着信履歴があった。
お昼にもらった弁当もまだ返せてないし、いますどこにいるのか聞きたかったのもあるし、何より突然かかってきた電話だ。
何かあったら心配だし、一応かけてみたが、数十秒後、理央は電話に出なかった。