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第4話「災厄の序章」

 夜半、ルーネル村は月明かりに照らされ、

深い静寂に包まれていた。

 家々から漏れる灯はすでに消え、遠くからは

虫の声と川のせせらぎが聞こえるばかり。

 しかし、その平穏は、音もなく侵入した

異物によって密かに侵されつつあった。


 森の奥――魔力泉。

 ノクス・オーダーの二人組は、泉の周囲に

黒光りする水晶を設置していた。

 水晶は拳ほどの大きさで、表面には

禍々しい紋様が刻まれている。

「これで最後だ」

「……本当にこれで魔力が吸い取れるのか?」

「知らなくていい。俺たちの役目は、指示通り

水晶を置き、起動させることだ」


 最後の水晶が設置されると、泉の水面が

淡い蒼光を放ち、やがて黒い光の筋が

水晶へと吸い込まれていった。

 水晶は低く脈動し、その魔力をどこか遠く――

アジトへと転送し始める。

「よし……計画通りだ。あとは痕跡を消すだけだ」

 だがその時、森の奥から甲高い鳴き声が響いた。


 もう一人の男が黒い革袋から、拳大の檻を取り出す。

 中には、目の奥が赤く光る小型の魔物――

“影猟犬”が収まっていた。

「……こんな辺境でも用心ってやつだな」

 檻の鍵を外すと、影猟犬は地面に飛び降り、

低く唸りながら村の方向へ駆け出していく。

「こいつが村を混乱させてくれる。

そしたら俺たちは逆方向から抜ける」

 二人は頷き合い、夜の闇へと溶けていった。


 一方その頃、村の広場では、ガレスが

夜警を行っていた。

 ふと森の方角に視線を向け、眉をひそめる。

「……何か来る」

 隣で欠伸をしていたバルドが振り向く。

「何かって?」

「足音だ。速い……獣じゃない」


 次の瞬間、闇を裂くような唸り声とともに、

影猟犬が姿を現した。

 赤く光る瞳、牙を剥き出しにした口、そして

しなやかな四肢――。

 村人の悲鳴が夜空に響く。


「全員起きろ! 武器を取れ!」

 ガレスの怒声が村中に響き渡る。

 驚いて飛び出してきたカムイは、

その異様な生物を目にし、思わず足を止めた。

 背後から駆け寄ったリアンが叫ぶ。

「カムイ! あれは……魔物か!?」

「……わからない。でも――」

 次の瞬間、影猟犬が老人に飛びかかろうとする

姿を見て、カムイの足は勝手に前へと

踏み出していた。

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