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第73話 話が違うじゃないっすか!

 リクレールとシャルンホルストが立ち去った後も、アヴァリスとその仲間たちは今起きたことが現実だと信じ切れなかった。


「おいアヴァリス、ケガはないか!?」

「あ、ああ……少し油断しちまったが、大したことはない」

「一体全体何なんだあいつは? リクレールの皮を被った化け物かなにかじゃないのか? そうでもなければ説明がつかないぞ」

「あのシスコンを調子に乗らせたのはよくないな。身の程をわきまえさせるためにも、学級内で作戦会議をしなければ」


 幸いアヴァリスが仲間たちから非難されることはなかったが、それでもあの落ちこぼれのシスコン相手に何もできなかったことが非常に悔しいようだ。

 だが、一人だけ空気が読めない人物がいた。先ほど、リクレールに恨みがましい視線をぶつけていた青髪の生徒だ。


「アヴァリス先輩……話が違うじゃないっすか! 先輩たちがアイツをとっちめてくれるって言ったから、ようやく仇が討てる思ったんですよ! それなのに、あんなにあっさり屈するなんて!」

「ば、バカ言うんじゃねぇ! 俺だって武器を使えりゃあいつに勝つことなんて余裕だ! 士官学校内では理由がなけりゃ武器での喧嘩はご法度だから、あえて退いたんだ!」

「そうだぞ新入り、何のためにアヴァリスが棒切れを用意したかわからんのか? 棒は規則上武器にならねぇからだ、リクレールは規則違反していい気になってるだけだ」

「っていうかお前、手に持ってるのはガチの短剣じゃん! リンチしてる最中に殺す気だったのかよ!? シャレにならねぇから仕舞っとけ!」


 青髪の生徒は不服そうにしながらも、先輩たちに従って短剣を懐に収めた。

 一応、学生たちは全員腰に剣を装備しているが、あくまで儀礼用なので切れ味が非常に悪い。そして、敷地内でそれ以外の武器を使うのは一部の理由を除き禁止されている。

 喧嘩くらいなら権力でいくらでももみ消せるが、流石に殺してしまったらここにいる全員の責任問題だ。

 アヴァリスたちはいったん気持ちを切り替え、どのように仕返ししてやろうかと相談していたところで、彼らの元に、藍色のローブを纏った厳格そうな雰囲気の男性がやってきた。


「貴様ら、授業に出てこないと思えばこのようなところにおったか。級長が授業に出席せぬとは感心できん。貴様には然るべき罰を与える」

「げっ!? デュカス先生!?」

「ち、違うんです! 俺たちがここにいるのは、深いわけがありまして!」

「深い訳とはなんだ、言ってみよ」


 デュカス先生と呼ばれたこの男は白竜学級の担任教師である。

 伯爵家出身の元軍人出身で、その顔と雰囲気にたがわず校内でもダントツに厳しい教師として生徒たちに恐れられている。

 指導も厳格で、貴族も平民も容赦なく叱り、罰を与えることから、公正な指導者としても有名であるが……実際のところは過度な実力主義者であった。


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