第65話 親友との再会
リクレールたちがタウンハウスの前まで来ると、正門に誰かが立っているのが見えた。
新緑を思わせる緑の髪に、通いなれた士官学校の制服…………リクレールはすぐに、待っていたのが誰かがわかった。
「シャルじゃないか! まさか出迎えてくれるなんて!」
「よっリク、使用人からお前が帝都の門をくぐったと知らされたから、授業をサボって迎えに来てやったぜ」
本当なら今の時間は士官学校で勉強中のはずのシャルンホルストが、わざわざリクレールを出迎えにタウンハウスまで足を運んできてくれたようだ。
彼と別れからまだ1か月も経っていないのに、リクレールもシャルンホルストもまるで数年会っていなかったかのように、お互いの再会を喜んだ。
「二人とも、また立ち話しになりそうだから、ひとまず中に入りましょうか」
「おっとそうだったねトワ姉。せっかくだからシャルに話しておきたいことがあるし」
「俺に話したいこと?」
ヴィクトワーレに促されるように、リクレールは侯爵家当主として受け継いだ館のカギを取り出すと、硬く施錠されていた玄関の扉を開いた。
館の中もさすがは侯爵家の所有しているだけあって、壁の装飾品から調度品まですべて一流のものが取り揃えられているが……マリアが亡くなってから、タウンハウスに勤めていた使用人たちは皆勝手に辞めてしまったらしく、館の中には人っ子一人いない。
それに、リクレールたちが思わずせき込みそうになるほど、あちらこちらに埃が溜まっており、長期間誰も管理していなかったのが一目瞭然だった。
「うわ……汚っ。使用人たちがみんな辞めたせいで埃だらけだ。しかも、一部の調度品がなくなっている。誰かが勝手に持っていったか」
「マリアが亡くなったとはいえ、何も言わないまま勝手に辞めるなんてひどい使用人たちね……後でギルドに文句を言ってやるわ」
「どうする? なんなら、俺の方のタウンハウスを使うか?」
「いや……とりあえず居間だけさっさと掃除しよう。ほかの部屋の掃除は兵士たちに任せる。まったく……どこかで新しい使用人を探さないと」
勝手に辞めた使用人たちをとっちめるのも面倒なので、とりあえず当面は最低限使えるだけの兵士たちに任せ、改めてどこかで使用人を雇おうということにした。
最低限居間を使えるようにすると、リクレールは改めてシャルンホルストに話を切り出した。
「これはまだ仮定の話でしかないんだけど……近いうちに西帝国内で領内紛争が起きるかもしれない。それも、君の実家であるユルトラガルド侯爵家が巻き込まれる可能性がある」
「は!? 領内紛争だと!? …………いや、なんとなく、どこがどいつに仕掛けようとしているのかは検討が付くが、なぜその情報をお前が持ってるんだ?」




