表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
247/255

第247話 シャルンホルストの父

 リヴォリ城が包囲されて一月が経過した。

 圧倒的な大軍に包囲されたことで、開戦当初から城兵は日に日に消耗していたが、最近になってから、アルトイリス軍の援軍が包囲する敵軍にちょっかいをかけているからか、敵の攻撃の勢いはかなり弱まっていた。

 特に、東から攻撃してくるロパルツの軍と、北から攻撃してくるヨランドの軍からの攻撃がほとんどなくなってきており、その分の戦力を西と南に割くことで状況は次第に防衛側有利に傾きつつある。


「マリアが亡くなってから、アルトイリス軍の救援には期待できないと思っていたが……彼らは思いの外、ブレヴァン侯爵軍の攻撃を引き付けているようだな」


 ユルトラガルド侯爵にして、シャルンホルストの父親であるランツフートは、要塞の上から包囲するブレヴァン侯爵軍の動きを見つつ、援軍によって戦況が安定してきたことに感謝した。

 ランツフートは、ユルトラガルド侯爵家の特徴である深い緑色の髪の毛をオールバックにした、身長6スリエを少し越える偉丈夫で、戦場では常に緑一色の強固な鎧を纏った武人である。

 仕事では妥協せず、自分にも他人にも厳しい人物であるが、普段は比較的陽気な人物であり、戦いがないときは酒と詩作をこよなく愛する文化人的な一面もある。

 だが、首都が包囲されている今は酒も詩作も楽しむことも当然できず、常に城内の防衛設備を見回り、兵士たちの怪我や士気に心を砕く日々が続いており、いささか疲労気味な様子がうかがえた。


「それにしても……ここからではよく見えんが、アルトイリス軍は数が少なそうなのに、よくあの大軍を翻弄していると見える。あれはまるで……」


 ランツフートの脳内には、士官学校に通っているはずの次男シャルンホルストの顔が思い浮かんだ。

 ランツフートにとって、シャルンホルストは、まじめな長男と違い、悪戯好きで手がかかる息子であり、城をこっそり抜け出すなどしてはよく拳骨を喰らわせたものだが、自分にはない柔軟な発想を持っていることもきちんと知っており、内心では将来大物になるのではと期待していた。

 援軍に来たアルトイリス軍が、常識にとらわれない動きでブレヴァン侯爵軍の翻弄しているのを見ると、不思議とそこにシャルンホルストがいるように思えるのだから不思議なものだ。

 そして、実際それは当たっており、いかにこの親子の絆が深いかがよくわかる。


 とはいえ、アルトイリス軍の援軍が来たからと言って、完全に安心はできなかった。

 むしろ、今のままでは自分たちが勝つのはまだ難しいだろうとも考えている。


「あいつらが活躍しているのはありがたい事ではあるが……やっていることはせいぜい嫌がらせだけ、落城までの時間稼ぎでしかない。どこかで決定的な一撃がなければ、今のままでは城壁意を少しずつ崩された上で総攻撃を受ければ落城は免れん。しかし、俺たちに何ができるだろうか……」


 ランツフートの言う通り、外にいる僅か2000人ばかりの援軍では、最終的に敵の野戦軍を倒すことは不可能だろう。

 戦局はやや有利になったとはいえ、勝利までの道筋はいまだ見えないでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ