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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第245話 偽兵の計 5

「キイィィィィ! あれっぽっちの敵に、何を手古摺っているいるザマス!」

「は……ど、どうやら町の門を守る敵が非常にしぶといらしく、おまけに敵に衛生兵がいるとのこと」

「こうなったらワタクシの重装兵突入させるザマス! 道を強引に開けていただくザマス!」


 敵より圧倒的に多い兵数で攻撃しているにもかかわらず、なかなか攻めきれないことに業を煮やしたヨランドは、とうとう自らの護衛用にとっておいた、精鋭の重装歩兵部隊を前線に投入した。

 ヨランドの命を受けた、全身を鎧に包んだアーマーナイトたちは、主人の趣味を反映してかその鎧は金ぴかに輝いており(ただし金メッキ)、敵陣に群がる味方の傭兵たちを強引に盾で押しのけ、前線に姿を現した。


「アーマーナイトまで投入してきたか……厄介だね。けど、倒せない相手じゃない! みんな、私に続け!」


 飛び来る矢をものともせずに突っ込んでくる重装歩兵を前に、退くどころかむしろ前に出るレムリア。

 敵の装甲は分厚く、盾も大きいが、その分動きが鈍くなっており、槍で装甲の隙間を狙えば勝機はあった。

 今ここが、この戦いにおける最大の山場であり、アルトイリス兵たちも自分たちの武器が通りにくいながらも、頑強に抵抗を続け、突破を許さない。

 だが、レムリアは勢いあまって前に出すぎてしまい、突出したところを敵の槍に肩を突き刺されてしまった。


「くっ!?」

「レムリア様っ!」

「級長っ!」


 激痛で思わず動きが止まったところに、敵の重装歩兵が満を持して斧を振り下ろそうとする。

 痛みをこらえながら後ろに転がって避けようとした……その時、レムリアの前に立ちふさがって敵の斧を真正面から受け止め、彼女を守った者がいた。


「あ、アウグスト君!? どうして……!?」

「大丈夫です、ここは一時的に僕が抑えますから、レムリア先輩は……傷を治したら、そろそろ『合図』をしてください!」


 敵の攻撃からレムリアを庇ったのは、なんと、衛生兵であるはずのアウグストだった!

 彼は小さい体にもかかわらず、どこから持ち出したのか棘付きのモルゲンステルンを真横に構えて敵の斧を受け止めると、なんとその斧をはじき返したではないか。


「えっ」


 唖然とするレムリアの前で、反動でよろめいたアーマーナイトに、アウグストがすかさずモルゲンステルンを振り下ろし、フェイスガードごと敵の顔面を叩き潰してしまった。

 この光景に勢いづいたアルトイリス兵たちは、自分たちも負けてられるかとばかりに、アーマーナイトたちの鎧に武器を叩きつけまくったことで、敵は再び突破する機会を逸してしまったのであった。


「さっきのは何だったんだ……けど、確かにそろそろ頃合いだ。狼煙を上げて合図を出そう」


 槍で突かれた部分に傷薬をぶっかけて、その焼けつくような痛みに顔を歪ませつつも、レムリアは控えの兵士に合図を送るよう伝える。

 命令を受けた兵士は、直ちに町の中心部に予め組んであった大きな木組みに点火させると、燃え上がった炎が黒煙を発生させ、天高く立ち上っていく。

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