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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第244話 偽兵の計 4

「とうとうやってきたね。思ったよりのんびり来たみたいだけど、それだけボク達のことを警戒したのかもしれないね。けど、やっぱり敵の数が多い……みんな、しばらく苦しい戦いになるかもしれないけど、頑張ろう!」

『応っ!』


 レムリア率いる青狼学級の部隊はここ3日間でしっかりとした陣地を構築していたが、籠っている兵力は、アウグストが率いてきた衛生兵部隊を含めて800人程度しかいなかった。

 対するブレヴァン侯爵軍は、一部を後方に残してきたとはいえ、4000人もの兵力を誇っており、相変わらず兵力差は5倍近い。

 それに加え、以下に正規軍より質が劣る傭兵といっても、彼らは略奪への期待から非常に士気が高く、攻撃が始まるや否や、大勢の人間がまるで津波のように押し寄せてきた。


「奪え! 殺せ! そして奪え!」

「俺たちをさんざんコケにしてくれたな、もう許さねぇからな!」

「よく見たらカワイコチャンもいるじゃねぇか、連れて帰っちまおうぜ!!」


 欲望に目をぎらつかせた、粗末な武器や鎧を身に着けた傭兵たちの前にまず立ちはだかるのが、ここ数日間で村人たちまで動員して急遽掘り進めた空堀だった。

 流石に水を張るだけの余裕はなかったが、3~4スリエ程度の深さはあり、その後ろに掘った際に出た土を固めた土手に、丸太で作られた柵が並ぶと、意外と攻めるのにてこずることになる。

 柵の隙間から飛んでくる矢は、狙わずとも密集して襲い来る敵兵の誰かに当たるし、柵を破壊しようと取りつこうとも堀を這い上がりながらでは体勢的に困難で、柵の内側から剣や斧で攻撃されると、傭兵たちはたちまち転げ落ちてしまうことになる。

 だが、唯一堀がない正面の入り口には、障害物と言えるのは急増のガラクタをかき集めたバリケードくらいだったので、ブレヴァン侯爵軍は結局ここから突破する方が早いだろうと考え、一か所に殺到することになる。


「いいぞ、そのまま踏ん張るんだ! ここが突破されたら、ボクたちに退路はないよ!」


 タウラゲの町の入り口では、レムリア自身が前に出て槍を振るいながら、周囲の兵士たちを鼓舞して、殺到する敵兵たちをしっかり押しとどめていた。

 だが、彼女の表情にはあまり余裕は感じられず、若干苦しい戦いになっている。


(ボクも敵を少し侮っていたということか……こいつら、勢いがものすごい! 敵をここに釘付けにするために用意した物資を狙ってるのだとしたら、少し失敗したかな)


 彼女は内心、敵を過小評価していたようで、ここまで敵の勢いが激しいとは思っていなかった。

 周囲のアルトイリス兵たちが何度か傷を負って後退するが、後ろに控えていた兵がその穴を埋め、怪我した者はアウグスト達衛生兵が、回復術や即効性の傷薬で治療に当たってくれているおかげか、今のところ戦線が崩壊することなく耐えることができていた。


(それにしても……リクレール君のところの兵士は、本当にすごいな。これだけの大勢の敵を相手にしても一歩も引かないどころか、仲間同士の連携もばっちりだ。この人たちがいなかったら、ボクたちは負けていたかもしれない)


 レムリアの下で戦うアルトイリス兵たちも、驚嘆すべき強さであった。

 鬼軍曹アンナの下で徹底的に鍛え上げられ、領内の賊討伐で経験を積み重ねた彼らは、それぞれの部隊長の元でしっかりと規律を維持しつつ戦っており、雑に襲い掛かってくるブレヴァン侯爵軍の傭兵たちを一歩たりとも陣地内にいれることはなかった。

 おそらくその練度は、西帝国の正規兵にすら勝のではないかと思うほどだ。

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