第243話 偽兵の計 3
「オーッホホホホホ、ワタクシが来たからには、ちょこまか動き回るガキンチョどもなど瞬く間に皆殺しにするザマスわ! 者ども、略奪は早い者勝ちザマス!」
『おーっ!!』
ロパルツから追加の傭兵を拝借したヨランドは、満を持して5000の兵を率いて出陣した。
ブレヴァン侯爵軍は手始めにリヴォリ城からやや離れた森林地帯の一角に仮の陣地を構築すると、そこから偵察部隊を四方八方に飛ばし、点在する村や町に敵がいないかを徹底的に探らせた。
だが、初めのうちは偵察の成果は芳しくなく、どの村や町もすでに放棄されて無人の状態であった。
これでは略奪に行ったところで、残されたほんのわずかな物資を持ち去って、建物を破壊するくらいしかやることがなく、行くだけ無意味であった。
「やつらめ、どこに消えたザマスの! ワタクシに恐れをなして逃げたザマスか?」
「ほ、報告します! 敵の一団と思われる部隊が、ミッドルタ大河沿いの町に集結しつつあるとのこと! その上、大量の物資を運びこんでいるとのこと!」
「なんザマスって!? さてはワタクシたちの戦利品を横取りして船で運び出すつもりザマスわね! そうはさせないザマス、すぐに一網打尽にしてやるザマス!」
「しかし、傭兵たちは各地で略奪中に伏兵の攻撃を受けたと聞いております……慎重に進むべきかと」
「そ、それくらいわかっているザマス!」
偵察兵の報告で、ようやく敵の援軍部隊が一か所にまとまりつつあることが判明した。
ヨランドの言うように、各地で一撃離脱に徹していた敵軍が一か所にまとまるのであれば、これ以上の好機はない。
しかし、このあたりの地理に疎いブレヴァン侯爵軍にとって、本陣から遠く離れた場所まで進軍するのは非常に高いリスクを伴うことになる。
森を縫うように続く街道を行軍中に伏兵に襲われたら、せっかくの大軍の利も生かしきれないかもしれなかった。
流石にそのことはヨランドも理解しており、彼らは仮設陣地に予備の兵士1000人を残して、4000の兵で敵が集結しつつあるというタウラゲの町に向けて慎重に進軍していった。
身長に慎重を重ね、なんと3日間かけて敵の目の前まで進軍したものの、結局道中で青狼学級の生徒たちから襲撃されることはなかった。
「ちっ、敵がいないとわかったらもう少し急ぐんザマしたわ! まあいいザマス、敵は町に立てこもっているようザマスが、あれっぽっちの数しかいないザマスわ! 者ども、今こそ日ごろの鬱憤を晴らす時ザマス!」
『イエエェェイ!!』
最近思うように略奪できていなかった傭兵たちは、ようやく獲物を見つけたことで俄然士気が急上昇した。
相手は防御陣地を築いているようだが、裏を返せばそれだけ兵力劣勢の証であると見たのだ。
こうして、いよいよヨランド率いるブレヴァン侯爵軍は、散々煮え湯を飲ませてくれた青い狼たちを叩きのめすべく、攻撃を開始したのだった。




