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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第235話 青狼の狩り 5

 休憩を終えた彼らは、地図を頼りに森を縫う街道を西に進みつつ、積極的に斥候を派遣して敵の位置を探らせた。

 すると、昼前には次の敵の一団が近くの川沿いで昼食の支度をしているのを発見する。

 数はおよそ400程度と見られ、初めて戦った相手よりも少数であった。


「見張りも立てずに敵地でのんびりお昼ご飯なんて、随分能天気な奴らだな」

「しかも酒を飲んでいる奴もいる、あいつらは軍紀というのを知らないようだ」

「よぉし、それじゃあボクたちで教育してあげようじゃないか! 今回はフォーメーションCだ」

『応!』


 森の中から敵が近づいているなど露知らず、ブレヴァン侯爵軍の傭兵たちはまるでピクニックに来たかのように、見張りすら立てずにのんびりと昼飯を食べていた。

 そこに、満を持して青狼学級の生徒たちが左右に分かれて二方向から襲い掛かった。


「な、なんだなんだ!?」

「敵だ! 敵襲だ!」

「バカな、こんなところにいるはずがない!?」


 不意打ちで奇襲を受けた傭兵たちは瞬く間にパニックになった。

 傭兵と言っても質はピンキリだが、このあたりで積極的に略奪を行う連中は、やはり素人に毛の生えた野盗同然の者たちのようで、弱い相手には平気で強く出るが、自分たちより強い相手に対してはなすすべがなかった。

 戦いの準備を全くしていなかった敵兵たちは完全に戦意を喪失し、誰もがこの場から逃げ出そうとするが、二方向から攻撃されたことで横に逃げることができず、川の方に追い立てられてしまう。


「容赦するな、こいつらは戦えない人々からものや命を奪った卑怯者だ! この場で狩り尽くせ!」

『おーっ!』


 一度実戦を経験した生徒たちは、以前と比べて明らかに不安感がなくなっており、先程と比べてもかなりスマートに戦うことができていた。

 まるで獲物を追い詰める狼のように……混乱する敵を容赦なく蹂躙していく。

 もちろん、中には果敢に反撃を試みる者もいたが――――


「なんだこいつら、ただのガキじゃねぇか! ビビらせやがって、野郎ぶっ殺してやるっ!」

「はっ、その割には隙だらけだね! このレムリアの槍が受けられるかなっ!」

「グエーッ」


 身長6スリエを越えると目される大男が、生徒をたたっ切ろうと大剣を大上段に振り上げたが、その剣が振り下ろされる前にレムリアの槍ががら空きの腹部を貫通した。

 激痛でよろめく大男に、とどめとばかりに他の生徒たちから剣や槍による攻撃が浴びせられ、血の海に沈んだのだった。


「いいぞ、みんなナイスだ! その調子で敵を追い詰めよう!」


 手柄を採られたにもかかわらず、レムリアはまったく気にせず、ほかの生徒たちと連携して敵を押し込むことに力を注ぐ。

 やがて傭兵たちは川の中にまで追いつめられ、川に入るのを躊躇する者は容赦なく討ち取られ、思い切って川に逃げ込んだ者も冬の冷たい水によってたちまち体温を奪われ、動きが鈍ったところを矢で撃たれるか、深みに嵌って溺れるかの二択を選ばされることとなる。

 結局、今回も敵に生き残りはおらず、青狼学級の生徒たちの一方的な勝利で幕を閉じるのだった。

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