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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第234話 青狼の狩り 4

「今だ、突っ込めーーーっ!!」

『おおおぉぉぉっ!!』


 合図と同時に、茂みに隠れていた生徒たちが一斉に飛び出し、敵兵に襲い掛かった。


「て、敵だと!? なぜこんなところに……グワァッ!?」


 眼を見開いて驚く傭兵の喉をレムリアが槍で正確に貫いたのを皮切りに、後続の生徒たちも雄たけびを上げて敵に武器を叩きつける。

 今までの訓練の時とは違う、本当の殺し合いであるがゆえに、誰もが余裕なさげに無我夢中で武器を振るうが、その必死さが却って敵を怖気づかせ、ほとんど抵抗らしい抵抗もできないまま傭兵たちはやられていった。

 中には反撃に出る傭兵もいたが、何しろ奇襲された上に攻撃側の方が2倍の人数がいたため、複数人から一斉に攻撃された挙句、まともに傷を与えることもできずにその場で倒れ伏していく。

 こうして、略奪に行こうとしていた傭兵の一団は瞬く間に全滅、生き残った者はいなかった。


「ふーっ、まずは勝てたみたいだ。よかったよかった……ウチらの被害は?」

「級長、戦闘不能も怪我人も0です」

「よかった……今は死者を出さないことが一番大事だからね。気分が悪くなった子がいたら、すぐに言うように」


 初めての戦闘でけが人は出なかったが、やはり初めて人を殺すとなると勝手が違うようで、何人かの生徒は気分が悪くなってその場に吐いたものもいた。

 それでも、今までの訓練が実を結んで完全勝利できたことの方が嬉しかったのか、すぐに全員いい笑顔を取り戻し、精神的にも立ち直ったのだった。


「うむ、まずは上出来と言ったところだ。まだ慣れないだろうが、いずれはこれが当たり前になる。お前たちが一人前になる日はそう遠くないだろう」

「ありがとうございます!」


 ローレルから見ても生徒たちの動きはまだぎこちなさがあったが、初めは誰でもそんなものであり、この先慣れていけば問題ない。

 いつも厳しい彼女も、いまは生徒たちをよくやったと労うのだった。


「それより後始末をどうするか考えろ、まだ敵はたくさんいるのだからな」

「そ、そうだった! 荷車のに持ちはいったんこの場に放置していい、食料をほんの少しだけ分けてもらって、念のためお金も回収していこう。敵の死体は、今は森の中に捨てるしかない」


 彼らの任務は素早い遊撃なので、敵が保有していた略奪品を悠長に元の村に戻しに行くことはできなかった。

 持ち運びやすい貨幣などは全員で分担して所有し、食料も持ち運べるだけ拝借し、それ以外はその場に投棄することにした。

 少々勿体ないが、いずれ周囲の村民たちが回収に来るだろう。

 彼らは簡単に戦後処理を行ったあと少し休憩してから、次の敵を求めて移動し始めるのだった。

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