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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第232話 青狼の狩り 2

「ゥオーーーッホホホホホ! さあ者ども、奪って奪って奪い尽くすザマスわよ!」

「よっしゃぁ! さっすがは俺たちのヨランド様だ!」

「そのための剣、そのための俺たち傭兵、みたいな」

「イヤッッホォォォオオォオウ! ヨランド様サイコー!」


 ブレヴァン侯爵家四将軍の紅一点ヨランドは、とにかく略奪が大好きであった。

 人間と戦えば装備をすべて剥ぎ取り、村や町を容赦なく焼き、魔族と戦えば素材として片っ端から解体し、村や町を容赦なく焼く。

 もはや戦いよりもそちらの方が主目的となっている節があり、ブレヴァン侯爵トライゾンも彼女の扱いには度々頭を痛めていた。

 なにしろ、ユルトラガルド侯爵領は今後ブレヴァン侯爵のものになる(予定)なのに、あっちこっちで略奪してしまうと税収が一気に低下し、損してしまうことになるので、出来れば止めさせたいのが本音であった。


 だが、結局トライゾンにそのような決断は下せなかった。

 なぜなら……ヨランドの配下の騎士や傭兵たちは、好き放題略奪することが許可されているせいで士気が非常に高く、ほかの将軍たちの兵よりよく働くからだ。

 圧倒的な暴力で傭兵たちを無理やり従わせているドヴォルザーク将軍や、傭兵を消耗品としか見ていないロパルツ将軍と違い、彼女は彼女なりに兵の扱い方を心得ているのである。


 リヴォリ城を包囲するまでの道中でも、ユルトラガルド侯爵領内で派手に略奪を繰り返してきたヨランドだったが、それでもな彼女の欲望は満たされることはなく、むしろまだまだ足りないと感じていた。

 そのため、ヨランドはリヴォリ城の包囲が完成すると、城への攻撃はそこそこに、兵士らにまだ手付かずの村や町への略奪を向かわせたのだった。


「た、大変だ! ブレヴァン侯爵軍がくるぞーっ! みんな逃げろーっ!」

「げへへへへ、逃げても無駄だぜ! 有り金と食料、全部出しなぁっ!」

「ひ……ひえぇっ! 誰か助けて……」

「そこのお前、いい指輪つけてるじゃねぜか! ヨランド様へのお土産にぴったりだ!」


 数千人にも及ぶ傭兵たちの略奪で、避難できていなかったリヴォリ城周囲の村や町は、瞬く間に阿鼻叫喚の地獄と化した。

 溜めていた金や、冬を過ごすために蓄えられた物資はむぎ一粒残さず奪われ、さらに老若男女問わず捕まって拉致されるか、はたまた暴力の対象となって命を落としていった。

 なにしろユルトラガルド軍は全軍リヴォリ城に籠ってしまったため助けに向かうことはできず、急ぎやってきた援軍も数は少なく、しかも遥か東にいる。

 彼らは誰にも邪魔されず、心置きなく略奪に勤しめる…………はずであった。

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