第230話 話が早くて助かるザマス
「おーっほほほ! 随分暇層ザマスね~ロパルツ。侯爵の命令で迂闊に攻撃できないのは、さぞ退屈ザマスでしょう?」
「……何が言いてぇ、さっさと要件を言え、こう見えても暇じゃねぇんだ」
「ホホっ、これは失礼したザマス! では単刀直入にいうザマスよ、オタクが持っている傭兵のいくつかをこちらに寄こすザマス」
「な、なんだと!?」
なんと、ヨランドは上から目線でロパルツ配下の傭兵を自分の陣地に回すよう迫ってきたのだ。
「冗談じゃねぇ! なんでお前に俺の分の傭兵をくれてやらなきゃなんねぇんだ! お前にも侯爵から割り当てられた分があるだろ!」
「もちろんザマス! ですが、わたくしの方は勝利のためにやるべきことがたくさんあるザマスの! そこで、暇しているオタクの兵士をわたくしが有効活用してあげるザマス!」
「何寝ぼけたこと言ってやがる! そもそも俺たちは暇じゃねぇって、さっき言ったろ! …………わかった、テメエのことだから、何かヘマして傭兵を損耗しやがったか?」
「そ、そんなことあるわけないザマス!」
ロパルツが適当に指摘すると、ヨランドは分かりやすく慌てて取り繕おうとする。
あまりの分かりやすさに、彼は内心呆れてしまう。だが、それでもヨランドは引き下がらない。
「で……ですが妙ザマスね」
「何がだ?」
「この陣に来た時、何やら傭兵だけでなく侯爵軍の正規兵までが、何やら非常に士気が落ちている様子ザマしたわ。それに、足を大火傷した負傷兵がそこらじゅうで呻いているのも……」
「チッ、こういう時だけは無駄に目敏い奴だ。で、いくら入用なんだ?」
「ひとまず3000人ほど寄こしていただけると嬉しいザマスわ♪」
「……2000だ、これ以上は出せん。総攻撃の前には必ず耳を揃えて返せよ」
「オーッホホホホホ! 話が早くて助かるザマス! それじゃあ、ありがたく借りていくザマス!」
暗にボロ負けしたことをばらすことをほのめかされたことで、口和悪くとも弁は立たないロパルツはぐうの音も出ず、ヨランドに傭兵を2000人貸し出すことに合意するほかなかった。
彼自身、ヨランドが何かをやらかしたことは何となくわかるのだが、何をやらかしたのかわからない以上、トライゾンにチクるのは不可能だ。
こうして、ヨランドはロパルツから無理やり兵士を巻き上げると、彼らを引き連れて意気揚々と自陣に戻っていった。
「フフフ、上出来ザマス。これだけいれば、今度こそあの小賢しいガキンチョどもを皆殺しにしてやれるザマス!」
果たしてヨランドは、なぜこれだけの兵力を急遽用意する必要があったのだろうか?




