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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第224話 田園地帯の罠 1

 それから3日経過し、ブレヴァン侯爵軍の4つの陣は満を持してリヴォリ城への攻撃を開始した。

 とは言ってもまだそれほど本格的な攻撃ではなく、傭兵や徴募兵たちを矢面に立たせ、少しずつ外側の濠を埋め立てて城壁への侵入経路を確保するとともに、散発的に弓の打ち合いを行うことで少しずつ城側の疲労を蓄積させようと試みる程度にとどまっている。

 それでも、攻撃側の兵力は防衛側のそれの10倍にもなるため、攻撃側は少しずつローテーションしながら攻めればいいのに対し、守備側は連日ほぼ全兵力で対抗せざるを得ないため、いずれリヴォリ城の防衛能力は致命的なまでに低下してしまうだろう。

 そして、ある程度城壁や城兵にダメージを与えた後、一気に全軍で強襲攻撃を行うことができれば、遅くとも2ヶ月程度あればリヴォリ城を陥落できると見込んでいた。


 城の四方八方に無数の兵士が群がって攻撃する中、東の陣地だけはやや攻撃の勢いが鈍かった。

 その理由は…………つい先日までバニュ丘陵地帯に陣地を築いていた敵の援軍が、ブレヴァン侯爵軍の東陣地の目と鼻の先に位置するマコンクール田園地帯まで進出し、そこで陣地を建設しようとしていたからだ。

 両者の距離は1セレル(約1600メートル)もなく、東陣地からは肉眼でも見えるほどの近距離だ。ロパルツらブレヴァン侯爵軍にとって、この動きは挑発行為に等しい。


「あの連中、どうやら死にてぇらしいな! ちんたら攻撃されるのを待つのもアホらしい、一部の傭兵団に奴らの陣地を破壊させろ!」


 こうしてロパルツは、適当な傭兵団を1000人ばかり選び、目の前に陣地を築こうとしている援軍を攻撃させた。

 血気盛んな傭兵たちが、特に陣形も組まずにばらばらと襲撃に向かう。その様子は、すぐに援軍側に知られることになる。


「おーいゼークト! 敵が出陣してこちらに向かってきているぞ!」

「なんだ、もう釣れたのか。敵も案外堪え性がないんだな。ま、その方が俺たちもやりやすい。ドルド、事前の取り決め通り、物資を放棄して撤退するぞ」

「了解だ、隊長」


 敵陣地を見張っていた紫鴉学級の生徒がゼークトに敵の出陣を知らせると、ゼークトは元山賊だった部下のドルドたちに命じていた陣地の構築作業をすぐに中止させ、持ってきた物資を回収することもせず撤退に移った。

 今ゼークトの手元にある兵力はおよそ200人程度であり、今敵に襲われたらひとたまりもないというのもあるが、物資を放棄して逃げるのも彼らの作戦の一環であった。

 ブレヴァン侯爵軍の傭兵たちが建設中の陣地に殺到した時には、あたりはすでにもぬけの殻であり、ゼークトたちの姿はすでに田園地帯のはるか向こう側に遠ざかっていた。


「なんだ逃げたのか、情けない奴らめ」

「けど見ろよ、あいつらは物資を置きっぱなしにして逃げたみたいだぜ」

「ハッハッハ! こりゃいい! よっぽど俺たちのことが怖かったんだな! この物資は戦利品としてありがたくいただいていこうじゃねぇか!」


 敵が逃げたことをいいことに、傭兵たちは追いかけるのをやめて戦利品漁りに勤しみ始めた。

 中には用心深く罠を警戒する者たちもいたが、結局ゼークトたちの部隊は戻ってくることなく、戦利品は、全く警戒していなかった欲深い者たちに全て獲られてしまうこととなった。

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