第221話 自主性
「そのようなわけで、まずは敵を軽く挑発して少しずつこちらの有利な地形におびき出し、足並みが乱れたところを少しずつ切り取る。もちろん、チャンスがあれば夜襲もするし、わなを仕掛けて一泡吹かせるのもアリだ。大まかにはこの方針で行くことになるが、現地でどう戦うかは……それぞれの部隊で柔軟に対応してほしい」
「いいだろう、ボクたちとしてもその方が却ってやりやすいしね!」
「もしうまくいかないことがあったり、一旦集合する必要があれば、その時は手近な拠点に戻ってくればいい。複数陣地を構築するのもそのためだ」
とりあえず、今は大まかな作戦だけ立てて、実際どう動くかは現地の判断で行うという方向性でいくことにした。
レムリアが言うように、アドリブに強い青狼学級にはその方がやりやすいだろうし、いざとなったら陣地に戻ってくればよいのである。
そして次に編成についてだが、ひとまずリクレールから借りた2000人のアルトイリス兵はシャルンホルストとレムリアがそれぞれ800人ずつ率いることにして、部隊もそれぞれの級長が指揮官となる2つに分割することとなった。
残った400人は何かあった時の予備戦力としてオキメイ村の陣地で待機することとなり、あまり機敏に動くことができないモンセーが預かることとなった。
もしシャルンホルストやレムリアが何かやらかして敗走することになったとしても、この陣地が最終防衛ラインとして機能することになるだろう。
また、橙鷹学級の級長オスカーも陣地に残ることになり、同学級の生徒たちは役割に応じて紫鴉学級と青狼学級の部隊に組み込まれた。
そのほかにも、特別な部隊としてゼークトにはアザンクール山脈で仲間にした元山賊部隊が付き従い、突撃大好きなスーシェの部隊にはアルトイリス家の全騎兵戦力が割り振られているほか、サンシールは彼女の伝手で連れてきた東帝国魔術学校の召喚術士100人がいるなど、部隊ごとのバリエーションもなかなか豊富であった。
これらの特化部隊をどう使うかも、今回の戦いのカギとなるだろう。
部隊の割り振りまで生徒たちが自主的にやっていくのを見て、担任の二人は自分の生徒たちの優秀さを頼もしく思うのだった。
「これは、私の出る幕はないかもしれないわね。教師としてはとても誇らしいわ……ね、ローレル先生♪」
「またウルスラのうちの生徒自慢が始まったな……前はやたら過保護だったくせに」
「そういうローレル先生は生徒たちをもっと信じてあげなくていいの?」
「そうは言うが彼らはまだ子供だ。大人の手を完全に離れるのはまだ早い」
こんな所でも、相変わらずこの二人の思想は正反対のようだった。




